2008年01月09日

座席を移った「とある理由」

2008年01月04日(金)
石田〜リンに会いたい一心で大阪シンフォニーホールまでやって来た。
開場時間に中に入った。
3階席まで、えっちらおっちら階段を上がる。
RRAブロックはまだ誰も座っていなかった。
ニヘドンの席は後列の通路側。
座って、プログラムを読み始めた。
程なく同じ列のお客さんがやって来た。
年配の女性で、反対側の端の席だった。
プレトークが始まる前に4人組みがやって来た。お婆ちゃんとお母さんと3〜4年生位の女の子と、小柄な1年生の男の子。いや、男の子は未就学児だな、絶対。
この4人が、年配の女性とニヘドンの間に席を占めた。
ニヘドンから遠い方から、お婆ちゃん、女の子、男の子、母親の順でした。で、この4人組、まあベチャベチャよく喋る。いくら開演前だからって、そこまで喋るなら、ロビーに出て欲しいよ。まさか演奏中も喋るって事は無いよね?

「好事魔多し」
この言葉を自分にプレゼントです。2008年を石田様の演奏で幸せに始め様としたから、「魔」に見入られた?
彼らの話が嫌でも耳に入って来る。彼らは、今日はお父さんの仕事振りを見に来たようだ。どなたか存じませんが、オケメンの家族なのだ。割と後ろの方を覗き込んでいるので、弦楽器ではなさそうである。
謎は解けた。最初にこの4人を見た時、この席は6,000円だから、4人で 24,000円じゃん。芦屋辺りのセレブ一家か? と思った。
オケメンの家族なら、楽員1人につき少なく見積もっても1〜2枚の招待券は申請できるはずだから、他のメンバーから招待券回して貰えば、無料でご家族ご一行様来られるわね。早くも芦屋のセレブ伝説は消え去った。
ニヘドンの隣に座った母親は、皮のケリーバッグと紙袋を膝の上に乗せていた。で、彼女落ち着きが無くて、もじょもじょ動く。動く度に紙袋がガサガサ音を立てる。
「!」最悪の事態になりそう。
見た所、紙袋には入り口で渡されたチラシの束しか入ってない様に見える。
「その紙袋は、床に置いて欲しいなあ…。」悲しい気持ちで空っぽのオケシートを眺める。
三枝成彰さんのプレトークが始まった。さすがに大人は黙ったが、子供は喋り続ける。母親は丁寧に子供に返事をしてあげる。
カチーン!!
あんた達は、お父さん以外の人には興味が無いかもしれないけど、三枝さんのプレトークを聞きたい人もいるんだから、静かにして欲しいなあ…。
一番ショックだったのは、母親が一度も「静かにしなさい」と子供に言わない事。結果的に静かにしなくても、子供に、演奏会では静かにするもんだと伝える努力をするべきでしょう?!
何、この女?
プロの演奏家の妻子がこれ?! 今までニヘドンは、音楽家の家族は静かに演奏を聞くはずだ、お下品な一般大衆とは一線を画する、そこはかとなく漂う高貴なDNAが受け継がれて行くはずだと盲目的に信じ込んでいた。
見よ、この現実を!!
「うちの主人の演奏会で雑音を立てた客がいた。」って、演奏家の妻が怒っている図は容易に想像できる。でも「演奏家の妻子が演奏会で雑音を立てた。」って一般人が怒る図は、想定外でした。

演奏が始まりました。子供は喋べり続けます。前の列のおじ様が振り返りました。母親は、つんとしています。Bブロックの女性が身を乗り出して、こちらを窺い見ました。母親は恐らく勘違いしていたのではないでしょうか?「あたしが美人だから、皆があたしを見る。」ははははは…。そう言えば、ニヘドンのマイミクの間でよく話題になる勘違いの女王に容姿は似ていましたよ。
ニヘドン、頑張れ!
石田様への集中力が足らないから子供が気になるんだ!頑張れ!
集中だっ!!
集中して集中して石田様に没頭するのだっ!
心頭滅脚すれば、悪童もまた静か…?!

ニヘドンの耳は突発性難聴にはなってくれなかった。浜崎あゆみちゃんなら、子供も気にならなかった? ぐっ! 演奏そのものも楽しめないじゃないの!ニヘドンの耳は、子供の喋り声を一言一句漏らさずキャッチした。石田様達の演奏に熱くなる心のどこかで、焦りと苛立ちが蠢いていた。休憩時間になると、ニヘドンはすっくと立ち上がると扉を開けた。ニヘドンは心の中で大絶叫していた。
「もう耐えられなあ〜い!! 」
扉を2つ出た所で、ダークスーツを着た初老の男性が立っていた。胸に名札を付けている。ホールスタッフだ!ニヘドンは彼の前を通り過ぎる時に囁いた。「横の子供が演奏中ずっと喋るんだけど、何とかならないかしら?」スタッフの人は無言で頷くと襟元に付けていた小型マイクに向かって何やらごにょごにょ囁いた。何とかなるはずが無い。でも少し毒を吐いたニヘドンは、少し心が軽くなった。よし、これでお手洗いで気持ちを切り替えよう!
階段を降りてお手洗いに行くと、案の定長蛇の列。自分の席に戻った時には、開演5分前になっていた。
席に座ろうとして、ニヘドンは愕然とした。母親と男の子の位置が入れ替わっている!
母親が女の子に聞こえよがしに言った。
「休憩時間中は、喋っても良いのよ!」
女の子はヘソを曲げたように、こちらを見る。ははあ…。ニヘドンが想像するに、ニヘドンがお手洗いに行っている間に、スタッフが「お静かに願います」みたいな事を言いに来たんだな。その報復に席替えかい!
ニヘドンが母親なら、悪童は他人様の迷惑にならない様に、壁に近い方に座らせるけど?へ〜。プロの演奏家の奥様って、雑音に閉口している人の隣りにわざわざ子供を座らせるんだ? 凄いショック。音楽家の妻も音楽を愛すると思うのは幻想なの? 自分の子供を溺愛するだけ?

休憩時間の間に気持ちを切り替えたはずなのに、お先真っ暗な気持ちでヘナヘナと自分の座席にヘタリ込む。
その隣では例のお子ちゃまが無邪気に喋りまくっている。 
「 石田様~。 助けて~。 石田様~!! 」 二へドンに出来る事は、心の中で泣き叫ぶだけ。
石田様の座る椅子を呆然と見詰める。
二へドン、お前に忍耐力はあるのか? 大丈夫か? 第2部が始まって、また子供が喋っても、子供の頭を引っ叩かないだけの忍耐力は有るのか? 大丈夫か? 大丈夫なのかあ~?

もう後ちょっとで、第2部が始まると言う時、健康優良児がそのまま大人になりました、みたいな若いスタッフが二へドンの座席の横に屈み込んだ。 「 お客様。 別のお席がご用意できましたが、お移りになられますか? あちらの2階席の正面なんですけど・・・・・。 差額は頂きませんので。 」
その瞬間、石田様の正面向きの顔が、ボワンと目の前に浮かんだ。 石田様と「お見合い」したくて、わざわざシンフォニーホールのチケットセンターに電話して取った席なのである。 正面席に移ったら、もう石田様のお顔を正面から見る事は出来ない。
しかも今日は石田様の席は、第3プルト裏だから、正面席からは、もしかしたら表の奏者に遮られて見えないかもしれない・・。
迷う!! でもゆっくり考えている時間は無い。 スタッフが別のチケットを二へドンの目の前に差し出した。
無意識に身体が立ち上がった。 「 行きます! 」
スタッフに案内されながら、息せき切って新しい席に移った。 遠かった。 スタッフの人は新しいチケットの半券を律儀にもぎった。 ハアハア言いながら、座席に座る。 演奏会終了後、しみじみチケットを眺めると、新しく二へドンに宛がわれた席はS
席だった。 どうやら、2階中央はご招待席だったらしい。 この演奏会には一部上場企業の協賛がいっぱいついているので、
恐らくその関係の人々が占めていたと思う。 演奏会には珍しく、スーツを着た男性ばかりが座っていて、女性ばかりの日本のコンサート会場を見慣れた二へドンは、ちょっと居心地悪かったです。

とまあ、こういう事があったのですよ。
プロの演奏家の皆さん、妻子の教育もよろしくお願いしますね!!
誰の妻子であろうと、演奏会の最中は、お静かに願いますよ!! これ、常識だと思うのですが?
二へドンはダーリンの妻になっても、絶対静かにするから。 子供にも孫にも静かにさせるから。
演奏会の最中、じっと出来る我が息子が天使に見えるよ、全く!!
ここまで来るには、叱ったり、叩いたり、ご褒美で釣ったり、アノ手コノ手で調教したのさ。 皆だって、出来るはずだよ!

「 演 奏 中 は お 静 か に 願 い ま す ! ! 」

****** 「 座席を移った『とある理由』 」 ・ 完 ******


記事更新のお知らせ

「 大阪でフラレた女 」  2008.1.9.完了
「 第2部 ジャパン・ヴィルトゥオーゾ 1月4日大阪公演・レポ 」 2008.1.9 完了


同じカテゴリー(徒然)の記事画像
土方巽だらけ!
2012年02月06日(月)の二へドン
親子でよく似ている!?
種々雑感。
新春に2日間もブログ更新出来ず焦るニヘドン。
謹賀新年 2012年!!
同じカテゴリー(徒然)の記事
 土方巽だらけ! (2012-02-09 12:44)
 2012年02月06日(月)の二へドン (2012-02-07 07:38)
 不死鳥だったニヘドン。 (2012-01-27 23:34)
 親子でよく似ている!? (2012-01-22 13:35)
 ニヘドンの猟奇事件。 (2012-01-21 15:29)
 種々雑感。 (2012-01-09 18:04)

Posted by ニヘドン at 18:00│Comments(9)徒然
この記事へのコメント
勘弁してほしいね

よくそんなところに我慢できない子供をつれてくるね

子供が悪いんじゃなくて連れの大人が悪いね
Posted by マッハママ at 2008年01月09日 20:26
そうだったんですか・・・・。

2階席、3階席は子供が多いからね。。。。
子供が多くても大抵は親たちは静かにさせようとしているのが普通ですけどね。。。。災難でしたね。

大阪まで行って腹立たしい思いして帰るところを、
せめて後半は楽しめてよかった。
ホール側の臨機応変な対応がよかったですね。
たぶん、注意した時点で感触がよくなかったんでしょうね。
『ケリーバックの母親』の。

空席があるのなら、こういう時こそ活用して欲しいよね。
Posted by マーたん at 2008年01月09日 20:31
> マッハママさん。

   子供をのびのび育てたいなら、山村辺りでやって欲しいです。
   「 連れの大人 」 が、演奏家の奥様と言うのが大ショックでした。
   他人の振り見てわが身を直せ ですね。
   マナーの良い大人になりたいですね。

   今日も映画館で、久し振りにエグゼクティブ・シートが取れて
   ご満悦だったのですが、隣のおばちゃんがポップコーンを
   バリボリ食べて、「 ムッ! 」。
   おまけに映画上映中に、誰かの携帯が鳴って、しかもその音楽が サザエさんのオープニング曲だったんで、超気分台無し!

> マーたんさん。

   ホール側の落ち度では無いのに、よくあそこまで対応してくれたと思います。
   皆が、良いホールだと誉めそやす理由が分かりました。
   ホールには とても感謝しています。

   でも、もし満席だったら、どうなったんでしょうか?
   通路に体育座りですかね?
Posted by ニヘドンニヘドン at 2008年01月09日 21:16
大変だったようですが後半は楽しめて良かったですね。
ホールの対応もスマートで、なかなか席替えまではして貰えないですよ。

まだおとなしく出来ない子だったら、親子室を利用する方がスマートだったかもしれないですね。
Posted by ナオ at 2008年01月09日 21:50
> ナオさん。

   変な所で、永く記憶に残るコンサートになりそうです。
   身体がスマートよりも、行いがスマートな人になりたいです。
Posted by ニヘドンニヘドン at 2008年01月09日 21:59
私もコンサート会場や映画館で子供やご年輩の襲撃にたびたび会いますので、すごく苛立ちがよくわかります。
でもニヘドンさんの今回のはちょっとレベルが違ったようですね。

一度気になり出すと、その人のちょっとした動作や物音にもすごく敏感になってしまって、そっちにばかり神経が集中しちゃいますよね。
「ねえ、あなた一体何しにきたの?」
って聞いてみたいけど、そこまでおばさんにもなりきれず・・・(--;

それにしても、ケリーバッグの母親、最低ですね。
Posted by はな at 2008年01月09日 22:12
> はなさん。

   こういう事もあるから、座席を選ぶのもギャンブルですよね。
   「 コンサート保険 」があったらすごく良いと思います。
   雑音に悩まされたら チケット代半額補填とか・・・・。
Posted by ニヘドンニヘドン at 2008年01月09日 22:37
とんでもない災難でしたね。
後半は心静かに音楽に集中できたようでよかったです。
子供は静かにさせるのは大変なことだけれども、そうすべき場所にいるのなら努力するべきですよね。しかも関係者らしいというのに・・驚きです。
私もうちの未就学児を餌付けしたり、買収したりで調教中です。
まだ、ぐにゃぐにゃになったり、白目をむいてみたりと親からしてみると態度の点ではひどいのですが、とりあえず音は立てないでがんばってくれています。今後の課題は、演奏中はもぞもぞしないで演奏してる方々に敬意を払う、ということをわかってもらうことでしょうか。
Posted by まゆみ at 2008年01月11日 20:41
> まゆみさん。

  コメントありがとうございます。
  遅ればせながら、今年もよろしくお願い致します。

  子供にもいろいろなタイプのお子さんがいますが、
  母親の真剣な態度は、絶対に子供に通じますよね。

  まゆみさんのお子さんは、立派に調教(笑)されるに違いありません! 調教が完成すると、親子で音楽鑑賞という、
  それはそれは楽しい未来が待っていますよ!

  お互い頑張りましょう!
  うちの息子も、姿勢が悪いのでまだまだ調教が必要です。
  座席の中で寝るような姿勢になっちゃうのです。
Posted by ニヘドン at 2008年01月11日 23:40
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。