2008年12月24日

アンドリュー・ワイエス展[その1]

2008年12月10日(水)

がびーん!!
ニヘドンはこのアンドリュー・ワイエス展に2回足を運びました。
なのに! なのに!
全部見る事が出来なかったのですー!!
ニヘドンね、絵を見ると、そこに描かれている物達と立ち話をしてしまうので、なかなか次の絵に進めないのです。
こんなニヘドンがルーブル美術館の収蔵品を全部見ようなんて気を起こしたら、見終わるよりずっと早く、天国からお迎えが来ちゃうに違い有りません。

では、ニヘドンが絵達とどの様なお喋りをしたのかを綴って行きたいと思います。

本当は1枚1枚の絵の写真を載せてその絵に合わせてニヘドンの毒にも薬にもならない思考の断片を買いて行きたいのですが、
著作権云々と云う物が有って無理なので、
この展覧会をご覧になった方は思い出しながら、
何故か知らんが、図説をお持ちの方は、そのページをめくりながらお読み頂ければ、
ニヘドンの思考の流れも、分かり易いと思います。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

Emotion and Creation
アンドリュー・ワイエス展
創造への道程(みち)

会期 : 2008年11月08日(土) 〜 12月23日(火)
開催期間中 無休
時間 10:00 〜 19:00 ( 入館は18:30まで )
毎週金・土曜日は21:00まで ( 入館は20:30まで )
会場 : Bunkamura ザ・ミュージアム
( 東京都渋谷 )
料金 : 一般 1,400円
大学・高校生 1,000円
中学・小学生 700円

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
[ 始めに ]
アンドリュー・ワイエスは、アメリカのペンシルベニア州出身の画家です。
ペンシルベニア州と云えば、州都はフィラデルフィア。
フィラデルフィアと云えば、クリームチーズ!?
早速、脱線してスミマセン。
ニヘドンはチーズケーキが大好きなものですから。

さて、ワイエスは挿し絵画家の父の下、9才で水彩画を描き始めました。
毎年、家族でメイン州で夏を過ごしていました。
今回の展覧会は、メイン州で描いた絵のコレクションと、ペンシルベニア州で描いた絵のコレクションの2つのセクションに分かれていました。
ニヘドンはペンシルベニア州のコレクションはまるで見られなかったのですー!
(T_T)

なので、メイン州のコレクションについて、展示順に行きますね。
ワイエスは少年時代は病弱で学校に通わず、家庭教師に学びました。
でも子供の頃病弱だった子が、大人になったら嘘の様に元気になるのは、よくある話。
ワイエスも現在91才です!!
館内にはワイエスの写真も掲示されています。
俳優さんみたいなクールな雰囲気に包まれています。
彼の言葉も幾つか解説に引用されています。
ニヘドンの心に残ったのは、
「 フェンシングで相手に向かう様な気持ちで画面に向かう。 」
「 出来る事なら私は自分の存在を消してしまって絵を描きたい。― 存るのは私の手だけ、と云う具合に。」
画業に打ち込むワイエスの姿勢が覗く、いい言葉ですね。

ニヘドンも 「 フェンシングで相手に向かう様にヴァイオリンを弾きたいものです。
そして、
「 出来る事なら私は自分の存在を消してしまって石田様をストーキングしたい。 ― あるのは私の愛だけ、と云う具合に。」
ですよね―。むほほほ。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆☆

これから記入する番号は、展覧会の作品番号です。
番号が前後するのは、展示が必ずしも作品番号順ではないからです。
1. 《 自画像 》習作 Study for Self-Portrait 1938年 鉛筆、紙。
Tシャツを着て眉間に縦じわを寄せ、不機嫌な顔を見せる若者のポートレイト。
ニヘドンの息子ちゃんも、よくこんな不機嫌な顔を作って見せるので、何だか微笑ましくて笑っちゃいました。

2. 自画像 Self-Portrait 1938年 テンペラ、パネル。
[ 1 ] と同じモチーフで、彩色してある。
息子を育てた事のある人なら、「 難しいお年頃 」の男の子の不機嫌振りは万国共通だと共感できる筈。
妙に放っておけない絵です。
展覧会の最初にこの絵を持って来るのも頷けます。

3. 《 自画像 》 Study for Self-Portrait 1944-45年 水彩、紙。
ニヘドンは人物画や仏像を見る時、直ぐに「 誰か似てる人 」を探してしまうのです。
いましたよ。この自画像に似ている人が。
「 ミッドナイト・イーグル 」に出ていたシャイア・ラブーフ。 でしょ?

4. 《 自画像 》 習作 Study for Self-Portrait 1944-45年 水彩、紙。
異教徒に破壊された仏像の様に、目から頬にかけて絵の具で塗りつぶしてあります。
背景の木立も暗く、乱雑なタッチです。
小脇に抱えているのはスケッチブックです。
彼に取って、「 絵を描く 」事は本当に日常の行為だったのだなあと思います。

5. 自画像 Self-Portrait 1944-45年 テンペラ、パネル。
ニヘドンは常々、絵には大きく分けて2種類あると感じています。
賑やかな音がする絵と、全く音のしない無音の世界にぽっかりと浮かんでいる絵です。
ワイエスの描く絵からも、全く音が聞こえて来ません。
相対的に館内の空調の音が、苛つく程、大きく聞こえて来ます。
この絵は[ 3 ]と [ 4 ]の習作の完成品ですが、背景の植物の筆致が落ち着きを見せています。
心の奥底の希望を、見せかけの絶望で懸命に取り繕うとしている感じに見えます。

次からメイン州時代の絵が並びます。
カナダ国境に位置するメイン州にはニヘドンは行った事が無く、ワイエスの描く風景から想像するしか有りません。
ワイエス自身は、こんな風に語っています。
「 北のメインでは、全てがカラカラに乾燥した骨や、干からびた肉体の様な物に感じられる。」
ふーん。 アリゾナの乾燥具合とはまだ違った荒涼の様なんでしょうかね?


6. オルソンの家 Olson House 1939年 水彩、紙。
オルソンと云うのはワイエス一家が毎年夏に訪れるメイン州の高台に存る旧家に住む高齢の姉と弟の事。
姉は生まれつき両足が不自由なクリスティーナ。
弟は頑固で寡黙なアルヴァロ。
ワイエスは紹介を受けて、この姉弟と、その家を集中的にスケッチしたのです。

このオルソンの家の絵は、輪郭をハッキリとは描かずに、小さな色の固まりをボテボテっとまとめて、尚且つスッキリと仕上げています。
何かイイ感じ。
いつまでもずっと眺めていたい絵です。

8. ブルーベリーを収穫するアルヴァロたち Alvaro and Others, Raking Blueberries 1942年 水彩、紙。
実はこの展覧会に行った前の週に、MET ライブ・ビューイングで オペラ 「 ドクター・アトミック 」を見ていたのです。
広島・長崎に投下した原子爆弾を開発する科学者達の苦悩がテーマでした。
ワイエスが描いた「 ブルーベリーを収穫するアルヴァロたち 」は 1942年です。
第2次世界大戦終結の3年前です。
戦争終結の年が、敗戦国の戦況が最悪だったとするなら、1942年と云う年は、まだ一般庶民の生活は、殊にアメリカでは脅かされていなかったのかもしれません。
それでも、第2次世界大戦で、多くの命が散っているさ中に、ブルーベリーを摘む風景と云うのが、非現実的に感じられてしまいます。
アルヴァロの生活の糧は、このブルーベリーの収穫がメインだったので、趣味のガーデニングでブルーベリーを栽培していた訳では無いのですけれどもね。
又、脱線させて下さい。
最近見た映画の中で、これも又、不思議な連鎖と言わざるを得ないのですが、
第2次世界大戦でガレキの山となった映像を多く見ました。
「 ザ・フー アメイジング・ジャーニー 」の中で、メンバーの生立ちが語られる際、ロンドンの街がガレキになった写真が出て来ます。
大抵、敗戦国の被害写真が使われますよね。
連合国に楯突くと、こう云う痛い目に遭うぞと云う見せしめなんでしょうか?
ですから改めて、戦勝国のイギリスも、あんな無残な被害を被っていたのだとビックリしました。
「 帝国オーケストラ 」では、爆撃を受けたベルリン市街地の映像は沢山出て来ます。
音楽家が音楽をしただけなのに、ナチスの協力者と見倣される苦悩もよく分かりました。
「 ドクター・アトミック 」では、原爆を開発した科学者達も苦悩があった事が分かります。
「 LAST GAME 〜 最後の早慶戦 」では、戦時中も野球への情熱を失わなかった人達が描かれ、
「 私は貝になりたい 」で、無実で戦犯として処刑された男が描かれています。
「 パリ、恋人たちの2日間 」で、ネットワークに関する台詞が有ります。
曰わく皆が何かしら繋がっていて複雑なネットワークを形作っていると。
その理論を適用すると、ニヘドンがただ映画が好きと云うだけで無差別に映画を見ていくと、気がついたらそこには「 戦争を考える 」と云うリンクが出来上がっていたのですねぇ。

あ、長くなりました。
続きはパート2で!



Posted by ニヘドン at 17:51│Comments(1)
この記事へのコメント
 今日はクリスマスですがコチラ静岡は暴風で交通事故が多発してます。・・・お疲れ様です。  12/25書き:【SMAP中居正広が映画「私は貝になりたい」出演を決めた理由】。パナ○ーム静岡新入社員【サラリーマン編】 、デカハンバーガー画像もアメリカンで面白いです。時あれば、楽しんで見てやって下さい。



 
Posted by 智太郎 at 2008年12月25日 20:34
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