2009年01月17日

「愛のむきだし」・試写会レポ

2009年01月17日(土)

月島のブロードメディア・スタジオの試写室で映画 「 愛のむきだし 」の試写を見ました。
この映画は2009年01月31日(土)から渋谷のユーロスペースで公開される作品です。
ふふふ。皆様より一足先に見ちゃいましたよ。
原案・脚本・監督は園子温( その・しおん )。
実はニヘドンは園子温監督の作品を見るのは、これが初めて。
で、作品を見た全体的な感想を先に言っちゃうと、いい!
園子温監督、メチャいいっす!!
監督に惚れました。
何で今まで園子温作品を見なかったのか、大変に悔やまれます。
園子温作品を見ずに今まで来てしまった、己れの映画鑑賞のあり方の間違いを恥じ入りました。

また、若い役者さん達にパワーがあって、見ていて小気味良かったの。
気持ちいい映画です。
主役のユウに、西島隆弘クン。
彼が凄い熱演なんです。
明るい笑顔もいいし、悩んだ顔もOK、女装も、勃起しちゃった時の演技も体当たり。
最後は精神病院に入れられて気狂いの役も頑張ってます。
いや、彼は凄いわ。
この映画が公開されたら彼の「 俳優 」としての人気が高まる事、間違い無し!

ヒロインのヨーコ役には満島ひかりちゃん。
ニヘドンは前のから、「 目に力の有る女の子 」が好きだと言い続けていましたが、ひかりちゃんが正にその良い見本です!
キュートな女の子なのに、戦う時はメチャ格好イイの。
そして忘れちゃならないのが、カルト教団の支部長である小池を演じる安藤サクラちゃん。
俳優の奥田瑛二の娘さんなんです。
そう言われて見ると、お父さんに顔の雰囲気がそっくりです。
( 特におすましした時ね。)
彼女の怪しい、気持ちの悪い役柄を見事に演じています。
あの若さで、あの気持ちの悪さが出せるって、末恐ろしいんですけど…。

ユウ、ヨーコ、小池の3人が、それぞれ子供時代に親から何かしら虐待を受けているって云う難しい役どころを、よく頑張ってくれました。
この映画は上映時間が237分。
つまり、約4時間です。
途中1回休憩が入ります。
でもストーリー展開がスピーディーで、次はどうなるんだろう?と画面に見入ってしまうので、途中休憩になった時に「 え?もう?」と思ってしまいました。

凄くコミカルなシーンも多く、客席からも笑い声が頻繁に出ていました。

チラシに書いてあるコピーを転記しておきます。
「 キリスト教、罪作り、盗撮、アクション、カルト教団、三角関係、女装、脱出…。
人間の本質を『 むきだし 』にする間違いなく本年度No.1の問題作が誕生したー。
“ これは実話の映画化である。”」

うん。ここに書かれてない事を付け足すと、さっきも言及したけど親から子への虐待、レズビアン、嘘、拉致、万引き、立て込もり、銃の乱射、ああもう、新聞の社会面に出て来る事柄は全て映画の中に盛り込まれています。
だから重い映画なんですよ。
テーマだけを掘り下げたら、「 闇の子供たち 」に匹敵する重さなんです。
ただ、コミカルな描写が多く出て来るので、笑い飛ばしながら他人事の振りして映画を見続ける事が出来るんです。

ユウの父親テツ( 渡部篤郎 )は妻を病気で失くした後、キリスト教会で神父になります。
ところが突然転がり込んで来た女・カオリ( 渡辺真起子 )に恋のアタック攻撃を受け、
紆余曲折があった末、カオリとの生活を選んで神父の職を捨てる事を決意するのです。
このエピソードは、まるで アナトゥール・フランスの小説で、オペラにもなっている
「 タイス 」を思い起こさせます。
が、全くのフィクションではなく、現実社会を浮き彫りにした映画なので、
「 絵に描いた餅 」的な幻滅感は、まるでありません。

ここからは未成年の方には不適切な言葉を使いますが、
この映画を語る上で、避けて通れない言葉を使います。
勃起、パンチラ、盗撮、レズ、オナニーと、下半身ネタも随所に出て来ます。
二へドンは「 ドンドン日記 」で映画 「 只野仁 最後の劇場版 」で、
お色気シーンを下品で笑えないと、こきおろしました。
一見両者の下半身ネタは同じようで、全く違います。
「 只野仁 」の描写の仕方は、ただ単に性をおもちゃにしているだけ。
だから性は大切なものだと思っている人には不愉快で怒り心頭なだけなんです。
「 愛のむきだし 」は、きちんと実生活の中で問題に向き合って考えたという
下地の上に成り立っているので、勃起シーンが何回出て来ても、
スンナリ受け入れられてしまいます。
こうやって比べてみると、映画の中で説明されていない、作り手の姿勢が、
スクリーンを通して、バッチリ見えてしまうものなのですね。
だとすると、映画作品って、制作側が気付かぬ内に自分で自分を盗撮したものだとも
言えちゃう事になりませんか?
怖いですね。 創り手は、そういう所も肝に銘じて、醜悪な映画だけは作らないで欲しいよ。

さて、まだ2009年になって1ヶ月も経っていないのですが、二へドンの今年見た映画
13本の中で1番良かった映画です。
名作10本をギュギュッと凝縮した程、見応えがあるので、是非ご覧下さい!!

2009年01月31日(土)より 渋谷・ユーロスペースにてロードショー
特別鑑賞券 ¥2,000.-  当日料金 ¥2,500.-
学生 ¥2,000.- シニア・夫婦50割引・映画サービスデー ¥1,800.-
西島隆弘クンの舞台挨拶の予定もあるみたいだから、ファンの方はお忘れなく。

www.eurospace.co.jp

時間は、10:00 / 14:25 / 18:55

***** 「 「愛のむきだし」・試写会レポ 」 ・ 完 **********

「 本日のおまけ 」
二へドンは実は「 端役フェチ 」でもありまして、ワンシーンだけ出て来る人に愛を注ぐのですが、
この作品で見落としてはならないのは、「 なすび 」さんです!!
まだ生きてたのかー。 久々に会えて嬉しかったよ!!



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Posted by ニヘドン at 21:49│Comments(4)映画
この記事へのコメント
こんばんは!
初めまして!

おととい初日に観てきました!

ものすごく良かったです!

「気球クラブ、その後」「エクステ」に続き、園作品は3作目ですが、
どれもハズレなしですね!

でも、この「愛のむきだし」は別格!

DVD出たら、絶対買います!
決めました(笑)
Posted by 咲太郎 at 2009年02月02日 03:56
> 咲太郎様。

  初めまして。 コメントありがとうございます。
  初日に行かれたのですね。
  会場内の熱気が容易に想像出来ます。
  初日の舞台挨拶に行きたかったのですけれどね・・・・・。

  この映画に対する、皆さんの興味は並々ならぬ物があって、
  今年に入って私のブログのアクセス数最多の記事は
  「 愛のむきだし 」の感想でした。
  通常の記事のアクセス数よりゼロが1桁多い位
  尋常でない記録になってます。

  日本のベスト映画100なんてランキングがあったら
  絶対にランク・インする映画だと信じているので、
  是非、1人でも多くの人に見てもらいたいですね。

  でも、1つ困る事が・・・・・・。 
  人にこの映画を語ろうとして、
  思わずタイトルを 「 愛のもろだし 」 とか口走っちゃうのです。
  モロだしは、やばいね・・・・・。
  皆さんも、気をつけて下さい・・・・・・・。
Posted by ニヘドンニヘドン at 2009年02月02日 08:40
初めまして。
映画は年に数えるほどしか観ないものですが、
今まで観たものを覆すくらいの衝撃を受けました。
こちらを読ませていただき性描写の善し悪しなどについて納得できる部分が強かったのでトラックバックさせていただきました。
この作品の影響は凄かったらしく、私がにわかファンでありますところの満島嬢のブログは一時ダウンしたとのことです。
舞台挨拶3回目、気がつけば終わりが23時を越えていましたが
帰りの電車に間に合ったことなども含めすべてに感謝したいです。

なんだかまとまりのない文章ですいません。
Posted by (財)pianissimo at 2009年02月02日 18:06
> (財)pianissimo 様。

  初めまして。 コメントありがとうございます。
  うんうん。 本当にインパクトのある映画ですよ。
  この映画に巡り会えた人は、日頃の行いの良い人だと
  思いますよ。
  園子温監督に感謝ですね。
  あの映画を観た人は、熱く語りたい衝動に駆られますよね。
  そんなパワーを持った作品です。

  また、語りたくなったら、語りに来て下さいませ。
Posted by ニヘドンニヘドン at 2009年02月02日 22:27
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