2011年04月18日

「 かわいい 」

2011年04月18日(月)
新訳 「 チェーホフ 短篇集 」
「 かわいい 」
著者 : アントン・チェーホフ
訳者 : 沼野充義 ( ぬまの みつよし )

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

参りましたよ。
やれやれ、本当に参りましたよ。

この短篇小説は、ページ数にすると 20ページ程。
オーレンカ( オリガちゃん ) の人生が描かれています。
よく、読書や映画鑑賞等の際、作中人物に自分自身を投影するって事は有りますわね。
しかしですね。
何ですか、こりゃ!?
このオリガちゃんは、100% ニヘドンそのものなんですよ!!
あり得なくないですか?
1860 年生まれのチェーホフは、2010年が生誕 150周年でした。
この「 かわいい 」は 「家族」紙に1899年01月03日号に掲載されました。
約110年前に書かれた短篇小説が、100%ニヘドンと同じタイプの女性を描写している。
と言う事は、チェーホフと言う作家は、100年経っても変わらない、不変の乙女心を描いていたと言う事ですよ!!

もしチェーホフがニヘドンを見たら、我が意を得たりと高笑いした事でしょうよ。

女は100年前も馬鹿だったが、
21世紀になっても、やっぱり馬鹿だったと言う事だな。

オリガちゃんが、ニヘドンと全く同じ所を、本文から引用してみましょう。
「 はっきりしたのは、彼女が好きな人なしには一年も暮らせないこと、… 」。
(22ページ、4行目。)
あちゃ〜。
恋愛依存症とでも申しましょうか。
こんな馬鹿女は100年前から居たのですね。
冒頭でも述べられていました。
「 彼女はいつだって誰かのことが好きで、好きな人なしではいられなかったのだ。」
(11ページ、15行目。)
オリガちゃんの最初の夫は、クーキンと言う名の男で、遊園地を経営する興行師。
容姿は、「 背が低く、やせこけ、黄色い顔をし、もみ上げをなでつけていて、弱々しく甲高い声で話す男だった。」
( 11ページ、12行目。)
うわあ〜。ニヘドンが昔好きだった人を彷彿とさせる描写です。( 汗 )

オリガちゃんは、ある瞬間から恋に落ちます。
例えば、「 しまいに彼女はクーキンの災難に心を動かされ、彼が好きになってしまった。」
( 11ページ、11行目。)
そして、こんな状態になります。
「 心臓が甘くとろけるようで、全然眠くなかった。」
( 12ページ、13行目。)
あるでしょ? あるでしょ? 女の子だったら、こういう経験、何度も有るでしょ?
オリガちゃんは、クーキンと結婚し、クーキン色に染まります。
「 そして彼女は知り合いに、この世で一番すばらしく、一番大切っ、一番必要なものは芝居であって、本物の楽しみを味わい、教養ある人情豊かな人間になることができる場所は劇場だけだ、とまで言うようになっていた。」
はあ〜ん。そう言えば、「 ドンドン日記 」とか言うブログを書いている何処かの誰かさんも、直ぐに好きな人色に染まってたよね!?
ちょっと、ちょっと、チェーホフさん、貴方、ニヘドンの人生を何処で知って、小説に書いちゃったのよ?

ところがクーキンは突然の病死。
オリガちゃんは嘆き悲しみ、3ヶ月間喪に服します。
教会からの帰り道、プストワーロフと言う材木商人に声を掛けられ、慰められます。
「 この後一日中、彼女の耳にはこの男の真面目くさった声が聞こえ続け、目を閉じるとすぐに黒いあごひげが浮かんでくるのだった。彼のことがとても気に入ったというわけだ。」
( 16ページ、16行目。)
「 彼はほんのちょっと、十分ほどいただけで、たいして話もしなかったのだが、オリガちゃんは彼が好きになってしまった。どのくらい好きになったかというと、一晩中眠れず、熱病にかかったみたいに恋いこがれ、翌朝には年配のご婦人を呼びに使いを走らせたほどだった。」
( 17ページ、5行目。)

オリガちゃんはプストワーロフと再婚し、材木の夢を見る程、プストワーロフ色に染まります。

やれやれ。ここまで来ると、もう滑稽以外の何物でも有りませんね。
しかし、6年後プストワーロフも病死。

オリガちゃんは今度は自宅の別翼の下宿人の連隊付きの獣医スミニンを好きになります。




Posted by ニヘドン at 22:50│Comments(0)
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