2012年02月01日

「 サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 」

原題 : Les Amants du Flore
( フロールの恋人 )
邦題 : サルトルとボーヴォワール 哲学と愛
監督 : イラン・デュラン=コーエン
出演 : アナ・ムグラリス
      ( ボーヴォワール役 )
      ロラン・ドイチェ
      ( サルトル役 )
製作年 : 2006年
製作国 : フランス
上映時間 : 105分
言語 : フランス語

********************

凄く良かったです。
二へドンのお年頃の人々に取っては、
サルトルとボーヴォワールと言ったら、
人類の知性の存在証明とも言える、
すんごい大師匠達だったのですよ。

今でもまだ、その当時の余韻に浸っている人にとっては、
この映画は、サルトルとボーヴォワールのイメージを
損なわない、ドキュメンタリーと取っても良い程の
出来だと思います。

サルトルを演じるロラン・ドイチェも、もろサルトルだし、
ボーヴォワールを演じるアナ・ムグラリスと来たら、
似ているを超越して、本人まんまだし!!
もう役に成りきり方が半端無いんですよ。

アナ・ムグラリスは、
「 シャネル&ストラヴィンスキー 」でも
→ http://nihedon.hama1.jp/e814365.html
シャネルまんまだったのを思い出しましたー。
シャネルもボーヴォワールも100%なり切っちゃうなんて凄い!
今度は何だ!? 楽しみー!!

ただね、この映画を見終わった後に、20代後半の知人に会ったので、
「 今、サルトルとボーヴォワールの映画を観て来ましたー。」と言ったら
反応が有りませんでした。
何、それ? でも質問出来ないって感じでしたよ。
二へドンは愕然としました。 
20世紀末生まれのお子達にとって、サルトルとボーヴォワールは、
知らなくても生きていける世代なんだ・・・・・・・・。
ショック・・・・・・・・。
当時は、彼らの思想が、「 永遠の真実 」の様に感じられたのに、
サルトルとボーヴォワールの名前すら知らない若者が
社会人として生きて行く21世紀になっちまったのか・・・・。

若い人達が、サルトルとボーヴォワールを知るきっかけの映画になってくれたら
嬉しいです。

たまたま最近、マイミク達と、ワルシャワのジャズ・シーンについて語る機会が
有りました。 
東欧映画で、ジャズ・ミュージックが使われる事が多いので、
二へドンは常々、旧・東欧諸国のジャズ・シーンについて調べてみたいと思っていたのです。

この「 サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 」の中でも、ジャズ・ミュージックが
ふんだんに使われています。
第2次世界大戦の翳りが、知識人の出兵という事態にまでなった時に、
ジャズが流れて来ると、
戒厳令下のワルシャワで、密かに演奏が続けられたジャズの事に思いが至りました。
ジャズは、抵抗する強い意志を持った人間の心にピッタリ寄り添ってくれる音楽なのかな
と思ったのです。

この映画を観る時に、結婚という一般的なシステムに則らなかった
サルトルとボーヴォワールの奇妙な関係に興味を持つだけではなく、
映画で使われている音楽にも、是非関心を持って頂きたいと思います。  

Posted by ニヘドン at 23:05Comments(0)映画

2012年01月25日

「 ロボジー 」

監督 : 矢口史靖
製作国 : 日本
製作年 : 2011年
キャスト : 鈴木重光 ( 五十嵐信次郎 )
        ミッキー・カーティスさんだよ!
        佐々木葉子 ( 吉高由里子 )
        小林弘樹 ( 濱田岳 )
        太田浩二 ( 川合正悟 )
        長井信也 ( 川島潤哉 )
        伊丹弥生 ( 田畑智子 )
        斉藤春江 ( 和久井映見 )
        木村宗佑 ( 小野武彦 )
        トイレのおやじ ( 竹中直人 )

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面白かったよ。
コメディー見るなら、三谷幸喜よりも矢口史靖だね!!
三谷幸喜は、感動も盛り込もうとして、胡散臭くしちゃってる部分が鼻につくのね。
見ればそれなりに楽しめるだけれども、やはりこうして比べちゃうとね。

この作品にも実力派の役者さん達がオンパレードという豪華版ですが、
三谷幸喜作品に比べると人数が少ない分、スッキリとしていて
より、ストーリーにのめり込めます。
矢口作品の方がスマートなんだよね。
前半の軽過ぎる部分は、好き嫌いが2分されるかもしれないけれども、
後半のクライマックスには誰でも惹きつけられない人はいない筈だもん。

この作品の何がいいって、もうミッキー・カーティス、あ、いえいえ
五十嵐信次郎さんの味ですよ!!
五十嵐信次郎名義で映画に主演するのは、これが初めてだとか。
二へドンは昨年からミッキー・カーティスさんの twitter をフォローしていて、
最近やたらに ミッキーさんが 「 ロボジー 」関連のつぶやきをリツイートしてるから、
どうした事かと思ったら、五十嵐信次郎さん本人なんだから当然だわよねえ。

五十嵐信次郎さんの、冴えない爺いっ振りが最高です。
爺いっ振りは枯れているんだけれども、
( 白い肌着が似合っちゃうようじゃあ、もう男性としては終わりだよねえ・・・。)
時折見せる表情がチャーミングで、胸キュウンです。
最近の二へドンは、爺がやけに気に入るんだけれども、
この「 ロボジー 」の爺ィは、ヤバイよ。
もう 嵐だとか、関ジャ二とか言っている場合じゃないよ。
21世紀の乙女の心を潤してくれるのは爺ィだよ。 ヤバイよ。

ミッキー・カーティス( カーチスって表記嫌いなの。 ごめん。)の出演映画は沢山
有るけれども、昨年の映画「 日輪の遺産 」でのミッキー・カーティスもいい味出てるよ。
→ http://nihedon.hama1.jp/e924801.html
まだ映画レビューを書いていないのだけれども、「 映画クロカゲ 」にも
偽手形職人役でミッキー・カーティスが出ているのを、ふと思い出しました。

「 ロボジー 」のエンディングで、五十嵐信次郎が歌う「 MR.ROBOT 」が
流れるんだけれども、流石ロック・ミュージシャン!!
見事な歌いっぷりだよ。 英語の発音も上手いし。( 笑 )
このCD欲しいって思っちゃった程の見事な仕上がりです。
ミッキー吉野さんが絡んでいるのも流石だな。 唸るしかありません。
五十嵐信次郎さん、いいな。 73歳。 血液型O型。 icon06

  

Posted by ニヘドン at 20:25Comments(2)映画

2012年01月24日

「 スパルタンX 」

 ブリリア・ショートショート・シアターで
2011年の08月から始まった
「 香港祭り 」!!
週替わりで香港映画を見せてくれます。
本当は二へドンが観た映画のレポを
全部書きたいのだけれども、
毎週毎週だもんで、
とっても追いつかないのです。
今日は頑張って、
「 スパルタンX 」について書きます!

先ずは、ブリリア・ショートショート・シアターの
ホームぺージから映画の概要をコピペ。
二へドンが書き加えた部分も有り。

.香港映画祭  上映期間:9/12〜 9/18
邦題 : スパルタンX
英題 : WHEELS ON MEALS
原題 : 快餐車
キャスト:ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ、
     サモ・ハン・キンポー、ローラ・フォルネル
上映時間:約108分

スペイン・バルセロナ。カンフーの達人トーマス( ジャッキー・チェン )
とデビット ( ユン・ピョウ )は、
ある日、怪しい男たちに追われる謎の美女シルビアを助ける。
友人のヘボ探偵・モビー( サモ・ハン・キンポー )の手を借り、
実はシルビアが伯爵の娘で、
彼女の遺産を狙う伯爵の弟が一味の黒幕だと知ったトーマスたち。
だが度重なる激しい襲撃に、ついにシルビアがさらわれてしまう。
3人は彼女を助けるため、最強の戦闘集団と壮絶な肉弾戦を繰り広げる!
.Director / サモ・ハン・キンポー

鑑賞日 : 2011年09月18日(日)
料金 : 年間パスポート所持者は無料!
映画館 : ブリリア・ショートショート・シアター
      ( 横浜みなとみらい )

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日本人の男共も、そうなんだけど、香港の男達も、
白人女性に対する夢が物凄いのねー。
こんな映画を作っちゃうんだからね。
天下のジャッキー・チェンともあろう者が、毛唐の女子に、へなへなしなくたって
いいぢゃん?
しかも一流女優じゃなくて、演技の下手な三流女優なんか呼んじゃってさ。
二へドンから見たら、コン・リーや、チャン・ツィイーの方が、
よっぽど見たい女優さんだけどね。

まあ、若いジャッキー・チェンとユン・ピョウが可愛いから許します!

日本語のタイトル「 スパルタンX 」は格好いいけど、これは作中で
David と Thomas が働くワゴン・カーの名前なんですよね。
英語のタイトルと中国語のタイトルは、もうちょっと何とかならなかったのかしら?

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目覚まし時計が鳴り、ランニング・シャツ姿の David ( ユン・ピョウ )
と、隣の部屋の Thomas ( ジャッキー・チェン )が目覚める。
ジャッキー・チェンは、いきなり映画の冒頭で白いブリーフ姿を披露。
あら、いや~ん。

2人は、いきなり室内でトレーニングを始める。
David と Thomas は、お互いの足を絡めて腹筋運動。
このシーンは凄いですよ。
華やかなカンフー・シーンではありませんが、
まあ2人共、上体を捻る。 捻る。
とても凡人には真似の出来ない、凄いものを見せてくれます。
2人共、光る汗がアクセサリーです。
そしてボクシング。

そしてシャワーシーンへとなだれ込むのですが、あらー。
映るのは頭だけ。 
サモ・ハン・キンポーのケチ。 短か過ぎです。
もうちょっと見せてくれても、映倫には引っかからないぞい。

2人はグラスに入れた牛乳を一気飲みする。
( こういう一気飲みシーンは肉体派映画には欠かせないのね。
  「 ロッキー 」は生卵一気呑みしてたし。
  「 ミステルロココ 」では佐津川愛美も飲んでたなー。)

さて白人の俳優さん達が広東語を喋るのには、超笑えるんですけど。
まあ、吹き替えなんですけど。

白人の男( イタリア人? よく分からない。)が妻と喧嘩をして Thomas の部屋に
逃げ込んで来る。
Thomas は2階のベランダから1階の店の日除けをクッションにして飛び降りる。
David も続いて同じ様に飛び下りようとしたら、1階の店主に止められる。

David と Thomas は、車を洗っている。
ノーブラでホットパンツを穿いた美女が通る。
それに気を取られてバケツの水を、David が警察官に掛けてしまう。  

Posted by ニヘドン at 16:48Comments(0)映画

2012年01月20日

「 第4の革命 」 ・ 前半

邦題 : 第4の革命 エネルギー・デモクラシー
英題 : THE 4TH REVOLUTION
ENERGY AUTONOMY
監督 : カール・A.フェヒナー
観賞日 : 2012年01月19日(木)
映画館 : ブリリア・ショートショート・シアター
料金 : 1,000円
     ( 年間パスポート会員価格 )
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「 再生可能エネルギーにシフトして、莫大な利益を一握りの大企業が独占している現状を打破し、地球と人類の未来を守りましょう。」と言うのが、
この映画の主張です。

ドイツ連邦議会議員であり、
ヨーロッパ太陽エネルギー協会会長の
ヘルマン・シェーアが冒頭から問題提起をします。
このおやっさんが又、いい味を出しています。
マフィアの No.3 位の実力者に匹敵する様なオーラを出しています。
そして吠えます。

このドキュメンタリー映画には複数の「 識者 」或いは「 専門家 」の皆さん達が出演して、
エネルギー問題に関する持論を述べます。
どの意見も「 成る程。そう言うものなのかな?」と思えてしまいます。

ところが、必ず後でヘルマン・シェーアのおやっさんが出て来て反論します。
「 いや、だが、しかし…。」
見事なあまのじゃくっ振りです。(笑)
日本にもアメリカにも、こういう骨太のおやっさんが居れば良いのに。
ただ長い物に巻かれるだけの日本人の中で暮らしていると、
ヘルマン・シェーアのおやっさんがヒーローに見えて来ます。

この映画から学ぶべき点は沢山有ります。
再生可能エネルギーにスムーズに移行しない理由は、
決して技術的な問題なのではなく、
「 抵抗勢力 」の為だと、映画はバッサリと切り捨てます。
ほんの一握りの企業( それは往々にして政府と癒着している )が莫大な利益を吸い上げる現在のシステムを、連中がおいそれと手放す訳がありません。

私達一般庶民は、電気が欲しくて、「 大地主 」の言うなりになっている「 農奴 」なのです。

自分達が使う電気は自分達で発電しようと、この映画は提案しています。
エネルギーで自立する事が、エネルギー・デモクラシーなんだと、全く納得出来ます。

03月11日の大地震以降、頭狂電力のやり方が何だか変だ、政府のやり方が納得出来ないと思っている方には、是非この映画を見て欲しいと思います。
「 結局何もしない日本人 」のままでいるのは自由ですが、
ヘルマン・シェーアや他の「 先進的 」な行動する人々から刺激をもらえる事は必至です。
ニヘドンは、自分で出来る事を模索する勇気を、この映画からもらいました。

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[ 本日の予告編 ]
☆ 「 皆既日食の午後に 」
☆ 「 ミステルロココ 」 
   この予告編で客席から笑い声が上がる。 良かった。
   二へドンの好きな映画だもの。

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アメリカ・ロサンゼルスの夜景。
川の様に長く続く車のライトの繋がり。
高層ビルの無数の灯り。
御伽噺の様に美しい流れる様な音楽に乗って、
この夜景のシーンは長く続く。
飛行機が空港に着陸する。
人々が電話をする。

ヘルマン・シェーアが語ります。
「 確かにロスの様な大都市を見れば分かる。
  再生可能エネルギーで賄えるのかと。」
「 こんな情景を見ていると胸が痛む。 高層ビルの大半が、それだ。」
ヘルマン・シェーアがタクシーに乗ってロサンゼルスの街を見て回る。
「 ソーラーパネルの外壁が殆ど無い。」
「 文化的な街なら、街にゴミを捨てないだろう。
  エネルギー排出物だって同じさ。」
「 この地球には、今も20億人以上が電灯無しで暮らしている。」

題字 「 第4の革命 」
中国の夜景が映し出され、ロック音楽が流れる。
タイトル・ロール。

工場地帯から立ち昇る煙の映像。
カール・A・フェヒナー監督のアップ。
風力発電所のプロペラの連なり。 
フェヒナー 「 この風力発電所はデンマークの北西に有る。
         1970年代後半、石油に100%依存し、石油ショックは深刻だった。」
風力発電所の創立者プレベン・メゴー氏が語る。
「 再生可能エネルギーに農場主達が興味を示してくれた。」

マリ共和国ザンバラ。
イブラヒム・ドゴラ 「 現地の病院が深刻な危機に瀕している。 明かりが無いんだよ。」
デコボコの道路に泥水が溜まっている。
「 若者が多く、自然が豊か。 でも動力が無い。 電気が通っていないからだ。
  このテクノロジーがアフリカを変える。
  この( ソーラー )パネルで東京やロサンゼルスと同じ電力が賄える。」
病院にソーラーパネルを付け、電灯が点く。
看護婦が興奮して言う。「 今まで懐中電灯で分娩したのよ。」

アメリカ合衆国ロサンゼルス。
「 第3世界の危機とエネルギー問題は切り離して考えられない。
  彼らはこれ以上石油に頼れない。
  世界のエネルギーの80%を占めるエネルギーであっても。」

IEA事務局のチーフ・エコノミスト、 ファティ・ビロル氏が語る。
「 彼らが事実に基づき、独自の判断を下せる様になるまでだ。」
ヘルマン・シェーア 「 石油、ガス、石炭。 エネルギーの消費地は
               エネルギーの産地とは切り離された所ばかりだ。
               一次エネルギーを商業的な物から無料の物へと転換する。
               勿論、反対は有るだろう。」
ヘルマン・シェーア 「 ロサンゼルス ⇔ サンフランシスコ間のソーラーファームは突然終わる。
              カリフォルニアの壊れた風力発電所の墓は、昔の夢の墓だ。
              20年~30年と言う期間では、エネルギーの転換は難しい。」
「 技術面だけの問題ではない。 抵抗勢力だよ。
  そのシステムを変えるんだ。 家庭や農場が個人レベルで電力を供給する。」

ベルリン官庁街。
1995年にOPECから移った白人男性( ごめん。 名前を失念!)が語る。
「 一般の人は悪くない。 政治はエネルギー勢力の言いなりになっている。」
「 エネルギーシフトは勢力を変える。」
エクソン・モービル社が450億ドルの利益を上げている。 これは売り上げNo.1。

朝靄に煙る高原。 風力発電のプロペラが多数回っている。
老年の夫婦が車に乗ってやって来て停める。
妻 「 ここがエネルギーを自給して受賞した所? 」
元OPECの男性が村を案内する。
「 貯蔵タンク。 中には80℃のお湯が貯めてある。
  デンマークの80%は地域暖房。 余剰エネルギーでお湯を沸かす。」
「 巨大な発電所の廃止も夢ではない。」
「 次の課題は電気の使い方だ。 余剰エネルギーを如何に効率良く使うか。」

マリア・スカイラス・カザコスと言う女性が語る。
「 発電した電気を貯蔵するなら、ガソリンスタンドと同じ様に電解液を詰められる
 スタンドを作ればいい。」

カリフォルニア電気カーの発明者イーロン・マスクが語る。
「 シュワルツェネッガーもマット・デイモンも( この電気カーを )買った。」
「 先ずテスラ社を創った。 再生可能エネルギーの自動車だと思う。」
インタビュワーは、思わず突っ込む。「 車検はどうなるの? 」

ノルウェー、オスロの波止場。
「 鉄の固まりで走る必用は無い。 用途に合わせた車に乗れば良い。」
電気自動車の欧州初の大量生産をする工場の映像。

「 自然エネルギーには増減が有る。
  食事時にエネルギーが逼迫したら、車から借りて、後で返す。」
「 石油産業から離れる事だよ。 石油産業からの自立だ。」
マスト「 私は電気飛行機を造るよ。 
     5年後には( 飛行距離を )4,000マイルに伸ばす。」
フェヒナー 「 交通用のエネルギーは400億リットル。」

実業家のマティアス・ヴァレンバッハーは語る。
「 私の電力発電機1号機は100万マルクだった。
  両親は呆れたよ。 それでも建てるなら、家に帰って来ないでって。
  今では400基に増えた。」
ヴァレンバッハーは、マクシミリアン・ゲーゲに自分のアイデアを語る。
「 社屋のコンペをした。 世界最高のエネルギー効率にしたかった。
  先ず木造でなければならない。 オープンのガラスは3層。
  発生したバイオガスを再び調理に利用したい。
  ソーラーパネルは多数設置した。
  社内のラップトップも一般のPCより省エネだ。
  建物全体では1年で1万以上節約になる。」

事務局の男性 「 新聞やTVで啓蒙活動をしても、消費傾向は変わらない。」

***** 「 第4の革命 」 前半 ・ 完 *************  


Posted by ニヘドン at 21:06Comments(0)映画

2012年01月11日

「 CUT 」

題名 : CUT
監督 : アミール・ナデリ
製作国 : 日本
製作年 : 2011年
出演 : 西島秀俊
  常磐貴子
  菅田俊
  でんでん
  鈴木卓爾
 笹野高史
鑑賞日 : 2012年01月11日(水)
映画館 : シネマ ジャック&ベティ
料金 : ¥1,000.-
      ( レディース・デー )

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

この映画は、テーマは御大層です。
主人公の秀二( しゅうじ )が拡声器で声高に主張しているのは
「 映画は売春じゃない。 映画は芸術です。」と言う事です。
これはシネコンの台頭と、コマーシャリズム偏重の映画の作られ方を批判しているのです。

秀二の「 映画を作る 」馬鹿は理解は出来ます。
けれども、「 映画を観る 」馬鹿の二へドンと致しましては100%納得の行く理論ではありません。
二へドンは総じて、何でも受け入れるタイプです。
音楽も何でも聴きます。 クラシックもロックも邦楽も雅楽も現代音楽も童謡も、本当に何でも。
ロックを見下すクラシック・ファンを二へドンは理解出来ないし、
クラシックを蔑むロック・ファンも、やっぱり理解出来ないのです。
何故、垣根を作ってしまうんだろうか。
音楽は何でも音楽じゃん。 確かにジャンルと言う共通概念は有るのでしょう。
でも、TPOに応じて聞き分ける楽しみを何故持てないのかしら?

映画だってそうです。 二へドンはスクリーンに映し出される映像だったら何でも観るのです。
ハリウッド映画も、 邦画もフランス映画もドイツ映画も香港映画もドキュメンタリーも
アニメも実験映画も何でも観ます。
確かに、映画にもジャンルは有ります。 
レベルの低い、高いも有るでしょう。
でも、仮にレベルが低かったとしても、それはそれなりに楽しみ方が有る筈です。

人間が食べると言う行為をする場合、四六時中、栄養の事ばかりは考えて食べないと思うのです。
たまにはジャンク・フードだって食べたら、シチュエーションによっては美味しく感じるものです。
映画に低級なのが有るからこそ、芸術的な映画が存在感を増すのではないですか。

秀二の主張は余りにも一方的で、拡声器で街頭演説をすると言う過激な方法が用いられます。
こういう下手糞な表現方法をする人の作る映画って、一体どんだけよ?  

Posted by ニヘドン at 20:25Comments(0)映画

2012年01月08日

「 テザ 慟哭の大地 」・ 前半

鑑賞日 : 2011年11月16日(水)
映画館 : シネマ ジャック&べティ
料金 : 1,000円 ( レディース・デー )

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

[ 本日の予告編 ]
* 「 地球にやさしい生活 」
* 「 おじいさんと草原の小学校 」

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

珍しいエチオピアの映画です。
エチオピアの現状って、余り良く分からないので、
この映画が提示した社会の動乱に背筋が凍りました。
人間の命が、いとも簡単に消される社会。
その中で懸命に生きようとする社会の末端の人々。
もの凄くスケールの大きな映画でした。
「 下らない娯楽映画なんて見てるんじゃないよ! 」と怒られた気分になりました。

因みにタイトルの「 テザ 」とは、エチオピア語で、「 朝露 」とか「 幼少期 」と言う意味です。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

雷の音。長く引き摺る様な歌声。
アフリカのエスニックな絵をバックにタイトルロールが流れる。
風の音が唸っている。
老人の絞り出す様な歌声。
「 天では何が待ち受ける?」
「 裁きの日が来た。
アダムの子等が火に焼かれる。」

病院に運び込まれた血だらけの黒人の男。
( これが主人公のアンベルブル。)
医師 「 朝迄持たないかもしれないな。」
アンベルブル 「 死ぬもんか。」


長い棒に火を点けた松明を持ち、ゆっくり歩く男。
アンベルブルの名を呼ぶ声が聞こえる。
子供達が棒で大地を叩きながら焚き火の周囲に座ってなぞなぞ遊びに興じる。

題字 「 TEZA 」( 朝露の意味 )

小学校のメルゲータ先生が湖の畔で民族楽器を奏でている。
母親が「 ウシさんよ。ウシさんよ。」と歌う。
祖母は囲炉裏の火が強いのを見て
「 誰か来るのかしら?」といぶかしがる。
「 アンベルブルに決まっているでしょう。」
「 あの子は帰って来ないよ。」

母はアンベルブルがやって来るのを見つけ、抱きつくと、
多分日本人は決して立てない甲高い吼え声( ? )を立てる。

1990年、アンベルブルは驢馬に乗せられ家に向かう。
その驢馬の後に迎えの家族が歩いて続く。
アンベルブルの歓迎のパーティーが行われる。
村人達が次々に挨拶に来る。
村人達が掛ける言葉が続く。
「 妻はいないのか? 」
「 イタリア人をやっつけた。」
「 お前は、この村の希望だ。」

そこへ兵隊が押し入って来た。
村の若者を戦争に狩り出すのが目的だ。
アンベルブルのモノローグ 「 そこは戦争状態なのだと気がついた。」

人々が外に立っている。
アンベルブルは片足を失って帰って来た。
アンベルブルの母は誓いの通りに地面の上を這って移動する。

草で葺いた屋根の、円形の建物の中で、
無数の蝋燭に火を点けて、人々が祈りを捧げている。
異境の匂いがぷんぷんしている。( 日本人の目から見ると。)
アンベルブルは目眩を感じ、外へ出る。
アンベルブルの兄 「 私の弟はどうなってしまったんだ?
まるで悪魔が憑いている様だ。」

子供の頃に遊んだムッソリーニ山で、アンベルブルは少年の姿を見る。
アンベルブルは遺跡に座る。
周囲には少年達が座り地獄について語り合う。
湖に浮かんだ1艘の丸木舟。
太陽が上り、湖の水面がキラキラ輝く。

すっかり日中の太陽が上り、アンベルブルの周囲には最早少年達の姿はない。

テケゼ川の戦いで何千もの人々が毒ガス攻撃を受けて死んだ。
そこに有るのはイタリアに勝った戦勝記念碑。

バラックの様な小学校に子供達が集まる。
先生は「 社会主義の花を咲かせよう! 」と子供達と
一緒に歌う。

アンベルブルが丘の上から下の草原を見ていると、徴兵忌避をしたワルクが軍人達に捕まってしまう。
軍人達に抗議をしたワルクの母親は顔を殴られ地面に倒れる。
母親は、そのまま地面に突っ伏したまま泣き叫ぶ。

アンベルブルは、小学校の先生と語る。
先生 「 子供達が将来どうなるかなんて、このご時世じゃ分からないよ。」
母親は地面を這った為に両膝から血を流す。
松明に火を点けた少年達が歌いながらアンベルブルの家を祝福する歌を歌う。

兄 「 俺が長男なのに、あいつが金を渡す役なんておかしいじゃないか。」

朝、アンベルブルはベッドで大声で叫び飛び起きる。
包帯でぐるぐる巻きの男の映像。

湖の畔に立つアンベルブル。
水は泥色に濁っている。
木舟に乗る女アザヌが歌う。
♪ 飛んで私の鳥よ 飛んで
私を探してと伝えて

朝も無く夜も無く、働くアザヌの姿。
母親のタタの姿。

アンベルブルの所に、老人が末娘の具合を見てくれと連れて来る。
夫が酒飲みで、妻を殴るらしい。
アンベルブルは、じっと座って考える。
「 どうすれば家族の期待に応えられる? 」
アンベルブルは、其処に居ない人物に向かって話し掛けている。
母親 「 大丈夫かい? 」
アンベルブルは教会に行く。
アンベルブル 「 聖水で記憶喪失は治りませんよ。」
司祭 「 母親の為だ。安心させてやりなさい。」

大きな叫び声。
母親が駆け寄る。
アンベルブルがベッドの上で叫んでいた。
人々はアンベルブルに白い布を被せ教会に連れて行く。
司祭達は祈りの言葉を唱える。
アンベルブルは上半身裸に冷水を浴びせられる。
「 悪魔よ。出て行け。」

ケルン 1970年代。
英語で喋るアンベルブルとカサンドラ。
カサンドラ 「 母がドイツ人なのよ。」
研究室で研究をしているアンベルブル。
「 病気を根絶する為に国に帰ろう! 」
民兵達が大木の下で、村人達に社会主義のアジを飛ばす。
「 セラシエ体制から今のファシスト政権まで話して下さい。」
アンベルブルの独白 「 戦争を続ける為に若者を狩り集める。」

夜、洞窟に行くアンベルブル。
中には若者達が隠れている。
彼らは洞窟の中で松明に火を点けている。
アンベルブル 「 私が若い頃、この洞窟は竜が棲むと言われ、イタリア軍から身を隠すのに使われた。」

昼、ライフルを構えた軍人達がやって来る。
水甕の中に隠れていた青年が見つかり、彼は飛び出して草原を走る。
兵隊は容赦無く青年を背後から撃つ。
地面に倒れた青年を見て、アンベルブルは嗚咽する。
雷が鳴る。

白鷺の群れが小さな鳴き声を上げながら飛んで行く。
母タタは棒を立てた周囲に糸を巻いている。
母親 「 温かいローブを作るよ。」
アンベルブル 「 彼らが殺したのは私の少年時代だ。
彼らは、この村の記憶を塗り替えてしまった。」
村人達は殺されたムチェーを思い泣く。
翌日、アンベルブルは教会で水を浴びる。

ケルンの家でギャビがテスの子を妊娠し、カサンドラは納得出来ない。
カサンドラ 「 I want to warn you.」
アンベルブル 「 I don't get it. 」
カサンドラ 「 ふらっとやって来て子供を作っていい国じゃない。
黒人の子供がどんな差別を受けるか。」

アンベルブルは女が湖で泳いでいるのを見る。

***** 「 「 テザ 慟哭の大地 」・ 前半 」 ・完 *****

後半は 「 ドンドン日記・第2章 」 http://cinemamusicgroumet.hama1.jp/e1106410.html で
お読み下さい。  

Posted by ニヘドン at 18:11Comments(0)映画

2011年12月28日

「 ニューイヤーズ・イブ 」

原題 : New Year's Eve
邦題 : ニューイヤーズ・イブ
鑑賞日 : 2011年12月28日(水)
映画館 : 109シネマズ川崎
料金 : 1,000円 ( レディース・デイ )
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

どうせ、全く内容の無いチープでイージーなソープ・オペラだと見る前は思っていました。
でも女の子って、たまには、そう言う、
馬鹿丸出しの恋愛映画が心の栄養になる事が有るのです。
何年生きても乙女心を捨てられないニヘドンは、そう言う訳で見に行ったのです。

ビックリしました。
幾らレディース・デイで女性の姿が多いとは言え、
何だか滅茶苦茶混んでいます。
ニヘドンは何処の映画館でも大抵2列目に座ります。
理由は空いているからです。
誰も居ない列を貸し切り状態で座るのは気分いいです。
しかも最近は最前列が車椅子用のスペースになっているシアターが多いので、
2列目とは言え、
目の前はスクリーンです。
視界に馬鹿っプルが入ってこないのはいいですよ。
しかし、今日は2列目に、ニヘドン以外に 10人が座りました。
混み過ぎだろう!!

この「 ニューイヤーズ・イブ 」は、複数のカップルの恋の行方を同時進行で描いて行きます。
内容の無い恋愛映画に有りがちな構成ですね。

でもね、面白かったんですよ、これが!
鳴り物入りで封切られて、見たらガッカリと言う映画は多いですが、
この映画の良い点は、テーマが1本、
筋が通っていてブレてないんです。
そのテーマとは「 みんな幸福になろうよ!」です。
そしてニヘドンが感心したのは、このテーマに沿って
1つ1つのエピソードが実に丁寧に描かれているんです。
だから短いエピソードにも感情移入出来て、
見終わった後の満足感が高い映画に仕上がっています。


  

Posted by ニヘドン at 17:18Comments(0)映画

2011年12月23日

「 悲しみのミルク 」

鑑賞日 : 2011年05月25日(水)
この映画の持つ強いメッセージ性とパワーに
圧倒されてしまい、二へドンは今日迄
レビューを書く事が出来ませんでした。
この作品は第59回ベルリン国際映画祭で
金熊賞を受賞しています。
やはり西洋の人々も、この作品の持つ
魅力に絡めと取られたのだと思うと
何だか嬉しい気がします。

主人公は若い女性ファウスタ。
ペルーの貧しい農村に暮らしています。
この映画の特徴的なのは、登場人物の
誰もガハハハハハと笑わないのです。
ラテンアメリカと聞けば、
其処に住む人々は陽気で楽天的で
酒と女と踊りが大好きって言うイメージを
ついつい刷り込まれてしまっている私達ですよね。

この映画では主要な登場人物が全く笑いません。
ファウスタは裕福なピアニストの家でメイドとして
働き始めるのですが、このピアニストも
心の中は鬱々としている様で、
ヒステリー爆発です。
ちょっと意味不明の行動が多いです。

評論家達は、この映画を、ファウスタの歌の才能を賛美したり、
芯の強い女性の生き様を応援したり、
何か、本当に分かってるの? と言うコメントが多く展開されて
いた様に感じました。

二へドンは、この映画をオカルト映画だと感じました。
確かに、ファウスタがピアニストの奥様のお屋敷から自宅に
戻る時に、彼女は悪い霊に取り付かれない様に、壁をずっと
片手でこすりながら歩いて行きます。
この部分だけを取り出せば、オカルトには違いありません。

けれども、彼女が局部にジャガイモを埋め込んでいて、
そこから伸びた芽をハサミでパチン、パチンと切るシーンは
おぞましいと言うか、今までそんな事が有るだなんて想像もした事が
無かったので、ぞっと身の毛がよだちました。

ファウスタは自分が恐乳病だと信じている。
これは実際に西洋医学で認められている病気ではなく
アンデス地方で信じられている世俗的な病気の一種で、
母親が極度の恐怖を感じると、その恐怖が母乳を通じて子供に伝染すると
言うもの。

ファウスタの母親は、ペルーが暗黒のテロに時代にレイプされ、
ずっとその悲しみを癒す事が出来ない。
結局母親は、死ぬまで、ずっと怨念を抱きながら生きてしまった。

母親とファウスタは、心の暗闇を即興の歌でお互いに投げかけあう。
日本人は、「 歌 」は楽しい時に口ずさむものだと思っていますよね。
音楽は楽しいものだ。 音楽は癒しだ。 音楽は心の栄養だ。
そんな認識を大半の日本人が持っています。
でも、ファウスタと母親が歌う歌の、何とも底なしのぞっとする歌詞は何だ!?

歌う事で悲しみや憤りで潰れてしまいそうな心を解放しようと言う意図は
分かるけれども、人間って、其処まで理性を失う程、絶望の極致になるの?
しかも、それは瞬間的にではなく、何年も何年も?

確かに、レイプされたら、女性の身体と心に大きな傷が付く事は分かります。
でも、そんな何十年も、怨嗟のうねりの中で生き続けるのって有り得る?
ラテンの人々って、性に関しても一般的な日本人より遥かに大らかで、
肉体関係も不特定多数の人とOKみたいなイメージが有るけれども、
そこまで長く、レイプされた被害者意識を嘆き続けられるのかしら?

二へドンも1人の息子を持つ母親として思うのは、
自分の子供が生まれたら、とっても可愛いくて、その子の笑顔を見たら
どんなに苦しい過去が有っても、顔では子供に笑顔を向けると思うのです。
何度も何度も、我が子に笑顔を向けている内に、段々と自分は幸福だと
思えて来ると思うんだけどなあ。 時々苦しさが蘇って来るにしても。

我が子が、自分は恐乳病だと思い込ませる様な育児は、これ或る意味
幼児虐待だよねえ?
二へドンは母親の視点から見ると、この母親の不甲斐なさに憤慨します。
自分の悲しみと、娘の幸福と、どっちが大切なんだろう?
二へドンは即答出来ます。 子供の幸福の方が大切ですよ。
だって不幸な子供を持っていたら、親として、自分も幸福にはなれないじゃないですか。
このお母さん、パチンコ屋の駐車場に車を置いて、冷房もつけないで我が子を残して
殺してしまう親と大して違わないと思いますよ。  

Posted by ニヘドン at 18:17Comments(0)映画

2011年12月21日

「 ブンミおじさんの森 」 後半

この記事は「 ブンミおじさんの森 」前半の続きです。

森の中を駕籠に乗った王女が揺られて行く。
王女は鼻から下をベールで覆っている。
人足達は黙々と歩いて行く。
駕籠を担いでいる人足の青年が恨めしそうに王女を見る。
王女はカーテンを閉めるが、片手を隙間から出して、男の頭や肩を触わる。
男は女王の手に自分の手を重ねる。

滝壺に女王はやって来る。 彼女は顔のベールを取る。
女王は岩場にしゃがみ、水に自分の顔を映して見る。
「 水面に映るのは幻と解ってはいるけど、私が王女でなくても、そう言ってくれるの?
  戻って来て。」
人足の青年が戻って来る。
人足の青年は女王を抱き留め、濃厚な口づけをする。

女王は男を突き飛ばす。
 「 顔を見ないのね! 水面に映った女の顔を想像してキスしたんでしょ!
   1人にして!! 」
女王はしゃがみこみ、啜り泣く。 そして歌を歌い出す。
女王の本当の顔は年老いていた。
人足の青年の姿がふっと消える。

「 ここでずっと、あなたを見ていました。」
水の中の何物かが女王に話し掛ける。 直に、それがナマズであると分かる。
女王はナマズに言う。
「 彼女には私には無い物が全て有るわ。 私には愛が無いわ。」
ナマズは尾で水を叩き、姿を消す。

「 戻って来て。」
女王は川に入って行く。
腰まで水に浸かり、幾重にも巻いた首飾りを水の底へ沈める。
「 私をあの幻の様に、白く美しく変えておくれ。
  私の全てを、水の神よ。 お受け取り下さい。」
女王は肩まで水に浸かり、頭を反らして仰向けに水に浮かぶ。
女王の股間に巨大ななまずが顔を突っ込む。

水底の石の上に女王のネックレスが引っ掛かっている。
ナマズのヒゲがスクリーンに映り込む。
水泡がブクブクと泡立つ。

テーブルの上の虫をジェンが竹製の団扇で払う。
ブンミはベッドの上に身を横たえ、透析の治療を受けている。
ベッドサイドには、ブンミの死んだ妻フェイの姿が見える。
身を起こしたブンミはフェイに抱き付く。
フェイはブンミの頭を撫でる。
ブンミ 「 学生の頃、授業で発表する前、必ず気分が悪くなった。 
      今もそうだ。」
フェイ 「 興奮しているから? それとも怖いから? 」
ブンミ 「 フェイ。 愛しているよ。
      昨夜、君が現れた時、ドギマギしてしまった。
      君の手は氷の様だね。 どうしたらいい?
      俺が死んだら、どうやって君を探す? 天国かい? 」
フェイ 「 天国なんて何も無い所よ。
      幽霊は場所には執着しない。 人に執着するのよ。」

トンとジェンは木のベンチに座ってTV番組を見ている。
ブンミがジェンを呼ぶ。
「 ジェン、見せたい物が有る。 来てくれ。」
ブンミは、レジ袋から通帳等を取り出す。
ブンミ 「 俺の遺品だ。 もう行く時だ。」
ジェン 「 あなたは幽霊のくせに変よ。」

フェイ、ブンミ、ジェン、トンは1列になって夜の森の中を歩く。
トンが懐中電灯で行く先を照らす。
疲れたブンミが、力尽きて地面に座り込みそうになる。
ジェン 「 立って。」
トン 「 おばさん、あの音は?」
猿の精霊達が、木の背後に沢山のシルエットを見せる。

ブンミ達一行は、岩の割れ目にやって来る。
背後ではずっとゴーゴーと低い地鳴りの様な音が続いている。
岩山の中は鍾乳洞になっている。
一行は鍾乳洞の中に入って行き、やがて夜光虫が無数に光り輝く一画に出る。
トンは、あちこち懐中電灯で照らしてみる。
水の湧き出ている所に、身体の色が真っ白で、目の無い魚の群れが犇いている。
上の森の樹の切れ目から空の月が見える。

ブンミ 「 この洞窟、母胎みたいだ。 僕はここで生まれた。」
ロープで縛られた猿が人間に引かれている写真。
迷彩色の軍服を着た兵士達の写真。
「 過去の人々を見付けると光を当てる。 過去から未来に到着する迄を。
  影が映し出されると、過去の人々は消されてしまう。
  支配者に捕まりたくない。 俺は逃げ出した。
  彼らに訊かれた。 あの道を知っているかと。 俺は消滅した。」

ブンミは洞窟の岩肌に半ば横たわる。
フェイがブンミの右側に、ジェンが左側に付き従う。
フェイはブンミのお腹に装着したチューブを開ける。
チューブの先から、液体が地面を一筋に流れて行く。
森の中では赤い目のモノ達が、じっとしている。 その数は4匹。

朝、鳥達の囀りの中、洞窟に寝ていたジェンが身を起こす。
トンが垂直の岩場を上に登って行く。
ジェンはお尻をずる様にして、倒れているブンミの傍へ寄る。

ジャングルの風景。 虫が1匹、ブーンと飛んで行く。
お寺での葬儀。 参列者達は黒衣に身を包み、両手を合わせる。
( オレンジ色の僧服の僧侶達の読経の声が妙にリズミカルで、
  これは完全に音楽の領域だと、二へドンは感心してしまいました。)

電飾のバースデーケーキが置かれた祭壇。
オレンジ色と緑色のライトが点滅する。( 凄い! キッチュだわ!!)
参列者達にご飯が振舞われる。

蚊帳の中で男が身を起こす。携帯を見る。
オレンジ色の僧服を着た若い僧だった。
僧はまた身を横たえるが、彼は目を開けたまま男と女の声を聞いている。
「 アルニー・スリスック 150バーツ。
  インヴァバン家 50バーツ。封筒は大きいわね。
  ルン・アポン 300バーツ。
  無記名 100バーツ。」
ベッドの上でジェンと若い娘はお香典を計算している。
ジェン「 ブンミは銀行にお金を預けてなかったし、
     私、ブンミの事、余り知らないのよ。」

ドアがノックされ、娘のルンがドアを開ける。
「 眠れない 」と言って入って来たのは、ルンの兄、僧となったトンだった。
トン「 冷房がきつくて寒いな。」
ルン「 寒いのは頭に毛が無いからだよ。」
トン「 僕の部屋にはラジオも無いんだよ。」
トンは熱いシャワーを浴びると言ってシャワールームに入る。
オレンジ色の僧衣を脱ぐ。
あら、いやん。 若い僧のヌードを見せてくれるんでつか?
下半身こそ見えないものの、僧だけに、これが本当のご開帳ー!!

トンは寒い、寒いと言いながらシャワールームから出て来る。
Tシャツにズボンに着替えたトン。
トン「 ルン。 セブンイレブンに行って何か買って来よう。
    後は腹ごしらえだ。」
ジェンとルンはTVに齧り付いている。
ルン「 レモングラスの匂い。」
トン「 僕の靴から?」
ルン「 身体からよ。トムヤムクンみたい。」
トン「 僕はスープか?」

TVでは軍隊の報道をしている。
トンが行こうとすると、ベッドの上にはジェン、ルン、トンの3人が並んでいる!?

とても趣味のいい( ある人には趣味が悪く感じられる )キッチュな飲み屋。
ジェンとトンが向かい合って座る。
タイ語のロック・ミュージックが店内に流れている。
派手な電飾神棚の豆電球がチカチカと瞬いている。
全く色の統一感の無い店内。

ホテルの部屋ではジェン、ルン、トンの3人が、ただじっとTVを見ている。
ふっとブラックアウト。
スーパー「 『 前世を思い出させる男 』より着想を得た。」
エンドロール。
背後には風の音と鳥の囀り。

二へドンはジーンと感動の波に心を洗わせておりました。
「 もうこの完成度、最高!!」
エンディングノ曲は Acrophobia( 高所恐怖症の意味 )の楽曲。
最後の最後に、ファスナーを開ける音とか、カチャカチャ言う音とか
雑音がいっぱい入っている。
現実とオカルトがない交ぜになった、二へドンの好きなテイストの映画でした。

***** 「 『 ブンミおじさんの森 』後半 」・ 完 *****  


Posted by ニヘドン at 02:21Comments(0)映画

2011年12月07日

「 アントキノイノチ 」

題名 : アントキノイノチ

本当は、この映画、試写状を貰っていたんです。
10月27日(木)でしたね。
でもショートショート・フィルム・フェスティバルの秋開催のボランティアのシフトを入れていたので、行かれませんでした。
途中で早退しようかどうか、当日の昼迄ぐだぐだ竣巡していたんですけどね。

凄くいい映画でした。
役者さん達がいい。
脚本がいい。
映像がいい。

ニヘドンには現在 17歳の高校生の息子がいるので、
この映画で描かれている高校生達の生活や想いって、
身に詰まされる物があります。
高校生なんて、親の脛をかじってお気楽なもんだと思われるかもしれませんが、
なかなかどうして、若い心は大変なのですよね。
丁度今、埼玉県三郷市の高校生が起こした事件で話題は持ちきりな時期だけに、
親としては何とも気持ちが塞ぎます。

最後はハッピーエンドにしてあげなよ。
悲し過ぎるよ。

*******************************

鑑賞日 : 2011年11月30日(水)
映画館 : 109シネマズ川崎 
料金 : ¥1,000.- ( レディーズ・デー )

上映シアターはシアター10でシアターそのものは小さいのですが、
結構お客さんが入っていて、ぎっしりと言う印象でした。
ちょっとびっくりしました。

[  本日の予告編 ]
* マジック・ツリー・ハウス 2012年01月07日公開予定。
* ニューイヤーズ・イブ 2011年12月23日公開予定。
* 私だけのハッピーエンディング 2011年12月17日公開予定。
  この映画のコピーが良いんだよね。
  「 心を開けば傷つく。 それが怖かった。」
  誰でも同感なんじゃないかな。 ま、二へドンは傷ついても傷ついても懲りない人ですが。
* タンタンの冒険 ユニコーン号のひみつ 2011年12月17日公開予定。
* しあわせのパン 大泉洋と原田知世が出演してるの。 見たいな。
          しかも主題歌は忌野清志郎だし。2012年01月28日(土)公開予定
* ワイルド7 2011年12月公開予定。
* Railways 愛を伝えられない大人たちへ 201年12月03日(土)公開予定。
  この映画の二へドンのレビューは → http://nihedon.hama1.jp/e931508.html

ふー。 今日は予告編が盛り盛り沢山だったよ。

*************************************

床に広げられた制服のスーツにハサミが刺してある。
全らの青年( 岡田将生 )が民家の屋根の上に座っている。
青年のモノローグ。「 僕は2度、親友を殺した。 そして僕の心は壊れた。」
「 アントキノイノチ 」の題字。

3年後。 
屋根の上に乗っていた永島杏平は、コートを着て立っている。
父親「 ここで大丈夫か? まあ、親が一緒って言うのもな・・・。」
言うと父親( 吹越満 )は立ち去る。

壁に「 クーパーズ 」と言う看板が出ている。
永島杏平は遺品整理会社に入社したのだ。
事務所で、井上正志 ( 柄本明 )から制服を渡され、佐相( 原田泰造 )の
言う事を聞けと言われる。
  

Posted by ニヘドン at 16:17Comments(2)映画

2011年11月21日

椿山荘・無茶庵の「 三種のそば膳 」

2011年11月21日(月)
今日は毎年、秋に椿山荘にて行われる
「 ESSE × リビング新聞 しあわせ文化祭
Happy Shufu Festival 」にやって来ました。
09:30 〜 10:30 迄 「 ブロガーズプレス 」に参加。
12:00 〜 13:00 迄
「 石田純一さん ハッピーステージ 」を最前列で聞きました。
その後、例年はハッピーブースで様々な企業ブースを巡って
新商品情報を集めたりするのですが、
昨年の異常な大混雑のトラウマが
ニヘドンにブレーキを掛けたのか、余り行く気になれませんでした。
いや、要するにお腹が空いていたのでしょう。
レストランでお食事をしようと思ったのです。
昨夜、お昼ご飯を群馬県沼田市の原田農園で頂きました。
遅い昼食で22:00 に帰宅しても、まだご飯を食べたい気分では有りませんでした。
と言うか、うっかり朝迄眠ってしまったのでした。
そして翌朝、つまり今日の事ですが、
椿山荘に行く為に07:20 に、息子ちゃんが食べ残した豚カツを1切れだけ食べて家を出たのでした。

もう今年はブース巡りは後回しでいいや!
レストラン! レストラン!

しかし、椿山荘内のレストランは、Happy Shufu Festival の参加者達でいっぱい。
レストランの案内板には「 満席 」のシールが貼られたお店が続出です。
空いていそう、ただそれだけの理由で
庭園にある「 そば処・無茶庵 」を目指しました。
無茶庵は、よりによって椿山荘の建物から1番離れた庭園の最奥に有りました。
図らずも庭園散策をする形になってしまいましたよ〜。
天気が良くて良かった。

13:10 に無茶庵に到着。
入り口に案内をしてくれる係がいなかったので、
ずいずいテーブルの有る方に入って行きました。
ウェイターに「 1人です。」と自己主張すると、直ぐにテーブルに案内してくれました。
それは大きなガラス窓に臨む大テーブルでした。

店内は満席と言う程では有りませんでしたが、
サービスはスローで、席に着いてから
たっぷり5分は経ってから、お茶が出て来ました。
飲み頃の温度の蕎麦茶でした。
ちょっと薄いかな。
田舎の蕎麦茶みたいに、濃い目が好きなんですよ、ニヘドンは。

本当は島根県の特産物を使った「 島根フェア 」のメニュー
「 そば御膳『 牡丹 』」3,950円を味わってみたかったのです。
だってニヘドンは「 リメンバーしまね 」の会員で、
島根県をこっそり応援しているのですから。
でも生憎、14:30 〜の
「 ナガセサエコさんによる
肩甲骨スクワットど即効美やせ 」の整理券をゲットしていたのです。
焦らずに1時間以内で食べ終わるメニューが良いのです。
途中で食べ残して席を立つと言う事が出来ない性質なんです、アタシ。

いいメニューが有りました。
「 三種のそば膳 」1,800円です。
岩海苔、木子、とろろにデザートが付いている
乙女心をくすぐるセットです。
最初のお茶は持って来るの遅かったですが、
「 三種のそば膳 」は、許容範囲の待ち時間で運ばれて来ました。

では1つずつニヘドンの感想を書いて行きましょう。
* 岩海苔 … 干した岩海苔が乾燥したまま蕎麦の上に乗っているので、パリパリです。
       よくかき混ぜて食べましょう。
* 木子 … 舞茸、なめ茸、椎茸、大根おろし。
* とろろ … とろろの量が多過ぎもなく、少な過ぎもなく、絶妙の美味しさです。
薬味に小ネギ、青海苔、貝割れ大根が乗っています。
貝割れ大根の淡い苦味が美味い!
* 小鉢 … メニューには書かれていなかった小鉢が付いて来たので、得した気分です!
マグロと若芽の酢味噌乗せでした。
滅茶苦茶に美味よ。高級料亭の味です。
* デザート … ゼリーに、きな粉が振り掛けられています。
ん? もしかして、わらび餅だったのかな?

お蕎麦は3種類共に小さいお椀に入っているので食べ易いです。
3つ共、よく冷えているので夏向きのメニューにいいと思います。
蕎麦本体は美味しいには美味しいですが、
日本全国で蕎麦を食べ歩いているニヘドンから見ると、
まあ、中の上かな?
残念ながら、ニヘドンのランキングではトップ 10 には入れません。

ニヘドンの蕎麦ランキングは、
1. 出石そば ( 兵庫県 )
2. 十割そば ( 新潟県 )
3. へぎそば ( 新潟県 )
4. 東京庵の蕎麦寿司 ( 山口県 ) なんです。

蕎麦湯を飲みながら、目の前の庭園を眺めやります。
石灯籠、水盤、木柄杓、小さな人工滝、赤い椿の花、
斜面にびっしりと植えられた木々の葉で目の前は緑色の世界です。
見事です。
ニヘドンは自分の庭も、こう言う緑色一色の世界にしたいのに、
唐変木な植木屋が庭木を丸裸にしてしまうのです。
。。。(〃_ _)σ‖

店内のBGMは琴の音楽です。
木枠と障子紙で作った灯籠風の電灯傘が4つ組み合わされた明かりが天井の随所から下がっています。
テーブルの上には黄色い小菊が5輪、小さな花瓶に入っています。
ニヘドンの左隣の婆さんが、1人でぶつくさ言ったり笑い声を立てるのが気持ち悪かったのですが、
右隣は白人のマダム3人組で、持ちにくそうに箸を使っているのが微笑ましかったです。

生の小鳥の囀ずりを聞きながらのお昼のひと時はリフレッシュ出来ますね。
13:10 〜 14:10 迄、あっという間の一時間でした。
またこのお店を利用したいです。

後日談。
左隣の独り言マダムと、Happy  Shufu  Festival の会場に戻る時に、
また御一緒してしまいました。
でも彼女はチケットを持っていなくて、係りのお嬢さんに
「 チケットをお持ちで無い方は入れません。」と言われ
「 でも無料なんでしょ? 無料なんでしょ?」と食い下がっておりました。
事前応募制だと言っても分からないんでしょうね。 やれやれ。

***** 「 椿山荘・無茶庵の「 三種のそば膳 」」・完 *****  


Posted by ニヘドン at 20:07Comments(0)映画

2011年11月18日

「 ミケランジェロの暗号 」・ 前半

原題 : MEIN BESTER FEIND
英題 : MY BEST ENEMY
邦題 :ミケランジェロの暗号
監督 : ウォルフガング・ムルンベルガー
映画館 : シネマ ジャック&べティ

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

この日、午前中に「 テザ 慟哭の大地 」を見たので、
もう1本映画を見るかどうか、少し悩んだのでした。
でも、この「 ミケランジェロの暗号 」は、最高に面白かったです。
こう言う事を言うと、「 沢山のユダヤ人が殺されたのに不謹慎だっ! 」と激怒して見せるライターの方もいらっしゃるかもしれませんが、
ナチスの支配下の時代を描いた映画の中に、秀逸な映画が多くないですか?
追う者と追われる者の極限状態の中で、
追われる者が命懸けで知恵を絞り生き抜こうとする。
この生き抜く姿勢を見せてくれる映画を、ニヘドンは不謹慎だとは思いません。
他国の人々を敬う前に、自国の隣人を先ず先に愛せよ、と反論させて下さいな。

お話は、ユダヤ人画商のカウフマンが隠し持つミケランジェロの絵を巡る争奪戦です。
カウフマンの息子のヴィクトルが画廊を切り盛りしているが、カウフマン家に長年勤めた女中の息子ルディは、幼なじみとして育った。
ルディは女中の息子と言う劣等感を払う為に出世を夢見てナチスに入隊。
ヴィクトルが、うっかりミケランジェロの絵の有りかをルディに教えた事から、ヴィクトルとルディ側のナチスとの間に騙し合いの追い掛けっこが果てし無く続きます。
どんでん返しな次ぐどんでん返し。
優位に立った者は、次の瞬間、足元をすくわれる。
実に痛快です。
これぞ大人の知的なサスペンス。
これは見た方がいいですよ。

横浜方面の方、シネマ ジャック&べティでは、11月25日(金)まで、
この「 ミケランジェロの暗号 」を上映していますから、
お見逃し無く!!

***************************

※※※※※※※※※※※※※※※※※※
本日の予告編
☆ ゴーストライター
☆ 愛の勝利を ムッソリーニを愛した女

※※※※※※※※※※※※※※※※※※
岸田恵子・字幕

タイトルロール
黒地に白抜きの文字だけ。
サントラが重い感じ。

夜、雲の間をプロペラ機が通る。
地面に仰向けに寝た兵隊達が飛行機を狙って撃つ。
飛行機は墜落し、爆発音が聞こえた。
兵隊達は大喜び。

鉄条網の向こうで犬が盛大に吠える。
レコード盤が回り、軍人が右手に葉巻を持ち、ヒトラーの肖像画の前で寛いでいる。
レコードの音が歪む。手回しの再生機なのである。
ウェーバーがベルリンからのメッセージを持って来る。
「 乗員2名とユダヤ人1名を連れ戻せ 」と言う内容であった。
墜落した飛行機に乗っていた囚人服のユダヤ人は一命をとりとめる。
乗員の内1名は、もう1人を助けようとするが、既に事切れていた。

1938年ウィーンのカウフマン画廊。
ベレー帽の髭男ルディが画廊の中に入り、言う。
「 愛想がいいのは、金持ちにだけか? 」
画廊の男ヴィクトルと髭男ルディは抱き合う。

外で子供が画廊の窓に白ペンキでユダヤの星を描く。
二人は、それを止めさせようとし、逆に町の人々から暴行を受け、二人は留置場に入れられてしまう。
ヴィクトル・カウフマンは外に出される。
ルディ・スメカルは調べるのに時間が掛かる。
ヴィクトルはスメカルの調べが終わるのを一緒に待つ。
ルディには反ナチの疑いがかけられている。
ヤーコプが、「 画廊の新作展には大臣も来られる。
二人が居ないとマスコミにつつかれるだろうな。
警察の横暴だと、書かれるかも。」と助け船を出す。
ルディとヴィクトルの二人は直ぐ釈放される。
二人は家に戻り、母は喜ぶ。
ヴィクトル 「 それがナチだろ。先導者と愚者の集まり。」
ルディ 「 俺は政治には興味が無い。」

画廊の新作展。
アーティストのモーリツ・ハイデンが挨拶をし、ギャラリーから拍手を貰う。
女性記者 「 400年前にバチカンから盗まれたミケランジェロの名画を手に入れたそうですね。」
父 「 鑑定を依頼されました。」
女性記者 「 絵は何処に? 」
父 「 持ち主に返しました。」
ベロティーニ教授が鑑定人の1人である。

ヴィクトルとルディは同じ女性のレナに結婚を申し込む。
ルディ 「 なあ、レナ。こんな時期にユダヤ人と結婚するのは得策じゃない。」

ヴィクトルとルディはバーで煙草を燻らせる。
ルディ 「 あの絵は本当に持ち主に返したのか? 」
ヴィクトル 「 君は知らなくていい。」
ルディ 「 本当にミケランジェロ? 」

更に飲んだ二人はヴィクトルの家の秘密の部屋に入る。
ヴィクトルはルディに、その絵を見せる。
ルディ 「 悪魔か? 」
ヴィクトル 「 モーゼだ。馬鹿。」
ヴィクトルとルディが絵の運びの手口を話しているのを、父が階段の上からじっと見ている。

朝、ヴィクトルが両親にニュースを伝える。
ヒトラーが進軍してくる。
父 「 画廊は没収されるな。」

ルディは茶色い包みを抱えて意気揚々と走る。
中には新しい軍服が入っている。
ナチの伍長になったルディは、通りの向こうからヴィクトルにアピールする。
ヴィクトルは、その事を両親に伝える。
父 「 使用人の息子がチャンスに飛び付いた。」

ヴィクトルの家がナチに襲われる。
ナチの男 「 ミケランジェロの絵を渡せ。」
ヴィクトルは威嚇射撃をされる。
隊長は隠し部屋を開けさせる。
父が頷き、ヴィクトルは扉を開ける。
中は空っぽだった。
隊長 「 次に来る迄に絵を戻せ。
さもなければ銃殺刑だ。」
隊長はルディに掴みかかる。
「 警告したか? 絵は無かった。」

ヤーコプはモーリッツにミケランジェロの絵の模写をさせる。
「 1万スイスフランをスイス銀行に送金した。
その金で逃げろ。」

画廊にはユダヤの星の絵柄と、JUD の白ペンキの落書きがされている。
画廊のヴィクトルの所にルディがやって来る。
ルディ 「 同志は俺にチャンスをくれた。」
ヴィクトル 「 君の仲間がミケランジェロを探しに来たぞ。
何故なんだ。ルディ? 僕の家族は…。」
ルディ 「 使用人の息子は自力では出世出来ないって?
一緒に居る所を見られたらまずい。
親ユダヤだと思われたら力になれない。」

ヴィクトルはレナに言う。
「 全てを君に譲る。父が、そう手配した。
エゴン・シーレもある。
ヴァルトミュラーも。」
ヴィクトルはルディに電話をし、明日の朝だと告げる。

ナチス3人がヴィクトルの所へやって来る。
ヴィクトルは鑑定書も渡す。
父がルディの前に、ルディの荷物の入った鞄を置く。
父母とヴィクトルは、出国証明書を渡される。
そこへナチの車が来る。
ルディ「 どう言う事ですか?」
隊長 「 君の働きに総統も喜んでおられるだろうな。 
      奴等はスイスで弁護士を雇い、没収は不当だと言うに違いない。」
3人は連行されてしまう。

***** 「 ミケランジェロの暗号 」 ・ 前半 ・ 完 *****  

Posted by ニヘドン at 18:59Comments(0)映画

2011年11月11日

「 新少林寺 」・前半

試写会
邦題 : 新少林寺
会場 : 文京シビックホール
鑑賞日 : 2011年11月10日(木)

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

面白かったよ。
21世紀のカンフー映画はこれか!と納得でした。
香港、中国の名優達が一堂に会しているのですが、
決して「 芸能人新春隠し芸大会 」にはなっていないんです。
役者陣の持ち味を最大限に生かしていて、
映画大国だった香港の今迄の映画作りのノウハウの蓄積を十二分に応用しています。
映画作りの姿勢には、いつも辛口のニヘドンですが、
この作品には脱帽しました。

アンディ・ラウは、最初は他人を力で捩じ伏せる暴君から、
権力争いに敗れて少林寺に入門してから
自分の生きる道に気付く男を実に見事に演じています。
こう言うのって、まるで一人二役やっている様なものですからね。
アンディ・ラウ、凄いわ。
しかも彼は拳法の型を見せて魅せてくれます。
格好いいんだ、これが又!
一体どれだけ練習したんだろう?
「 ブラック・スワン 」のナタリー・ポートマンみたいに、
過酷なトレーニングをしたのかな?
もうアンディ・ラウは出来ない事は無いんじゃないの?

歌手としての実力は有る、
役者としても秀逸、
そして少林寺拳法も格好良く見せちゃう!
凄い!!

ジャッキー・チェンも頑張っています。
映画全体は大河ドラマの味付けでシリアスな味わいです。
ジャッキー・チェンは、そんな中、唯一コミカルな味を加味してくれて、ホッとします。
殺伐とした流血シーンが多い作品なので、ジャッキーの温かい人柄にホッと癒されます。
流石にジャッキーです。
演技が自然で無理が無く、
でも見せる所はビシッと見せてくれます。

ニヘドンのお気に入りのニコラス・ツェーも最高です。
ニヘドンは映画 「 the mith 〜 神話 」でニコラス・ツェーを激賞しました。
それは、彼が徹頭徹尾悪役に撤してくれたからです。
途中で、やっぱり本当は良い人だったのです、と中途半端な善人振りを見せない所がいいのです。
ニコラス・ツェーだけは絶対に最後迄悪人で「 悪の美学 」を貫いて欲しいのです。
今回もニコラス・ツェーの「 悪の美学 」は全開!!
美しい〜。ニコラス・ツェー、美しい〜。

ジェット・リーも頑張ってます。
悪役です。ジェット・リーだから、ヒーローにしようなんて、
チンケな考えを持たない所が素敵です。
ジェット・リーなら、悪役でもヒーローても何でもござれ。
今回は徹底的に悪役です。

カメラワークも( カンフー映画だけに?)工夫を凝らして有り、兎に角何処を切り取っても、見る価値の有る映画です。

1つだけ、駄目な所が有りました。
戦闘シーンで、馬を転がすシーンが多過ぎです。
これ、動物虐待です。
スタントマンみたいに仕事としてお金貰ってないんです、お馬さんは。
「 レッド・クリフ 」の第1話で、大勢の人が馬が可哀想とコメントしていたのに気付かなかったのでしょうか?
馬を転がさなくたって、戦闘シーンに迫力を付ける事は出来る筈なんで、
今後は2度としないで欲しい。

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[ 本日の予告編 ]
・「 SWITCH 」12月10日(土)公開予定。
・「 私だけのハッピー・エンディング 」ガエル・ガルシア・ベルナルが出演!
   『 心を開けば傷付く それが怖かった 』うんうん。 分かるよねー、これ。
    12月17日公開予定。
・「 1911 」 11月05日公開予定。

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小島早依( こじま まさより )字幕
黒地の背景にタイトルロールが流れる。
ノイズ音楽っぽい読経の声がかっこいい!
大きな木を積み上げて火を焚く。 僧達が読経し、両手を合わせる。

1912年中国各地で群発的な紛争を繰り広げて行く。
河南省登封。 焼け焦げになった村が映し出される。
累々と横たわる村人達の死体を僧侶達が1体1体の死亡を確認し、
荷車に遺体を乗せて運ぶ。
( もう日本人は、こういうシーンを直視出来ないね。 嫌でも津波の悲惨さを思い出してしまって。)
そこへ馬に乗った兵隊達が追いつ追われつの殺戮合戦を始める。
1人の兵隊がライフルで馬の足を撃ち抜き、馬達が将棋倒しになる。

題字 「 新少林寺 」

少林寺の大きな寺院の建物の前の広場に天幕が張られている。
そこでは難民への食べ物の施しが行われている。
そこへ馬に乗った候杰( こうけつ / アンディ・ラウ ) の一団がやって来る。
一団は、「 霍龍(かく・りゅう / チェン・チーフイ )を探せ!」 と難民キャンプに雪崩れ込み
乱暴狼藉を働く。
霍龍(かく・りゅう)は少林寺の境内に逃げ込み、後を追った候杰軍も少林寺の中へ突進する。
1人の僧が候杰( こうけつ )の馬を全力で押さえ、それ以上中へ入れさせじと邪魔をする。
石段で2人は転がり落ちる。
候杰( こうけつ )が、やって来る。
候杰( こうけつ ) と方丈( ほうじょう / ユエ・ハイ ) は静かに自説を主張し合う。
方丈は財宝の在り処を記した地図を候杰( こうけつ )に渡す。
候杰( こうけつ )は受け取り、両手を合わせて、立ち去る。
と、見せかけて、候杰( こうけつ )はピストルで方丈を撃ってしまう。

候杰( こうけつ )の大きな肖像画が街中に飾られ、軍楽隊がパレードをする。
候杰( こうけつ )の妻、額夕( がんせき / ファン・ビンビン )は着飾り、
嬉しそうに馬車に乗っている。 その隣には幼い娘の勝男( しょうだん /  嶋田瑠那 )。
馬に乗った候杰( こうけつ )の隣りには、同じく馬に乗った曹蛮( そうばん /  ニコラス・ツェー )。

宋虎が候杰( こうけつ )を出迎える。
宋虎 「 私の不参戦を責めているのか? お前の目的は登封城なのだろう。」
曹蛮は大きな石を並べ、マシンガンで撃ちまくる。
曹蛮 「 ガトリング砲を80門欲しい。」
ピーター( 西洋人 ) 「 代金は要りません。 その代わり鉄道の敷設を許可して下さい。」
( うおおおお。 白人が中国語で喋っているのが、ちょっと違和感。)
宋虎 「 将軍ならお気に召してくれるだろう。」

候杰( こうけつ )に意見をした曹蛮は、候杰( こうけつ )に首を絞められる。
候杰( こうけつ ) 「 西洋人に協力する積もりは無い。
              鉄道敷設を許可すれば、この国を乗っ取ろうとするだろう。
              お前は非難する立場に無い!」

少林寺の若い少年僧達は、野原の木の杭の上で片足をバレリーナよろしく高く上げて
修行をしている。

曹蛮「 宋将軍に招待状を届けました。
    名月。 奥さんと娘を連れて行け。」
候杰「 先手を打たなければならない。 始末せねば安眠出来ない。」
顔夕( 候杰の妻・ファン・ビンビン )「 殺すの? 義兄弟でしょ?
    1つだけ約束が有るの。 娘( 勝男・嶋田瑠那 )の前で殺さないで。」

少林寺の僧達は軍の備蓄倉庫から米を盗み出し、村人達の寝ている枕元に
夜、屋根から、その米を投げ入れる。
村の人々は大喜び。

中岳楼では宴が行われる。扉が閉められる。
候杰は妻の顔夕に言う。「 私がテーブルを叩いたら娘を連れてお手洗いへ行け。
    宋虎は息子の万山を連れて待っている。」

まだ幼い万山と勝男の婚約式が行われる。
覚書を交換する候杰と宋虎。
宋虎 「 登封城をどう分けるか相談しよう。
     私は年を取って、以前の様に戦えないのだ。
     全部お前にやる。」
部下が持って来た密書が宋虎に渡される。
宋虎「 万山、手洗いに行きたいか?」
万山「 行きたくない。」
候杰「 顔夕。 お前も下がりなさい。」
夫人と子供たちは下がる。

密書が床に落ちる。
密書にはこう書かれていた。 「 候杰の配下が潜んでいます。」
候杰は宋虎をピストルで撃つ。

曹蛮は部屋の外の椅子に一人静かに座り酒を飲んでほくそ笑みながら
双方の殺戮を楽しんでいる。

勝男は逃げる途中で馬車に撥ねられてしまう。
候杰は勝男を抱いて馬車で疾走する。
追っ手との間に死闘が繰り広げられ、街は滅茶苦茶。
馬から外れた勝男の馬車は、崖に通ずる下り坂を滑り落ちる。
候杰はジャンプして勝男を抱え、崖下をゴロゴロ転がる。

少林寺の境内に候杰の妻が置かれる。
そこへ候杰が勝男を抱いて少林寺に駆け込んで来る。
候杰「 娘の命を助けてくれ!」
しかし手当ての甲斐も無く、勝男は息を引き取るかに見える。
勝男「 どこも痛くない。 だからお坊様を怒らないで。」
候杰「 娘を見捨てるなら、皆殺しにしてやる。」
顔夕「 まだ分からないの。 これは天罰よ。
    貴方が娘を殺したのよ。」
候杰「 慈悲を説くなら何故助けない!?」
候杰は僧の方丈に殴り掛かるが、何の何の、方丈は強いし。( 笑 )
他の僧達が棒で候杰を捕らえてしまう。

***** 「 新少林寺 」・ 前半 」 ・ 完 *****

後半は「 ドンドン日記・第2章 」でお読み下さい。
→ http://cinemamusicgroumet.hama1.jp/e983435.html  


Posted by ニヘドン at 17:19Comments(0)映画

2011年11月02日

「 スマグラー お前の未来を運べ 」

題名 : スマグラー お前の未来を運べ
監督 : 石井克人
出演 : 砧 / 妻夫木聡
丈 / 永瀬正敏
河島 / 高島政宏
山岡 / 松雪泰子
ちはる / 満島ひかり
警官A / 松田翔太
警官B / 大杉漣

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

お恥ずかしながらニヘドンは
この映画の前情報を何も知らなかったのです。
今日は水曜日のレディース・デーだったので、
行かなきゃ損損位の気持ちで映画館へ行ったのでした。

15:00 バイト上がり。
15:16 事務所を出る。
15:20 109 シネマズ川崎に到着。

いつもレディースデーに見る映画は、
映画館に着いてから時間と相談して決めます。
3時間も4時間も待つのなら、諦めるのです。
が、15:25 開映の作品が有りました。
それが「 スマグラー 」だったのです。

面白かったよ。
映画好き達に観て欲しい映画です。
ニヘドンが駄目な映画を観た時に常々
言っている事、こうして欲しい、ああして欲しいと言う事を
全てクリアして、尚且つ新しい試みも随所に見せ、
製作サイドの「 果敢 」なセンスに痺れちゃいます。

映像センスは観る価値有り!
これがニヘドンが観たいと思って来た映画なの。
映画は、こういう風に作らなければ。

それにしたって、出演者が皆さん身体を張って、
そこまでやっちゃうんだ…。
お疲れ様でした。
妻夫木聡君、ホントお疲れ様です。
高島政宏さん、紙オムツはエコじゃないから、次からは布オムツにしてね。
ちょっぴりワンシーンだけ登場の寺島進に心に沁みました。
( 寺島進が好き )
  

Posted by ニヘドン at 23:09Comments(0)映画

2011年10月26日

「 ブンミおじさんの森 」 前半

鑑賞日 : 2011年09月18日(日)
映画館 : ブリリア・ショートショート・シアター

嬉しいですね。
ブリリア・ショートショート・シアターは、
名前の通りショート・フィルム専門の上映館ですが、
たまに長編映画も上映してくれます。
たまに上映するんですから、
わざわざ駄作を持って来る訳が無い!
と言う訳で、今回の作品は「 ブンミおじさんの森 」。
クー。 嬉しいねえ。
この、タイ制作の、映画好きの間では話題の映画を、
わざわざ東京迄交通費を使わずに
横浜で観る事が出来るのですから。
ブリリアさん、ありがとう!!

この映画を観て、ニヘドンは衝撃を受けました。
最初に、この映画上映のチラシを見た時に、
可愛らしくメルヘンタッチのイラストが描かれていたのです。
そこへ持って来て邦題が「 ブンミおじさんの森 」でしょう?
何か、「 ♪ ある〜ひ〜、もりのなっか〜、くまさんに〜、であったぁ〜 ♪ 」みたいな
勝手な先入観を持って観てしまったのでした。

そうしたら、ブンミおじさんの亡くなった妻が実体を伴って現れるオカルト映画であったし、
中盤に挟まれるエピソードは、
容色が衰えた事を嘆く王妃の、何ともまあ「 えろえろ 」なタイ活ろまんぽるの!? であった訳です。

ニヘドンの伯父夫婦&祖母が10年以上バンコクに住んでいたので、ニヘドンも度々伯父夫婦の家に泊めてもらい、
ツアーの観光客よりはバンコクの事情に詳しいなんて思っていましたが、
しかし、タイはミステリーなカオス・ワールド。
100や200の事が分かったって、全体像はまるで掴めません。
大体、あれだけの仏教国で、少年僧から中年僧から老僧まで、街中至る所に僧服で修行中の老若男女が闊歩しているのに、
何であんなにスリ、置き引き、かっぱら、強請、タカリ、詐欺、強盗、交通事故等、人を大切に思わない行為が蔓延っているのでしょうか?
ガイドブックでタイの不思議な習慣を読みました。
それに拠ると、タイでは小さな子供連れには電車やバスの中で必ず席を譲ってあげるのだそうです。
その代わり妊婦には人権は無いらしく、妊婦を立たせて、子連れを座らせると。
話し半分でニヘドンが当時1歳の息子ちゃんを連れてバンコクの路線バスに乗りましたら、ガイドブックに書いてあった通り、車中の全ての人々が、私に座れ座れの大合唱。
そして、それだけはして欲しくなかったのですが、事も有ろうに妊婦さんが立って席を譲ってくれたのでした。
この感覚の違いは妊婦を座らせて当然の日本で生まれ育ったニヘドンには、
永遠のミステリーだと思うのです。

こんなミステリーなタイで作られた
映画「 ブンミおじさんの森 」は、今まで考えた事の無かった不思議な感覚を覚えます。
まるで脳ミソがメビウスの輪の様に捻れてしまった様です。

日本で幽霊が出て来たら、それは、この世に怨みを残して、
それを晴らしに来たか、
或いは大切な子供を世話する為か、でしょう。
戻って来るそれなりの理由が有り、
その情の深さに日本人は皆、涙を流すか、恐怖を感じるかするのですよね。

ブンミおじさんの妻は、全然違うの。
青白い顔もしていなければ、
ゾンビの様に腐った死体でもない。
普通の生身の人間としで「 こんにちは。」「 あ、久しぶり。」「 元気してた?」「 うん、まあね。」みたいな感じ。
他の人々にも、ちゃんと見えてるし、ちゃんと喋れる。
超常現象の恐怖感はまるで無し。

実は、バンコクで伯母が亡くなった時に、ニヘドンは葬儀に行かれず、翌年、ニヘドンの母親と一緒に、葬儀が行われた寺院に行ってみました。
其処に、膝丈の木綿のプリントドレスを、
ちょっとだらしなく着た中年女性が座っていました。
真っ黒なセミロングの髪は、1度かけたパーマがとれてしまったみたい。
何とも冴えない、何処にでも居る中年のオバチャンです。
ただ、アイメイクだけは気張ってしてました。
母親が言いました。「 目を合わせちゃいけないっ!!
あれは魔女だ。伯母さんの葬儀に来ていた魔女だっ!! 」
そして母親だけ1人で、ブーンと顔を背けたのです。
ニヘドンは母親の言葉の意味を把握しようと思った途端、
バッチリ魔女さんと視線を合わせてしまったのでした。
ビビりました。
しかしもう目を合わせてしまったのですから仕方が有りません。

「 ブンミおじさんの森 」を見終わった後、このエピソードを思い出すと、
あの魔女は、死者の世界と生者の世界の両方を往き来する様な人ではないのかと考える様になりました。

是非皆さんも、この「 ブンミおじさんの森 」を観て下さい。
これをきっかけに、もっともっとタイの映画が日本で公開される様になるといいですね。

映画終盤にブンミおじさんは、夜の森の中を懐中電灯を照らしながら歩きます。
このシーンが何とも憧れを感じる至福のひと時です。
ニヘドンも、あんな夜の森ハイクをしてみたい。

映画を見終わった後、ぼんやりと「 生きる事 」「 死ぬ事 」を考えて、
結構、尾を引きますよ。はい。

**********************************

「 ブンミおじさんの森 」 粗筋( 映画の流れを二へドンの記憶で再現 )
斉藤敦子 : 字幕

森の中の鳥のさえずりが聞こえる。
スクリーンは黒一色。 そこにタイトルロールが流れる。
モノローグ 「 森や丘や谷を前にすると私の前世が現れる。」
下草を踏みしだく音が乾いた音を立てる。
雄牛が木に繋がれている。
近くで煙が白く棚引いている。
牛は時々、鼻を鳴らしながら首を振り、じっと何かを見ている。
遠くに夫婦と子供が座っている。
牛が力を入れてロープを引っ張るとロープは外れ、自由になった牛は
軽やかに草地の上を走り出す。
牛は水音を立てて沢を渡る。 川の水を飲んだりする。

短パンに帯を回しの様に締めたブンミおじさんがやって来て
「 ギャオ!」 と呼ぶ。
ブンミおじさんはロープを手に牛を引く。
牛は黙って、ブンミおじさんの後を歩く。

森の中にサルが立っている。
( 小型のニホンザルみたいなのでは無く、不出来なゴジラの子供の着ぐるみ
  みたいな怪しいサル。 大きさはチンパンジー位か? )
サルはシルエットになっていて、細かい部分迄は見えないが、
目が真っ赤になっている。

車に乗っている3人の人々。
1人は運転をしている。 そしてお母さんと、成人した息子。
撮影カメラは、車から見た風景を延々と映し出す。
( タイの撮影スタイルって、こういうのなのかしらん?
  10年前、バンコクのおじの家でTVドラマを見た時、1時間ほとんどカメラが切り替わらない
  ずっと同じ画面を見続けて、タイ語のセリフは意味分からないし、何が面白いんだろうと
  思った事が有ります。 画面が切り替わらないで、セリフだけ聞いているなら、
  ラジオ番組でいいじゃん、と思った次第。)
後部座席のおかみさんは、窓を開ける。

蚊帳の吊ってあるベッドの部屋で男は荷物をあちこちに置く。
おかみさんは、男と不法移民について話をする。
男「 独身だから嫁さんを世話してやれよ。」
女「 私だって独身よ。 でもラオス人って臭いでしょ。」
男「 ラオス人は臭いからな。」
( こういう人種差別発言が出て来ちゃうって、複雑な心境になりますよ。)

草地にゴーゴーと風の音が轟く。
ブンミおじさんは、自宅のベッドに仰向けになっている。
息子はブンミおじさんの人工透析の準備をする。
看護師「 4分の1間隔で。」
医師 「 大丈夫、 直ぐ済むよ。」

夜、屋外が見渡せるテラスに置かれたテーブルに人々が座っている。
息子・トン 「 ジェンおばさんって、若い頃綺麗だった?」
ジェン 「 やめて。 お恥ずかしいわ。」
トンの隣に女性の姿が現れる。
ジェン 「 フェイ、貴女なの? 」
ブンミ 「 フェイ。」
フェイ 「 ブンミ。 ごめんなさい。」
トン 「 この人、おばさんの妹? 」
ジェン 「 私の姉よ。」
フェイ 「 ブンミは病気なんでしょう? 」
トンはフェイの前に水のグラスを置く。

フェイ「 臨終の時に聞いた音が耳に残っているのね。」
ブンミ 「 俺を迎えに来たのか? 」
山鳴りがする。 が、虫の大合唱の方が勝つ。
トン 「 あの音は何だろう? 」
ブンミ 「 ジャーイか? 」
目の赤い猿の様な獣が地下から階段を上がって来る。
ブンミ 「 お前は誰だ? 」
ブンソン 「 ブンソン。」
ジェン 「 私の息子のブンソン? 私を覚えてる? 」
( 「猿の惑星ジェネシス」かと思ったよ。 笑。)
ブンソン 「 外に大勢集まって来ている。
ブンミ 「 お前の顔が何故か分からないんだよ。」
ブンソン 「 フェイが死んでから父さんのカメラを使って突き止めようと思ったんだ。
        写真芸術!」
ブンソンはカメラを首から下げ、森に入る。
ブンソン 「 カメラであれを撮ろうとしたんだよ。 僕は発明した。 成功した。
        枝から枝へ飛び回る彼らを。 話し掛けようとした。
        それが猿の精霊・リンピーイだった。 」
森の中に目の赤い猿が2匹現れる。
ブンソン 「 こんな姿になったのは猿の仲間になったから。
       妻を娶ってから北へ移って行ったんだ。
       その頃には元の世界を忘れてしまった。」
ブンミ 「 食事は済ませた。」
フェイ 「 ジェン。 仲良くしてる? 」
ジェン 「 包丁を向けて追い出したわ。」

ブンミはフェイにアルバムの写真を見せる。
フェイ 「 私のお葬式ね。」
ブンミ 「 電気が明るいと姿がよく見えないな。」
ジェン 「 今度は暗過ぎるわ。」
フェイはアルバムのページをめくり続ける。
ブン 「 ジェン。 この農場を継いでくれ。俺はもう決めたんだ。」
ジェン 「 私がこんな所に住めると思う?」
ブンミ 「 ここを出るな、と言う。」

ジャーイがやって来る。「 あれは何です?」
足の悪いジェンは、トレイを持って、ぎくしゃくと階段を上がる。
テーブルの上にブンミの写真とお供え物が乗っている。

朝方、ジェンがベッドで寝ていると、傍らのスツールにフェイが座っていて、
ふっと姿を消す。
ジャーイは森の中を杖をついて歩く。薬を吸わない様に、と言う。
ジャーイはラオスに結婚を考えている相手がいる。
ジェン 「 給料に不満が有ったの? 」

皆はタマリンドの木の手入れをしている。
ブンミはニコスに会う。 
「 ボンジュール。」
ニコスはラオスから逃げて来て、フランス語が喋れる。
8人の人々は輪になってシートの上に座りタマリンドの実を選別する。

ブンミはジェンに蜂の巣箱を出して見せる。
ブンミとジェンは指で蜂蜜を掬って舐める。
ブンミ 「 手を洗おう。」
ブンミは携帯電話でジャーイを呼びつけた。
「 今、養蜂場だ。 来てくれ。」

ジェンがタマリンドの木の下にいる。
ジェンは犬にタマリンドの実を食べさせる。
ジェン「 これ。」
ブンミ 「 これは俺のカルマなんだ。
      共産兵を沢山殺したな。ここでも虫を殺さない。」
ジェン 「 動物の言葉が分かるのね。」
ブンミはクッションを頭に当てると昼寝を始める。

***** 「 ブンミおじさんの森 ・ 前半 」 ・ 完 *****

  

Posted by ニヘドン at 16:41Comments(0)映画

2011年10月15日

映画「 Flowers 」後半

この記事は映画「 Flowers 」の粗筋です。
表記はニヘドンの記憶に負う所が大きく、
正確なスクリプトでは有りませんので
予めご承知おき下さい。

前半はこちら →  http://nihedon.hama1.jp/e847151.html

薫の回想シーン。
昭和39年09月
新婚旅行に行く道中、薫( 竹内結子 )と夫の真中博 ( 大沢たかお ) 電車に乗っている。
2人はローカルな田舎の駅で降り、なぎさタクシーに乗り換える。
タクシーは旅館の前で2人を降ろす。
海の見える古い和室。
2人は大浴場へ行く。
博は男湯の湯船に浸かっている。
隣の女湯に入っている薫に向かって博が声高に話し掛ける。
博 「 石鹸が無いんだよ。」
薫 「 そこに有るでしょう? 」
博 「 それが無いんだよ。投げてくれるかな?」
薫 「 行くわよー。」

薫は客室の縁側で1人で座って海を見ている。
博が背後に現れ後ろから薫を抱きすくめる。

旅館の前にタクシーが止まり薫が乗り込む。
中居達はわざとらしい程に、にこやかに大仰に手を振る。
薫は1人で自宅に戻る。 「 ただいま。」
薫はスーツケースを開けながら上を見上げる。
其処には男物ねスーツがハンガーに掛かっていた。

雨の中、傘も差さずに道を走る薫。
その先には車にはねられた夫の博が倒れていた。
湯船のお湯の中に石鹸が1つ音も無く沈んで行く映像。
( 回想シーン終了。)

翠と薫は浴衣姿で縁側で缶ビールを飲みながら話しをする。
翠 「 姉さん、結婚っていいもの?」
薫は泣き出してしまう。
翠 「 人を愛するって…… 凄い事なんだな。」

翠と遠藤敏雄( 河本準一 )はお寺で一緒に写経をしている。
その後、縁側でおやつタイム。
遠藤 「 矛盾だらけでいいんじゃないか?
そう言う所に人生やらの面白味が有るんだからね。」
翠 「 私、本当の強い女になるんです。」
遠藤 「 こうして見ると、いい女だね。俺と付き合うか?」
翠 「 お断りします。」

翠は真黄色のスカートを穿いて出版社に出社し、
他の社員達を驚かせる。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

焼き場の近くの土手で奏( 鈴木京香 )は煙草を吸っている。
父 「 煙草をくれ。」
奏が煙草の箱を渡すと、父は、その箱を横のゴミ箱に捨ててしまう。
父 「 身体は大事にしておけ。」
奏の祖母である凛( 蒼井優 )の霊前に手を合わせる父と奏。

父が台所でお茶を淹れている。 奏はピアノを弾く。
小さく口ずさむ。「 あんなこと こんなこと あったでしょう 」。

昭和52年09月。
山百合幼稚園に、慧が子供を迎えに行く。
幼稚園では薫がピアノを弾いていた。
TV では岩崎宏美の曲が流れる。
慧は病院で母子手帳を交付される。
病院の待合室の慧の横に夫が座って、言う。
「 やっぱり今回は止めないか? 奏が、奏が居るからいいじゃないか。
  あの子が居るだけで、俺達はもう充分幸せだよ。」

佳が実家に戻り、父と話す。 外は雪が降り積もっている。
お腹が大きくなった奏はピアノを弾いている。
佳 「 ただいま。」
奏 「 お帰り。何か下手になっちゃった。」 奏はピアノの蓋を閉める。

佳と奏は布団を並べ、寝っ転がる。
佳は鼻歌を唄いながら家計簿をつけている。
奏 「 佳は、いつも楽しそうだね。」
佳 「 お姉ちゃん、だって楽しいでしょう。もう直ぐ子供が生まれるんだから。」
奏 「 この子、お父さんが居ないんだよ。
    ごめん。 お父さんに言えないから、あんたにぶつけちゃった。
    マタニティー・ブルーかな?」

34週を過ぎた時、奏は切迫早産で入院する。
父親 「 もしもの場合は母体を優先して下さい。」
父と佳は廊下に出て、父親は謝る。
「 すまん。 お前に酷い事を言っちまって。 母体の方を優先させてくれって。」
佳 「 大丈夫だよ。 その事は子供の頃に散々考えてたから。
    私が生まれなかったら、お母さんは死ななかったのにって。
    でも今はお母さんの分も生きようって。 だから生きているだけで楽しいの。
    お母さんに感謝だよ。」
佳は実家の本棚から「 赤ちゃんの名付け 」の本を見つけ取り出す。
すると、その本の脇から古い母子手帳が出て来た。
母子手帳にはチューリップの折り紙が挟んで有り、広げるとメッセージが書かれていた。
「 奏と佳へ
  もうすぐ奏はお姉さんになります。
  赤ちゃんの名前は佳にしました。
  美しいと言う意味です。・・・・・・・ 」

佳は雪に覆われた野原を赤いコートを着て懸命に走る。
佳は愛生総合病院の佳の所に走り込む。
佳は奏に、チューリップの折り紙を渡す。
奏は、その手紙を読む。
奏 「 私も家族を作るのね。」
奏と佳は笑い合う。

慧が分娩室へ運ばれて行くシーン。 慧はピースサインを出して見せる。
白無垢姿の凛が田んぼで息を切らせて立ち止まるシーン。
その横合いに神社が有り、凛は石段を駆け登る。
神社の山から村を見下ろす凛。
そこで赤子を連れた若夫婦が神社にお参りしている様子を見る。
凛は、そこに自分と両親の姿を重ねて見る。
凛の後を母親が追って来る。
「 凛さん、やっぱり、ここだったんですね。お父さんも心配してますよ。」
母親は、静かに言葉を続ける。
「 お父さんはね、不器用なだけ。本当は優しい人なの。」
凛は家に戻り、躊躇いながら父が居る部屋の襖を開ける。

凛「 申し訳有りませんでした。」
父「 腹は減ってないか?」
凛「 はい。」
父「 身体は大事にしろ。」

父は凛に向かって大声で万歳を何度も何度も叫ぶ。
凛は泣き崩れる。

稲の植わっていない水田の水面に花嫁行列の姿が映る。
新郎と凛は初めて顔を合わせる。
お互いに黙って一礼する。
凛は母親に促されて新郎の横に立つ。
新郎「 大事にします。」
凛は笑顔を見せる。
椿の花がアップになる。

翠は遠藤の部屋の窓を開けると、オリビア・ニュートン・ジョンの音楽が聞こえる。
原稿用紙が風で飛び散る。

薫( 竹内結子 )は美容院で髪を切る。
雑誌「 週刊現代 」とか、クラシックな当時の車が映り込んでいるので、
レトロ・マニアは涎が垂れる事必至。

川原で慧と夫と薫は赤とんぼの群れと戯れる。
凛と夫は川原を歩く。 凛のお腹が膨らんでいる。

夏、奏は幼児の女の子を抱いて海岸を歩く。 砂の上に足跡がずっと続く。
セピア色の家族写真を背景に、エンドロールが流れる。

翠と菊池の結婚式の写真がスクリーンに登場すると、
客席の人々はどっと大爆笑。
こういうオマケを見逃さない様に、映画はエンドロールの最後まで見てね。

エンディングには吉田美和作詞、吉田美和&中村正人作曲の
DREAMS COME TRUE の「 ねえ 」が流れます。
歌詞は失恋体質の二へドンには心の古傷をえぐられますわ。
♪ 傷ついていいの それほどに想える人と
  そんなたった一人と 出会えた証だから
  必ず心から笑える日はやって来るから ♪

*****************************

[ 付録]
登場人物が多いと、誰が誰だか頭の中こんがらがるから、まとめてみました。

昭和11年  凛 ・・・・・・・・ 蒼井優
       片山文江・・・・・・ 真野響子
       片山寅雄・・・・・・ 塩見三省
       宮沢侘助・・・・・・ 三浦貴大
昭和30年代 薫 ・・・・・・・・ 竹内結子
       翠 ・・・・・・・・ 田中麗奈
       真中博・・・・・・・ 大沢たかお
       菊池敏雄・・・・・・ 河本準一 ( 次長課長 )
       遠藤壮太郎・・・・・ 長門裕之
昭和50年代 慧・・・・・・・・・ 仲間由紀恵
       宮沢晴夫( 1977年 )・・ 井ノ原快彦( V6 )
現代    奏 ・・・・・・・・・・・鈴木京香
       佳 ・・・・・・・・・・ 広末涼子
       宮沢晴夫( 2009年 )・・ 平田満
       平野太 ・・・・・・・・・・・・・ 駿河太郎
       平野啓太 ・・・・・・・・・・・ 倉掛竜樹 ( 子役 )
主題歌 ・・・・・・・・ DREAMS  COME TRUE 「 ねぇ 」

***** 「 映画「 Flowers 」後半 」 ・ 完 *****  


Posted by ニヘドン at 20:02Comments(0)映画

2011年10月14日

「 明りを灯す人 」

邦題 : 明かりを灯す人
原題 : SVET AKE
英題 : THE LIGHT THIEF ( 明かり泥棒 )
監督&脚本&主演 : アクタン・アリム・クバト
製作年 : 2010年
製作国 : キルギス=フランス=ドイツ=イタリア=オランダ
上映時間 : 80分。
鑑賞日 : 2011年10月13日(木)
映画館 : イメージフォーラム

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

料理もカルチャーもエスニックが大好きなニヘドンに取って、
こう言う映画は堪まりませんなぁ。
所は1991 年にソ連邦崩壊に因って誕生した国、キルギス共和国。
シルクロードが大好きな日本人に取っては、
天山山脈の辺りと言った方がピンと来るかもしれませんね。
ニヘドンはシルクロードは中国の酒泉が行った事の有る最西端です。
中国は酒泉の辺りですら、もう東西文明の十字路のムードの片鱗が漂っていました。
顔はどう見ても東洋人なのに、緑色の瞳を持った人々と夜のバザールでスレ違うと、ああ、ここは紛れも無くシルクロードなのだと言う感慨に浸れます。

この「 明かりを灯す人 」は、未知の国の文化が見られて非常に興味深かったです!

監督兼主演のアクタン・アリム・クバトが、滅茶苦茶いい味を出しています。
全然ハンサムじゃないんですよ。
言うなればキルギスの木村祐一みたいな!?

映画自体は、決して世界の最高峰の職人技で唸らせる出来では有りません。
映像文化で鍛え上げられた( ? )我々から見ると、構成等、もっと分かり易く出来るのになあ…と思います。

が、そんな残念な部分を吹き飛ばしてしまうのが、アクタン・アリム・クバトの人間力です。
今年の08月にイメージフォーラムで「 フィルム・ヒストリー 」 を受講しました。
その時に、CG万能に対するアンチテーゼとして作られた作品を見ました。
空を飛ぶシーン等、映像レベルはわざと稚拙に作って見せるものの、
「 人間力 」で作品全編を実にライブリーに仕上げていました。

この「 明りを灯す人 」も、全く同じ事が言えると思います。
技術的な事なんか吹っ飛ばす程の人間力で映画は爆発します。
アクタン・アリム・クバトは、CGも3Dも超越してしまったのです。
もし、この映画を見て、面白くないと言う人がいたら、
「 木を見て森を見ない 」のと同じく、
「 映画を見て人間を見ない 」のだと思います。

しかし、アクタン・アリム・クバトは作品の中で実に幸福な男を演じます。
キルギス共和国は建国以来 20年間ずっと政局が安定せず、若者はロシア等に出稼ぎに出る始末。
映画の中でも、その状況が語られます。
でも、彼は幸福者です。
4人の子供を成した奥さんに深く愛されているから。
邦題は優しい感じで良いのかもしれないけれども、やはり英語の The Light Thief が正しく映画のテーマを伝えているから、邦題も「 電気泥棒 」とか 「 電気を盗む人 」にした方が良いんではないの?
電気を盗まなければやって行けないキルギスの現状を踏まえた上で、この映画のブラックジョークのスパイスも味わえると思うんだよね。
ブラックジョーク効いてるよ〜。
このブラックジョークっ振りは、ソ連や旧東欧諸国の皮肉パンチ炸裂のカルチャーと相通ずる物を感じるなぁ。

あ、で何で「 明かり屋さん 」が幸福なのか言う機会を逃してしまいましたが、
滅茶苦茶に奥さんから愛されているんですよ〜
明かり屋さんが職を失った事を奥さんに告げると、
奥さんは即座に「 あなたがいるだけでいいのよ。」。
どっひゃ〜ん!!
日本の心の貧しいおなご共は、1%でも、
これを見倣うように!!

奥さんは4人も娘がいるのに、
映画の中では娘の世話をしているシーンは有りません。
唯一それらしいシーンは、末娘のウランちゃんが昼寝から目覚めて
丸裸のまま庭に走り出て来たのを抱き上げた位ですね。
これも世話をしたと言えるかどうかの微妙な所でしょ?
それに対して、明かり屋さんには世話をする。世話をする。
たらいに入った明かり屋さんを丹念に洗ってあげるし、
警察に連行された明かり屋さんの自転車を黙って押して帰るし。
明かり屋さんを連れて行こうとした警察には大声で抗議するし。
ただ大人しいだけの女ではないんですよ。
実にしっかりした女性なのです。
そんな女性に深く愛される人生って、
男冥利に尽きるでしょう?

この映画は、キルギスが直面している問題がさりげなく盛り込まれていて興味はつきません。
家出をして一方的に離婚届けを要求する友人の奥さんとか、
TVでは大統領に反対するデモ隊の映像ばかりだったり。
決して牧歌的なだけではない、普通の人々の暮らしぶりって、なかなか日本には入って来ませんからね。
日本で放映される旅番組は、シルクロード趣味を煽る様な物ばかりだしね。

中国人の開発業者の接待にモンゴルで言う所のゲル( キルギスの言葉は別の言葉だった。)、つまり移動式テントを建てて、ベリーダンサーで歓待します。
鼻の下を伸ばした男共が、我先にチップの札束をダンサーに渡すんだよねー。
日本のスケベ爺もはしたないですが、
どこも事情は同じなのかー。
ラクダと、衣装を剥いだベリーダンサーのパフォーマンスが始まろうとする場面では、世界各地で様々な出し物を体験して来たニヘドンも思わず生唾ごっくんでしたよ。

しかしラストシーンは何なんじゃい、あれは〜!!
まるで「 明日のジョー 」ではありませんか。
死んでないよね?
まさか死んではいないよね。
最後に自転車を全速力で漕ぐ足元だけが映るんだけど、
それって死んでなかったって事だよね?
まさか別の人の足って事は無いよね?
まさか回想シーンって事は無いよね?
お〜い!!
だってだって、もし死んじゃってたとしたら、
奥さんと4人の娘はどうしてくれるのよ!?

侮れない映画です。
映画の製作レベルにやや難有りな部分があるものの、
ニヘドンはこの映画に関して2時間は熱く語れますよ!!

実にいいですね。
シルクロード系映画はハズレ無しです。
ニヘドンのお薦め。
是非合わせてご覧下さい。
* 「 モンゴリアン・ピンポン 」→ http://nihedon.hama1.jp/e81717.html
* 「 草原の女 」前半 → http://nihedon.hama1.jp/e84049.html
       後半 → http://nihedon.hama1.jp/e900128.html
  

Posted by ニヘドン at 08:46Comments(0)映画

2011年10月04日

「 月危 MOROI 」

監督 : 湯本美谷子
上映時間 : 22分00秒
種別 : コメディー
製作国 : 日本/
製作年 : 2007 年
フライヤーの解説 : とある町に佇むグリーンコーポ。住人達が身勝手な生活を送り、
           マンションは崩壊寸前だった。
           それを阻止しようと日々奮闘するおかまの管理人、菊代。
           そんなある日、住人の一人、百花が陣痛をおこす。
           病院に運ぼうと必死になる菊代だが……。

*******************************

文学で言えば私小説的な猥雑な感じの雰囲気を持ったショート・フィルム。
おふざけのノリが二へドン好み。
久々に楽しめた和製ショートショートです。
マンションと言うよりはアパートと言った方が合ってると思うのですが、
住人が、どいつもこいつもエキセントリックで素敵過ぎ。
こんな所に入居してみたいと思うのは、二へドンだけでは無い筈だ!?

**********************************

地球が回転している。
日本列島がクローズアップされ、
どんどん東京に向かってフォーカスされる。
最終地点はグリーンコーポ。
冴えない古い木造アパート。

アパートの住人達は天然記念物級の個性爆裂な人々ばかり。

菊代は柿の種を口から外に飛ばしている。
佐伯(イクオだかモリオだか名前は覚えてません。Sorry. )はごちゃごちゃの部屋に寝転んでいる。
佐伯 「 It's really fizzy. コンビニ行って来てよ。」
百花 「 自分で行けばいいじゃん。」
佐伯 「 じゃんけんで決めよ。最初はグー! 」
佐伯が勝つ。

ランドセルを背負った男の子が通る。
佐伯がアパートの階段を下りると、大家のオバさんと出会う。
大家 「 美味しいコシヒカリが届いたから。」
佐伯の奥さんは妊娠中だが、奥さんの話になる。
大家 「 良かったねぇ。女の子で。」

べティの部屋のドアを開ける大家。
部屋の中から犬の鳴き声が聞こえて来る。
大家 「 基本的にうちは犬とか駄目よ。」
べティ 「 犬って


  

Posted by ニヘドン at 22:47Comments(0)映画

2011年09月30日

「 小さな女性 」

監督 : Greg Williams/
上映時間 : 6分30秒
種別 : コメディー
製作国 : オーストラリア
製作年 : 2004 年
フライヤーの解説文 : テッドの妻が子供を連れて家出をしてしまった。
            警察はTedを助けようとするが、何だか様子がおかしい。
            もしかして、これはテッドの妄想ではないかと
            警察は軽くあしらうのだった。

*******************************

日本人にはドぎつ過ぎるブラックジョーク炸裂!
これがショートショートの醍醐味では有るのだが。
結構二へドンの好きなタイプのショートショート・フィルムです。

*******************************

何も掛かっていない空のハンガー。
テッド・ウェイナーが酒のミニボトルを次々に飲み干して行く。
子供用のおもちゃ。
テッドは笑い泣きをする。

テッドはプッシュホンの受話器を置く。
彼は警察を呼んだのだ。 「 お手上げだよ。」

2ヶ月前。
手紙が1通置いてあった。 小さな手紙だった。

警察官「 喧嘩でもしたんですか?」
テッド 「 喧嘩はしたけど。 あの事件が有った後・・・・。」
警察官「 ゴルフボールが当たって、歯を全部折った。

「 HOMUNCULOUS 」の本を婦人警官が見つける。
ドールハウスやバスタブに干してある衣服の小さい事。

そこへ奥さんから電話が入る。
テッド「 許すから早く帰っておいで。」
外に出て笑い合う警察官達。

小さなベビーカーを押しながら、家路を急ぐ小さな小さな奥さんを、パトカーが轢いてしまう。
(°д°)

***** 「 小さな女性 」 ・ 完 *****  


Posted by ニヘドン at 10:27Comments(0)映画

2011年09月03日

「 キンスキー、我が最愛の敵 」

邦題 : 「 キンスキー、我が最愛の敵 」
監督 : ヴェルナー・ヘルツォーク
鑑賞日 : 2011年06月17日(金)
映画館 : イメージフォーラム
音楽 : ポポル・ヴー
公開 : 1999年10月07日 ドイツ
     2000年12月16日 日本
上映時間 : 95分
字幕 : 松岡葉子

*************************

イメージフォーラムで行われた
「 ヘルツォーク 傑作選 2011 」で、
クラウス・キンスキーが出演している
ヘルツォーク作品をまとめて見て、
その総括として、この作品を見たら
もう面白くて面白くてウハウハしてしまいました。

メイキング物として見ると興味は尽きません。
また、もし、ヘルツォーク作品を全然見ていない人、
クラウス・キンスキーって、どんな俳優なのか知らない人は、
お試し版として見てみると面白いと思います。

当初、起用予定だった俳優さんの急病で、代打として
撮影に入ったのがクラウス・キンスキーだったのですが、
この「 キンスキー、我が最愛の敵 」には、
作品として完成しなかった、元の俳優さんの映像が出て来ます。
そこに何と、ミック・ジャガーの姿が!!
ある意味、これは物凄いお宝映像ですよ!!

また、「 ノスフェラトゥ 」は、二へドンは英語吹き替え版で見てしまい、
やっぱりクラウス・キンスキーのドイツ語を聞きたかったよな・・・と
後から後悔したのです。
この「 キンスキー、わが最愛の敵 」では、「 ノスフェラトゥ 」のシーンも
出て来ますが、ちゃんとドイツ語バージョンです。
全編ではなかったけれども、二へドンのリベンジ魂を少し満足させてくれたので、
本当にこの映画を見て良かったと思いました。
やっぱり、「 ジョナサン 」と言う発音より、「 ヨナタン 」の方がいいよ!

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[ 本日の予告編 ]
・ メタルヘッド 6/26 ~ シアターNにて うう・・・この映画はモロ、二へドン好み。
             ナタリー・ポートマンも出てるし。 でもまだ見れてない。
・ 風吹く良き日 / 鯨とり ( ナドヤカンダ )
・ サヴァイヴィング・ライフ 夢は第2の人生
・ ゴモラ
・ エッセンシャル・キリング ( 二へドンの感想はhttp://nihedon.hama1.jp/e925071.html )
・ Peace ( 二へドンの感想は http://nihedon.hama1.jp/e923527.html )
・ スリ
・ ラルジャン
・ テザ 慟哭の大地

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クラウス・キンスキーがマイクの前で叫んでいる映像。
「 あなたの目の前にいるのはキリストだ。」
ステージの上のクラウス・キンスキーに掴みかかろうとする男が、会場スタッフに
より取り押さえられ、払いのけられる。
K・キンスキー 「 私は、教会が言うキリストではない。
          スーパースターではない。 文句のある奴は出てこい! 」
大勢の人々で埋まっている客席は騒然とする。
拍手が巻き起こったり、野次が飛び交ったり、支離滅裂。  

Posted by ニヘドン at 19:15Comments(0)映画