2011年10月23日

「 3号室 」

ブリリア・ショートショートシアター
「 レズビアン&ゲイ プログラム 」

英題 : Room Number 3
邦題 : 3号室
監督 : Navarutt Roongaroon
製作国 : タイ
製作年 : 2004年
上映時間 : 21分00秒
種別 : ドラマ
フライヤーの解説から : ある日、フォンのアパートにタイの北部からバンコクにやってきた母が訪ねて来る。
そこで母は新しい同居人と対面する。
携帯電話は本当に人を結ぶのか?
愛とは?

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タイを何度も旅行すると、観光客相手のオカマ・ショーに数回出くわしました。
シンガポールでも現地ガイドがオカマの写真付きプロフィールのファイルを持っていて、
「 ふーん。そういう商売もするんだ。」と半ば呆れ、半ば感心したものです。
ベトナムでもどこでも、東洋人は西洋人に比べると
明らかに骨格が華奢だから、
実に美しいオカマちゃんが多いよね。

でも、あんまりタイのレズビアンの話は聞いた事が無かったので、
なかなか興味深く見ました。

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タイ・バンコクの高層マンション群。
鳥のさえずりが断続的に聞こえて来る。
若い女性がベッドで眠っている。
主人公のフォンだ。
街の喧騒が賑やかに聞こえて来る。
玄関チャイムの音で、フォンのルームメートのゴーが目を覚ます。

ゴーが玄関のドアを開けると、フォンの母親が突然訪ねて来たのだった。

母親は、ゴーが同居している事を知らされていなかったので、
自分と娘の二人分のお弁当を買って来ていた。
母親は、フォンが付き合っていた彼氏のデンの事を訊く。
フォン「 私達、別れたの。」
母親 「 あんな、いい人だったのに。」
フォン 「 いい人なら、電話番号を変えたりしないわ。
別れた後もしつこくされたの。」

フォンとゴーは1人分の弁当を分けあって食べる。
母親は田舎から、バンコクで開催される大会に出席する為にやって来たのだ。
フォンは、ゴーの車を借りて運転し、母親を会場まで送って行く。

その日の夕刻、フォン、ゴー、母親の3人は並んでソファーに座り、TV を見る。

母親 「 ご飯食べる? 買って来たわ。」
フォン 「 電話すればいいのに。」
ゴーはTV で、女装した男達が踊っている番組を見ている。
ゴーは「 何これ。気持ち悪いだけだわ。」と TV を消してしまう。

夜、フォンとゴーはマンションのベランダに出て、
ラケット型の電気蚊取り器でプランターの木の周囲をバチバチ叩いている。
母親は新しい携帯電話を買って来ており、
箱から出して娘に見て貰う。
フォン 「 ああ、首相の電話会社ね。」
フォンは早速、その携帯電話を使って父親に電話をする。
「 誰も出ないわ。家にいないの? 」
母親はそれを聞くと忍び泣きを始める。
フォン 「 ママ、何故泣いているの? 」
母親 「 パパが勝手に怒って家を出たの。
今は叔父さんの家よ。」
フォン 「 長年連れ添った夫婦でしょ。よく話し合えば? 」

翌朝、母親は目覚め、ベッドから起き出す。
クローゼットを開け、服を取り出す。
母親は会合が早く始まるからと1人で先にマンションの部屋を出る。

その後フォンとゴーは二人並んで洗面所で歯を磨く。
フォンは湯船にお湯を入れ、お風呂に入る。
母親が外の公衆電話から、部屋に置き忘れた携帯電話を鳴らす。
しかしシャワーの湯音が激しく、フォンは携帯が鳴っているのに全く気が付かない。
シャワーの流れる音が、いつまでも続く。

母親はマンションの部屋に戻って来て、
置きっ放しの携帯電話を自分の鞄にしまう。
母親はフォンに何事かを告げようとシャワールームの扉を開ける。
半透明のシャワーカーテンの向こうでは、フォンとゴーの二人が抱き合ってキスをしていた。
長いキスタイムを母親は見てしまう。

フォンは身体にバスタオルを巻いただけの姿で部屋の中っ立ちつくしている。
その前で母親は強張った表情で押し黙って椅子に腰掛けている。
二人とも何も言わない。( いや、言えないのか。)

母親はふと無言でマンションを出て行く。
フォンは静かに啜り泣く。

夕刻、フォンが家に帰ると、部屋に母親が座って、たそがれていた。
フォン「 ご飯食べた? 」
母親 「 食欲ゼロよ。あんな変態みたいな事。」
フォン「 愛し合っているの。」
母親 「 異常よ。おかしいわ。女の子同士で。
ああ、だからデンと別れたのね。」
フォン「 違うわ。」
母親 「 女の子同士で愛し合うなんて破廉恥だわ。」
フォン「 だったらパパとママは。」
母親はフォンの頬にビンタを食らわす。
母親 「 お前を愛しているから言ってるの。」
ゴーが静かにフォンに寄り添い、母親に向かって言う。
「 愛って何ですか? 」
フォンは啜り泣く。
母親は夜のバンコクの夜景をベランダから眺めながら泣く。

エンドロールの後、田園風景の中を自家用車が1台走る。
運転席にはゴー、助手席にフォン、そして後部座席には母親。
フォンは携帯電話で叔父さんに話しをしている。
「 叔父さん。今、車。 私の彼女も一緒。」

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最後には母親がフォンとゴーの仲を認めたと言う暗示のラストシーンになっています。
自分が他者を支配する行為を「 愛 」と言う言葉で正義化する
過ちは、母親なり妻がよく犯す過ちですよね。
自分の思い通りに相手が動かないからと、相手を糾弾しても、
相手の心は離れて行くだけ。
自分の思い通りに動かない相手を赦すのが、本当の愛なんだと思いますよ。
なかなか考えさせられる映画作品でありました。



Posted by ニヘドン at 17:25│Comments(0)
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