2008年12月29日

清塚信也 「弾-DAN-」 第3夜 ピアノ・リサイタル 前半

2008年12月25日(木)

クリスマスを1人で過ごすなんて嫌〜!!
そこでピアニストの清塚信也さんにデートをしてもらいました。
いや、ただ彼のリサイタルに出掛けただけなんですけど。
ニヘドン流に言うと、これは立派な「 デート 」なんです!

清塚信也 「弾-DAN-」
 第3夜 ピアノ・リサイタル

日時 : 2008年12月25日(木)
      開場  18:30 / 開演 19:00
会場 : 紀尾井ホール
料金 : ¥4,500.-( 税込み・全席指定 )
出演 : 清塚信也 / ピアノ
      山本祥平 / 1st ヴァイオリン
      清塚美耶 / 2nd ヴァイオリン
      横溝耕一 / ヴィオラ
      磯野太佑 / チェロ
      白尾祐介 / コントラバス

演目 : ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調  作品27-2 「 月光 」
      ベートーヴェン / ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 「 悲愴 」
      リスト / 愛の夢 第3番
      ショパン /
      ショパン
      清塚信也 / 劇音楽 「 テンペスト 」
      ベートーヴェン/ ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」
      武満徹  /   閉じた眼
                小さな空 ( with Violin )
                島へ ( with Violin )
                さようなら ( with Violin )
            Violon: 山本翔平

 〔休憩15分〕

      清塚信也 / わたしが死んでも世界は動く
      清塚信也 / 星の夜に
      渡辺俊幸 / 映画「天国はまだ遠く」より メインテーマ”闇につつまれて”
      渡辺俊幸 / 映画「天国はまだ遠く」より”光につつまれて”
      渡辺俊幸 / NHK「にっぽん 家族の肖像」より”メインテーマ”
      ショパン  / ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21(with Strings)

             1st Violon : 山本翔平
             2nd Violon : 清塚美耶
             Viola : 横溝耕一
              Cello : 磯野太佑
             Contrabass : 白尾祐介
〔アンコール〕

     清塚信也 / オリジナル
     モンティー / チャールダッシュ
     清塚信也編曲 / クリスマスメドレー

*******************************

クリスマスに一緒に過ごしてくれる彼氏がいないと言う冷酷な事実に気がついたのは
12月の22日(月)だったと思います。
慌てて横浜ルミネの中にあるチケットぴあにチケットを買いに走りました。
たまたま二へドンの家の積み上げてある雑誌、パンフレット、その他諸々の物が
地滑りを起こし、崩れ去った跡から、清塚さんの12月25日のリサイタルのチラシが出て来たのです。
狙いは清塚さんのリサイタル。
でも公演日が近いので、もうぴあでの販売は終了したと言われ、ガックシ。
ついでに他のチケットを大人買いし、帰宅後、リサイタルの主催者であるザックコーポレーションに電話をしました。

もう完売したと言われたら、眩暈がしてクラクラ倒れ伏す所でしたが、まだチケット有るって!!
きゃおーん。 嬉しい~♪ 
勿論、席なんて選べませんよ。1番端っこでした。
席番号が1番ですから、清塚さんの背中しか見えませんね。
でもクリスマスを1人で過ごすなんて、絶対に嫌ー!!
背中でも清塚さんと一緒に過ごせるなら、万々歳ですよ!!

紀尾井ホールは好きです。
気負いが無いから。 なんちって。 なんちって。 嘘嘘。
小ぢんまりとした感じが、とてもいいと思います。
ホールの規模に比して天井が高いのです。
改めて今日はシャンデリアに見入ってしまいました。

清塚信也さんがステージの上に現れて、開口一番トークです。
「 皆さん、えー、メリークリスマス!
  クリスマスの夜にお越し頂き、ありがとうございます。
  『 弾 』 最後の夜です。
  今日のピアノは3回、仕様が違ったんです。 同じヤマハなんですけど。
  今日のピアノは、僕の人生の中でも素敵な音を出すんです。 聞いてみて下さい。」

清塚信也さんの衣装は王子様スタイル。
胸の前に白い巨大なリボン。
牡丹の花柄のグリーンの王子様ジャケット。 下は黒いズボン。
ああ、CDジャケットの写真と同じ衣装ね。
髪は、いつもより短めかな。

1曲目は、ベートーヴェン / 
      ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調  作品27-2 「 月光 」
冒頭は、頼り無い位のタッチで、ゆっくりと弾き始める。
この曲、日本人ピアニストは、冒頭から情熱たっぷりに弾く人が多いですが、
それもいいですが、こんな風に素っ気無く弾かれると、
銀色の月の光が、無言で自分に降りかかって来るみたいで、ゾクゾク。
人間じゃない何者かから音が発されている様に聞こえる。
来て良かった。 いきなり1曲目から、そう思った。
クリスマスに王子からロマンチックな気分にさせて貰うなんて、
何て凄いクリスマスなんだ!!

2曲目は、ベートーヴェン / 
      ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 「 悲愴 」
清塚信也。 彼は決して鍵盤を叩かない。
それで強弱をしっかりつけて来て、クライマックスか?と思わせる所で
ストンと音量を下げてみせる。
瞬間、こちらのハートも、ストンと清塚マジックの罠に落ちる。
や・・・・・・やられた!!

3曲目はリスト / 愛の夢 第3番

きよりんは、この曲も静かに淡々と弾いて行きます。
彼がピアノの音で紡いで見せてくれるのは、日常生活では決して現れない天上の美しい物。

4曲目はショパン。
 きよりんも、ピアノの美しい音を味わって弾いてます。
 演奏が終わると立ち上がって右手で前髪をかき上げて一礼をしました。

5曲目もショパン。
 曲の出だしは情熱的に。
 中間部は優し~く、空気を丸くする様な演奏でした。

ここで清塚さんのトークです。
「 ありがと~。 楽しいな、ピアノ弾くって。
  身体も温まって来ましたので、テンペストを演りたいと思います。
  『 テンペスト 』はシェイクスピアの最後の劇です。
  プロスペローと言う魔法が使えるご老体なんですが、自分を島流しにした
  宿敵を赦す物語です。
  僕も、まだまだ赦すって事は出来ませんが音楽監督に呼ばれて
  僕が作曲した『 テンペスト 』をお聞き下さい。
  ベートーヴェンのピアノソナタが『 テンペスト 』 と言うタイトルで有りますが
  それとは全く違う、僕のオリジナル曲です。 」

そして6曲目が清塚信也 / 劇音楽 「 テンペスト 」の演奏です。
  先程までの5曲はウォーミングアップであったと言わざるを得ない、
  うって変わって力強い演奏です。
  重厚でドラマチックで、ピアノ1台だけで弾いているとは思えない音の膨らみ。
  優しい春風を感じさせる優しい曲調に変化して行きます。
  そして又、ドラマチックに。
  そして静かに。
  清塚信也が表現した「 テンペスト 」は、怒りや嵐や復讐では無く、
  「 赦し 」の部分だと思いました。
  最後は目茶目茶に盛り上がって、彼の作曲のセンスに驚かされました。
  きよりんは、客席が何を聞きたがっているのか、ちゃんと分かって、
  それを聞かせてくれるピアニストなんです。
  凄い! 拍手です!!

7曲目はベートーヴェン/ ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」。
  ふーん。 曲のタイトルが同じ「 テンペスト 」でも、こうも違うのね。
  ベートーヴェンのこのソナタにテンペストと言う名が付いているのは、
  ベートーヴェンの弟子のアントン・シンドラーが、この曲の解釈をベートーヴェンに尋ねたら
  「 シェークスピアのテンペストを読め。」と言われたエピソードから来ているそうです。
  アントン君は、そう言われて、本当にテンペストを読んだのかしら?
  そして読んで、「 ああ、そうか!」と納得出来たのかしら?
  実は二へドン、この年令になってもまだテンペストは読んでいないので、
  近々ちゃんと読まないといけないなあ。

  しかし、清塚さんの弾くベートーヴェン、いいじゃな~い!!
  きよりんって、ベートーヴェンの事も凄くよく分かって弾いていますね。
  ベートーヴェンのソナタ「 テンペスト 」は、きよりんの作曲した「 テンペスト 」よりも
  音の重なりがシンプルなんだけど、凄みが有ります。

  きよりんは、「 ピアノを弾くなんてお手の物さ!!」と言う感じでこなれた手つきで
  最後迄弾き切りました。

演奏後は、きよりんのトークです。
「 ありがとうございます。 なかなか緊張感の有る曲でしたね。
  ベートーヴェンは、1770年から1827年まで生きたドイツの作曲家ですが、」
ここで清塚さんは、カタンと音をさせて巻物を落としました。
「 バッハやハイドンやモーツァルトが、こぢんまりとした曲をやっている時、
  ベートーヴェンは、今で言う現代音楽で、誰も受け入れられない。
  当時は頭のおかしい人扱いですよ。
  僕、今日は貴族の格好なんですよ。 
  出て来る時、もっと笑ってくれるかなと思ったんだけど、駄目か。

  ムソルグスキーの『 展覧会の絵 』も亡くなってから40年も経って人気が出た。
  ラヴェルは、掘り起こして、それから知られるようになった。
  現代音楽を聴いてもらおうと思ったら、楽譜がバラバラになっちゃったんですが、
  武満さんは、最初、日本では売れなかった。
  武満さんは、最初批評家から、あいつは駄目だと言われると映画館へ行った。
  彼が有名になると、手のひらを返すように『 やっぱ武満凄いよな。』
  現代音楽ですからね。 ブーイングとかしないで下さいね。」
  
8曲目は武満徹  / 閉じた眼です。
  いいじゃないですか! きよりんの武満徹のピアノ曲!! 滅茶ハマる!!
演奏後、きよりんのトークが有りました。
「 ありがとうございます。
  武満徹は、こんな曲を書いたんですけど、どうですか? 
  皆さん、こんな曲お好きですか?
  こんな感じだったんです。 ベートーヴェンの曲は。
  もしかしたら、この曲、200年後には、あら、いい曲ねって言われているかもしれません。
  とても親しみ易い曲も書いています。
  本当は合唱曲なんですけれど、ヴァイオリンとピアノでアレンジしてみました。」

ヴァイオリンの山本翔平君が黒いシャツ&黒いズボンと言ういでたちで登場しました。
清塚「 こんな怖い顔をしてますけど、本当はいい奴なんですよ。」

9曲目は武満徹 / 小さな空 ( with Violin ) です。
  ピアノのイントロから始まります。
  ヴァイオリンが懐かしい音色を出して行きます。人肌の温もりの有る音なんです。
  きよりんのピアノ伴奏は最高です!!

10曲目は武満徹 / 島へ ( with Violin )。 
  凄くいいです!! 
  いつまでも聞いていたい。 つっかかりの無い滑らかな演奏です。
  いえ、「 つっかかり 」と言うのは、ミスタッチの事ではなく、
  滑らかに弾いている様でも、心に何か引っ掛かりを感じる演奏をする
  ピアニストさんが、たまにいるのですよ。
  聞いている人の心に何の邪魔もしない滑らかな演奏と言う意味です。

11曲目は武満徹 /  さようなら ( with Violin 
  タイトルだけを読むと悲しい曲なのかしらと思いましたが、
  清塚さんの演奏には別れの悲しみのニュアンスは全く無く、
  また直ぐに会える事を前提にした幸福感に満ちた「 さようなら 」でした。

20:19に第1部が終了。
この後、15分間の休憩に入ります。
休憩の間に二へドンが考えた事。
「 二へドンは英語が出来る。 英語が出来ない人は、英語が出来る人は
  翻訳も通訳も日常会話も全て何でも出来ると考え勝ちだが、
  実は全てが出来る訳ではない。
  ピアノだって、弾けるからって、全ての演奏が出来る訳ではない。
  清塚さんの場合は、演奏もトークも映画の演奏の吹き替えも作曲もアレンジも
  何でも出来る。
  凄い才能だと思う。 」

***** 「 清塚信也 「弾-DAN-」 第3夜 ピアノ・リサイタル 」 ・ 完 *****


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Posted by ニヘドン at 14:05│Comments(0)コンサート
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