2010年07月25日
余りにカフカ的な……
写真は横浜・大桟橋の突端から見た「 みなとみらい 」地区。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
自分の頭部の毛穴が、一挙にグワァ〜っと、まるでその音が聞こえる様に激しく広がった。
その巨大化した穴の深部から、
ゆっくり、ゆっくりと
何かが這い上がって来る。
それはアメーバの様に、ぐにゃぐにゃした
感触の動きで、上に上がるかと思えば、
また下に潜ったり、横方向へ進むかに思えたり
てんで気まぐれな動きで私を苛立たせた。
が、全体的には上方向に向かって進んでいる様だ。
やっと、そのぐにゃぐにゃした物が、穴から
顔を出そうとした。
「 ふー、やっと来たか。」
私は軽い安堵のため息を吐き出した。
しかし、ここからが又、長かった。
不思議な物体は、穴に、その頭部を見せると、
更に動くスピードを落とし、中央部だけを上に盛り上げて行く。
映像のスローモーションだって、こんなにスピードは遅くにだろう。
もう苛々するのにも疲れ果てた私は、視線を死んだ魚の様に宙をさ迷わせる。
「 お前になんか、まるで興味なんか無いんだよ。」 と、
一応ポーズを取ってみた積もりだ。
その物体に、「 考え 」があるのかどうか、それは分からない。
私の考えを読み取る力が有るのかどうか、それも分からない。
分かっているのは、私の方が、奴の正体を知らないという事のみ。
中央部を盛り上げて、界面張力の理論を実証するかの様な
膨らみを見せつけ、音はしないのに、あたかも音がしている様な
見事なリアルさで、どんどん球体を大きくして行く。
もうこれ以上は大きく膨らまない・・・・と言う限界値に達した時に、
風船の様な「 それ 」は、穴から、ゆっくりと下へ滑り落ちた。
汗だった。 その正体は汗だったのだ。
ねっとりと絡みつく、殆ど「 油 」 と言ってもいい程の脂。
頭の毛穴と言う毛穴から、同様に脂汗が滲み出している。
一体、私の頭に毛穴は幾つあるのだろうか?
人間の髪の本数は、どの位あるのだろうか?
一説には10万本と聞いた事がある。
又、一説には7万~15万本とも。
どうやったら、自分の髪の毛の数を知る事が出来るのだろうか?
もうここまで行くと、不快を通り越してファンタジーの世界だ。
だから、毛穴が巨大化する様な夢を見てしまったのだ。
やれやれ。
夢から醒めた私は、頭を洗いたくなった。
が、これは、ちょっとやそっとのシャンプーでは、ぬめぬめと脂ぎった気持ちの悪さは
拭えないと思った。
そこで、爪の先を額と、髪の生え際に突き刺し、開いた皮膚に更に指先を押し込むと、
べりべり! と一挙に頭皮を丸ごと剥がしてしまった。
これで、ブラシでごしごし洗ってやれば、かなりスッキリするだろうと思う。
しかし、ちょっとやってみて、失敗だったと分かった。
頭に固定されていない頭皮は、ブラシを引くと、その方向に一緒に動いてしまって
ブラッシングが出来ないのである。
ブラシを動かす度に、いちいちもう片方の手で押さえるのが難しい。
釘でも打ちつけて固定させようか?
いや、薄い頭皮にその仕打ちはやめた方がいいだろう。
洗濯機に放り込む?
いや、私の腰まで達する長さの髪を、洗濯機に放り込んだ後のからまり具合を想像すると
恐ろしい。
そうだ! ドライクリーニングに出そう!!
これはいい考えだ! 何しろウール100%なのだから!!
絡まったら、クリーニング業者の責任で、何とかしてもらおう。
私は意気揚々とクリーニング店に行った。
「 これをお願いします! 」 私は、カウンターの上に、頭皮を取り出して置いた。
ぞろりと長い髪がカウンターの下に放射状に広がった。
「 お客様。 生もののクリーニングはお引き受け致しておりませんが。」
「 え? じゃあ、死体の頭皮なら、いいんですか? 」
「 さようでごいざいます。 死体の頭皮なら、お引き受け致します。」
この時ばかりは、ぴちぴちのギャルである自分を呪うばかりだ。
すごすごと自宅へ戻り、やっぱり普通にシャンプーすべきであったと後悔した。
頭皮を元へ戻そうとして、ハッと気がついた。
「 元へ戻らない!? 」
1度剥がした頭皮は、ただ置いただけでは、ただ乗っかっているだけなのだ。
「 これじゃ、カツラより始末が悪い!! 」
スキンヘッドだと思えばいいのかな?
いや、これはスキンヘッドとは言えない。
だって、スキンすら取り除いてしまって、有るのは頭蓋骨のみ。
これじゃあ、「 スカルヘッド 」である。
あら、スカルヘッド。 素敵ね。
さすが、二へドンさん、まだ誰もやっていない流行の最先端を提唱なさっているのね。
************************************
酷暑が人間の精神に及ぼす悪影響は、かくの如し。
二へドンが朝方に見た夢は、カフカもびっくりのおどろおどろしい世界でした。
***** 「 余りにカフカ的な…… 」 ・ 完 ***************
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
自分の頭部の毛穴が、一挙にグワァ〜っと、まるでその音が聞こえる様に激しく広がった。
その巨大化した穴の深部から、
ゆっくり、ゆっくりと
何かが這い上がって来る。
それはアメーバの様に、ぐにゃぐにゃした
感触の動きで、上に上がるかと思えば、
また下に潜ったり、横方向へ進むかに思えたり
てんで気まぐれな動きで私を苛立たせた。
が、全体的には上方向に向かって進んでいる様だ。
やっと、そのぐにゃぐにゃした物が、穴から
顔を出そうとした。
「 ふー、やっと来たか。」
私は軽い安堵のため息を吐き出した。
しかし、ここからが又、長かった。
不思議な物体は、穴に、その頭部を見せると、
更に動くスピードを落とし、中央部だけを上に盛り上げて行く。
映像のスローモーションだって、こんなにスピードは遅くにだろう。
もう苛々するのにも疲れ果てた私は、視線を死んだ魚の様に宙をさ迷わせる。
「 お前になんか、まるで興味なんか無いんだよ。」 と、
一応ポーズを取ってみた積もりだ。
その物体に、「 考え 」があるのかどうか、それは分からない。
私の考えを読み取る力が有るのかどうか、それも分からない。
分かっているのは、私の方が、奴の正体を知らないという事のみ。
中央部を盛り上げて、界面張力の理論を実証するかの様な
膨らみを見せつけ、音はしないのに、あたかも音がしている様な
見事なリアルさで、どんどん球体を大きくして行く。
もうこれ以上は大きく膨らまない・・・・と言う限界値に達した時に、
風船の様な「 それ 」は、穴から、ゆっくりと下へ滑り落ちた。
汗だった。 その正体は汗だったのだ。
ねっとりと絡みつく、殆ど「 油 」 と言ってもいい程の脂。
頭の毛穴と言う毛穴から、同様に脂汗が滲み出している。
一体、私の頭に毛穴は幾つあるのだろうか?
人間の髪の本数は、どの位あるのだろうか?
一説には10万本と聞いた事がある。
又、一説には7万~15万本とも。
どうやったら、自分の髪の毛の数を知る事が出来るのだろうか?
もうここまで行くと、不快を通り越してファンタジーの世界だ。
だから、毛穴が巨大化する様な夢を見てしまったのだ。
やれやれ。
夢から醒めた私は、頭を洗いたくなった。
が、これは、ちょっとやそっとのシャンプーでは、ぬめぬめと脂ぎった気持ちの悪さは
拭えないと思った。
そこで、爪の先を額と、髪の生え際に突き刺し、開いた皮膚に更に指先を押し込むと、
べりべり! と一挙に頭皮を丸ごと剥がしてしまった。
これで、ブラシでごしごし洗ってやれば、かなりスッキリするだろうと思う。
しかし、ちょっとやってみて、失敗だったと分かった。
頭に固定されていない頭皮は、ブラシを引くと、その方向に一緒に動いてしまって
ブラッシングが出来ないのである。
ブラシを動かす度に、いちいちもう片方の手で押さえるのが難しい。
釘でも打ちつけて固定させようか?
いや、薄い頭皮にその仕打ちはやめた方がいいだろう。
洗濯機に放り込む?
いや、私の腰まで達する長さの髪を、洗濯機に放り込んだ後のからまり具合を想像すると
恐ろしい。
そうだ! ドライクリーニングに出そう!!
これはいい考えだ! 何しろウール100%なのだから!!
絡まったら、クリーニング業者の責任で、何とかしてもらおう。
私は意気揚々とクリーニング店に行った。
「 これをお願いします! 」 私は、カウンターの上に、頭皮を取り出して置いた。
ぞろりと長い髪がカウンターの下に放射状に広がった。
「 お客様。 生もののクリーニングはお引き受け致しておりませんが。」
「 え? じゃあ、死体の頭皮なら、いいんですか? 」
「 さようでごいざいます。 死体の頭皮なら、お引き受け致します。」
この時ばかりは、ぴちぴちのギャルである自分を呪うばかりだ。
すごすごと自宅へ戻り、やっぱり普通にシャンプーすべきであったと後悔した。
頭皮を元へ戻そうとして、ハッと気がついた。
「 元へ戻らない!? 」
1度剥がした頭皮は、ただ置いただけでは、ただ乗っかっているだけなのだ。
「 これじゃ、カツラより始末が悪い!! 」
スキンヘッドだと思えばいいのかな?
いや、これはスキンヘッドとは言えない。
だって、スキンすら取り除いてしまって、有るのは頭蓋骨のみ。
これじゃあ、「 スカルヘッド 」である。
あら、スカルヘッド。 素敵ね。
さすが、二へドンさん、まだ誰もやっていない流行の最先端を提唱なさっているのね。
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酷暑が人間の精神に及ぼす悪影響は、かくの如し。
二へドンが朝方に見た夢は、カフカもびっくりのおどろおどろしい世界でした。
***** 「 余りにカフカ的な…… 」 ・ 完 ***************
Posted by ニヘドン at 09:09│Comments(0)
│徒然
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