2011年03月17日

新訳「 奥さんは小犬を連れて 」

ずっと読みたい。 読みたい。と思っていた本は沢山有ります。
その内の1冊が、アントン・チェーホフの「 奥さんは小犬を連れて 」です。
実は、このチェーホフの有名な短編小説は今までは
「 犬を連れた奥さん 」と云う題名で出版されていました。

「 新訳 チェーホフ短編集 」という本が2010年に集英社から
出版されました。
今回、二へドンはこの新しい翻訳判で読んでみたのです。
訳者は沼野充実義( ぬまの みつよし )氏です。
本の中には、各短編の後に、沼野充義氏による目から鱗的な解説も
つけられ、今までチェーホフの名前は聞いた事が有るけれども、
作品には触れた事が無いという人には格好のチェーホフ入門テキストに
なると思います。

この本に納められているチェーホフの短編は13編。
タイトルを列挙すると
「 かわいい 」「 ジーノチカ 」「 いたずら 」
「 中二階にある家 ある画家の話 」「 おおきなかぶ 」「 ワーニカ 」
「 牡蠣 」「 おでこの白い犬 」「 役人の死 」「 せつない 」
「 ねむい 」「 ロスチャイルドのバイオリン 」「 奥さんは小犬を連れて 」です。

二へドンが「 奥さんは小犬を連れて 」を読みたいと思ったきっかけは、
映画「 愛を読む人 」に出て来たからです。

映画のレビューはこちらでお読み下さい。
「 愛を読むひと - 前半 」 http://nihedon.hama1.jp/e109161.html
「 愛を読むひと - 後半 」 http://nihedon.hama1.jp/e115244.html

主人公ハンナは文盲でしたが、ナチスの戦犯として刑務所に入れられた時に
チェーホフの「 犬を連れた奥さん 」を手に取り、
音声と文字を照らし合わせる作業をしながら、自分で文字を読める様に
なって行きます。
この、ハンナの成長のきっかけとなった、とても大事な存在が
この「 犬を連れた奥さん 」だったのです。
映画を観た人の大半が、映画のラストで疑問を感じたと思います。
「 どうしてハンナは自殺しちゃったの? 」
映画作品の中では答えは提示されていません。
映画を観た人が、各自で心の中で反芻して答えを出すべきものなのでしょう。

だから、二へドンは、「 愛を読むひと 」のレビューを書いた時に、
恐らく致命的な間違いをしでかしたのだと思います。
「 犬を連れた奥さん 」を読んでもいないのに、映画のコメントをしてしまった!

今回、この「 奥さんは小犬を連れて 」を読んで衝撃でした。
この本を読んだ後で、もう1度「 愛を読むひと 」を観たら、
全然違う感想になったかもしれません。
「 愛を読む人」は、多くの日本人が観た映画ですが、
もし。映画は観たけど、チェーホフは読んでいないという方、
今直ぐ、本屋さんに走って下さい!!

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Posted by ニヘドン at 13:16│Comments(0)読書
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