2010年05月22日

第263回・定期演奏会 ー 神奈川フィル

写真は見事な指揮振りで魅せてくれたロッセン・ゲルゴフ氏。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第263回 定期演奏会

日時 : 2010年05月21日(金)
18:20 開場 19:00 開演
会場 : 横浜みなとみらいホール 大ホール
指揮 : ロッセン・ゲルゴフ
ピアノ : 仲道郁代 ( なかみち いくよ )
ゲスト・コンサートマスター : 山本友重 ( やまもと ともしげ )
演目 : 第1部
    池辺晋一郎 / 照葉樹林 〜 弦楽オーケストラのための 〜 ( 9分 )
 ショパン / ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21 ( 30分 )
    アンコール : ショパン / ノクターン第20番 嬰ハ短調

< 休 憩 1 5 分 >

第2部
ベートーヴェン / 交響曲 第6番 へ長調 作品 68 「 田園 」( 41分 )

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

いやあ、素晴らしかった! 素晴らしかった!!
池辺晋一郎の「 照葉樹林 」は、今丁度ニヘドンが聞きたいタイプの曲だったし、
仲道郁代のショパンは、まるでショパンの霊が彼女に降りて来たかの様なショパン度100%の雰囲気だったし、ロッセン・ゲルゴフの指揮するベートーヴェン 「 田園 」は、有名な曲にありがちな手あかの付いていない、新しいアプローチで、ベートーヴェンの面白さを再認識させてくれたし、もうニヘドンはウハウハ喜んでしまったのであります。

指揮者のロッセン・ゲルゴフ氏についての予備知識は全く無く、
「 予算無いから若い人を招ぶのー? 」なんて失礼な事を考えておりました。
ごめんなさい。物凄い溌剌とした才気溢れる指揮でした。
ニヘドンが毎回欠かさず見ている MET ライブ・ビューイングですが、METも 2009 - 2010 シーズンは若手を大量に起用して、予算が無いからね〜なんて陰口を叩かれておりますが、いえいえ、若手の才能は素晴らしいですよ。
恐れを知らない勢いが有るし、いつの時代にも「 神童 」は居るものです。
もし、年齢が若いと言うだけで駄目なら、モーツァルトやショパンも排除しなけりゃならないじゃないですか!?
確かに、予算不足と言う現実は存在するでしょうが、そのお陰で才能を秘めた若手に早くスポットが当たるんだったら、不況だってまんざら捨てたものじゃないですよね?
守りの姿勢に入っちゃったベテランや、切磋琢磨しない大御所なんて、世間一般の人は有り難がるかもしれないけれど、ニヘドンはそんなの全然興味無いし。

ゲルゴフ君は1981年ブルガリア生まれの 29歳。
29歳と言えばニヘドンはその年齢の頃は結婚した翌年で、社交ダンスのドレスを作る会社でバイトをしており、社会の何の役にも立たない一市民もどきでしたね。
追っかけは愚か、ブログもやっておらず、子供も影も形も無く、自分の人生に何の意味が有るのかすら分かっていなかった時期です。
折角、今よりは若さが有ったのに、何かに体当たりする姿勢が無かった自分の29歳の時代を激しく後悔しますよ。
(-o-;)

ゲルゴフ君は実に素晴らしかったのです。
METの若手もゲルゴフ君も、共通点は「 熱い 」!!
1曲目からそんなに熱くて大丈夫なんですか!? って指揮者が多いです。

さて、今回の定期演奏会は得る物が多かったのですが、1つ大事件が起こってしまいました。
ソロ・コンサートマスターの石田泰尚様が神奈フィルを留守にしている間に、ニヘドンったら、ゲスト・コンサートマスターの山本友重さんによろめいてしまったのです。
山本さんのヴァイオリンの音は、石田〜リンの様に得も言われぬ美しさが際立つ訳ではなく、音に秘められた哀しみに胸が打ち震える訳でもありません。
一見( 一聴 ? )特にこれ! と言う際立った特徴が無さそうでいて、1度聴いたら聴いた者の心を逸らさない吸引力が有るのです。
「 あ〜れ〜! 吸い込まれる〜!! 」
友重さんの存在感の有るヴァイオリンの音は、頼もしいです。
ニヘドンがもしオーケストラに入るとしたら、友重さんの隣りで弾きたいと思いました。
ニヘドンが自分でヴァイオリンを弾く様になって、アンサンブルをする様になって分かった事は、弦楽器って、演奏する時に他の演奏者と少しずつ少しずつ音をすり合わせて行く作業をするんです。
ピアノみたいにハッキリ鍵盤が存在する訳ではないので、音の境界線が無いのです。
だから人によって微妙に音が高かったり低かったりします。
そういうのをお互いに聴き合いながら、なるべく音を近付けて行く……… そう云う作業が弦楽アンサンブルなんだと思います。
だからニヘドンみたいなへっぽこ演奏者は、音の受け皿になってくれて、「 こっちだよ〜! 」と音を引っ張ってくれる人が絶対に必要なのです。
オーケストラにコンサートマスターが必要な訳です。
友重さんの音は、コンサートマスターとして無条件降伏出来る音なんですよ。
もう演奏中、友重さんから目も耳も離せませんでした。
いいわ。彼いいわ!

しかめ、ただ無難に弾くような事はしません。
ちょっと目を離した隙に、何かお茶目な悪戯を仕掛けて来る様な雰囲気が有ります。
パンツェッタ・ジローラモみたいな洗練された大人の遊び心が有るんですよ。
あそこまでのダンディー振りを振り巻く演奏家は日本では珍しいですよね。
言うなればヴァイオリン界のちょい悪オヤヂ。
若い子には分からないだろう、この大人の余裕を。

ゲルゴフ君と友重さんが、い〜いコンビネーションを見せていて、何か神奈フィルの新局面だったね。
ゲルゴフ君も友重さんも、ずっと神奈フィルにいてくれていいよ。( 笑 )
いや本当に面白かった。


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Posted by ニヘドン at 10:32│Comments(0)コンサート
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