2011年03月12日

神奈フィル 第270回定期演奏会

神奈フィル 第270回定期演奏会神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第270回定期演奏会

日時 : 2011年03月12日(土)
13:20 開場 / 14:00 開演
会場 : 横浜みなとみらいホール 大ホール
料金 :S席 7,000円
    A席 4,500円
B席 3,000円
指揮 : 金聖響 ( きむ せいきょう )
ソロ・コンサートマスター : 石田泰尚
          ( いしだ やすなお )
演目 : マーラー / 交響曲 第6番 イ調「 悲劇的 」( 80')
   第1楽章 アレグロ・エネルジーコ・マ・ノン・トロッポ
 激しく、また力をこめてしっかりと
第2楽章 アンダンテ・モデラート
第3楽章 スケルツォ 重くのしかかってくるように
第4楽章 フィナーレ アレグロ・モデラート

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

昨日、日本は未曾有の大地震に襲われ、一夜開けても店舗や宅配業者が営業中止の嵐。
開いてるコンビニが有っても、工場が停電で稼働していないと云う事で、おにぎり、弁当類が全く無い店も。

てっきり神奈フィルの定期演奏会も中止になるかと思いきや、ちゃんと行われたのでした。
ただ横浜市内の電車は相変わらず運行中止とか、間引き運転とか、遅れが続いていましたので、お客さんの数もいつもの定期演奏会の5分の1位でした。
でも地震にめげずにホールまで足を運んだお客さん達の拍手は温かく、大きな音でした。
いつもの拍手より綺麗な音の様に感じられました。

演奏も先月に引き続き、プロの妙技をたっぷりと聞かせてくれました。

このマーラーシリーズ、とっても良いですね。
実はニヘドンはマーラーの交響曲は、気が付かなかった振りをして通り過ぎようとしていました
だってマーラーを好きな人って、音楽理論をこねくり回すタイプの人が多くないですか?
「 蘊蓄はいいから、早く乾杯しろ〜!」って気分になるんですよ。
ニヘドンの思い込みかもしれないんですけど。

それが、神奈フィルのマーラーシリーズを順に聞き進めている内に、マーラーの魅力を楽しみ始めたのです。
マーラーは全然悪くない。
マーラーは全然楽しい。
マーラーは全然素敵!
「 全然 」の使い方間違っていても、全然 平気。
それ位マーラー OK !!

金聖響さん、ありがとうね。
ニヘドンにマーラーの楽しさを教えてくれて。
( でも自分では弾きたくないですけどね。笑。)

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

オーケストラのメンバー達がステージに登場しました。
先ずは指揮者の金聖響さんからメッセージが有りました。
「 今日はお集まり頂き、有難うございました。
私達、演奏家が、こういう時期に出来る事は、そう有りません。
  でも皆さんがこうして演奏を聴きに来てくれて嬉しい限りです。
  被災者の皆さんには、ご冥福を祈るばかりです。
  本当に僕らに出来る事は、いい音楽をする事だけなんで、
  まだ被害状況とか、よく分からないですが、
  僕達がここにこうして生きている事も不思議な事です。

  私達の強い祈りを東北の皆さんに届けられる様に頑張って演奏します。
  演奏の前に黙祷を御願いします。」

ホールの客席の全員が立ち、目を瞑ります。
が! 二へドンは2階バルコニー席の最前列。
そこに立って、目を瞑っていると、身体がぐらぐら揺れる気がするのです。
本当に身体が揺れているのか、ただそんな様な気がするだけなのかは分かりません。
ただ、強烈に怖かったです。
そのまま下に落下してしまうのではないかと思って。

目を開ければ、その身体のぐらぐらは収まるのでしょうが、
それでは黙祷にならないではないかと思い、ただ目を瞑ってぐらぐらを感じていました。
もし、二へドンと同じ様に、立った状態で目を瞑るとぐらぐら揺れちゃう人は、
黙祷の時は、壁側に移動するとかした方が良いかもです。

****************************

第1楽章 アレグロ・エネルジーコ・マ・ノン・トロッポ
 激しく、また力をこめてしっかりと

     金聖響さんの全身に力が漲った様な迫力のタクトが振り下ろされました。
     うう・・・・この冒頭は、大地震の翌日に聴くには怖過ぎるわー。
     二へドンはイキナリ涙目になってしまいました。
     感動じゃなくて、恐怖で。
     石田様の弓の構え方もいつもと違って見えますよ。
     いつもは空気でも持つかの様に、軽~く弓を持つのに、
     ( この軽い持ち方が上級者の証なのよ。
       下手糞はついつい余分な力が入ってしまうのです。)
     今日の石田様はメチャメチャ力が入っている様に感じられます。

     毎回、定期演奏会の度に「 うーん。 神奈フィルって素晴らしい!」って
     思うんだけれども、今日の神奈川フィルは、音の一体感が素晴らしい!!
     この入魂の演奏を大勢のお客さんに聴いて貰えなかったのは残念至極。

     曲が進むに連れて、おどろおどろしさが消えて明るい雰囲気になって来て
     二へドンはホッと一息。

     ティンパニがマーチのリズムを奏でると、オーケストラは楽しいパレード的な
     賑やかさを呈します。
     金聖響さんの集中力と、石田様の集中力は双璧。 凄過ぎ。
     ホルンのソロと、石田様のヴァイオリンのソロの掛け合いに聴き惚れます。
     1stヴァイオリンが、トレモロで、紫色の霧の様な怪しいムードを振り撒きます。
     そして、石田様のヴァイオリン・ソロ。
     これが又二へドンの膝裏をゾクゾクと奮わせるのです。
     
     石田様のソロに続き、管チームがオーケストラをリードするかの様な
     攻撃的な演奏を聴かせてくれます。
     攻めの演奏が、いつもの神奈フィルらしうないよ。( 笑 )
     いいじゃん。 いいじゃん。 
     二へドンはこういう演奏を高久評価しちゃうよ!

     全体的な印象も、巨匠マーラーの曲と言うよりも、異端児ストラヴィンスキー
     とでも言いたい感じです。
     この曲は、もう石だ様から目を離すな!!
     石田様のヴァイオリンを弾く「 テクニック 」が呼吸して生きているのを
     視覚的に感じられちゃうんです。
     楽器演奏のテクニックって、普通は耳で確認出来るものだと思うのですが、
     もう石田様のパフォーマンスに圧倒されまくり!
     移弦の時の的確な弓の角度に惚れ惚れします。
     脱帽でやんす、やす兄貴!!

     そして何と言っても、今日の管楽器チームが良いなあ。
     くっきりと鮮やかな音色に魅了されたよー。
     第1楽章の最後に、管楽器の皆さんが楽器の「 おけつ 」を高く上に
     向けるのが印象的でした。

第2楽章 アンダンテ・モデラート
     
     弦の流れる様なメロディが、ロアルド・ダールの小説に出て来る
     プディング鳥が飛ぶ時のBGMみたい。
     ああ、又、大抵の人が分からない喩えを出してしまいました。
     分かりたい人はロアルド・ダールを読んでみて下さい。
    
     それから、第1楽章でも感じていた事なのですが、ピツィカートが
     ディズニーアニメっぽくない?

第3楽章 スケルツォ 重くのしかかってくるように
 
     演奏の前に調弦タイム。
     ティンパ二からスタートです。
     高度な理性に裏打ちされた熱い情熱が迸り出ます!
     青白い炎がメラメラしている様です。

     石田様はピツィカートの後、左手を、水を弾く様に2~3度振りました。
     あれ? 珍しいですね。 そういう仕草って。
     弦チームの弓の動きが、1人1人確固とした意思を持っている様で、
     実に説得力が有るんですよ。
     10年前の神奈フィルと、今の神奈フィルの1番大きな違いは、
     この説得力だと思うのです。

     石田様の一際大きな音がいいなあ。
     石田様のちょっとだけソロ。 クラリネットと掛け合います。
     石田様の震える珠の音色は、手でビブラートを掛けたものでは無く、
     ヴァイオリンの魂が震えて出ている様な感じなんです。 ハー。ため息。

第4楽章 フィナーレ アレグロ・モデラート

     実に怪しくて常軌を逸している様な出だしが、二へドンのお気に入りの楽章。
     チューバとチェロの低音同士の掛け合いも面白いのです。
     2nd ヴァイオリンのトレモロも幻想的。
     極彩色のジャングルの中で象の王様が毅然とした態度で家来達に命令を
     下している様な重々しさです。
     そして聴こえて来るのが葬送の音色。

     弦チームが演奏お休みの間、管チームが鮮やかに聴かせてくれます。
     2人のティンパ二・チームもナイス!
     ヴァイオリンがお休みを負え、ヴァイオリンを構える時、
     石田様は肩の上でヴァイオリンのネックを高く上に持ち上げました。
     「 俺の合図に従え~ 」的で格好良かったです。

     カウベルの音が聞こえると、1階席のお客さん達は、
     一体どこから音が聞こえてくるのかと、身を乗り出してキョロキョロ。
     ふふふ。 舞台下手( しもて )の袖だよ~ん。
     R側のバルコニー席にいる二へドンの席からは、袖での演奏も
     バッチリ見えるんだよ~ん。
     ちょと得した気分になりました。( 笑 )
     カウベルの演奏が終わると、袖の扉が、そっと閉められました。

     およよよよ。 演奏が熾烈を極めてきました。
     各プルトの楽譜のめくり方も荒技になっていて、ちょっと笑えました。
     クラシック演奏家達だって、そんなにお上品に取り澄ましていては、
     こういう曲は弾けないのね。
     そう、クラシック音楽の演奏だって、なかなかの肉体労働なのですよ。
     何だかホッピー飲みたい気分になって来たわ。( 笑 )

     大太鼓と、シンバルとティンパ二がドカ~ン!と大音響を轟かせます。
     やった~! 打ち上げ花火を至近距離で見たのと同じ爽快感を味わいます。
     ハープの音色が華やかさと幻想の妙味を加えます。
     石田様のソロにカウベルが伴奏を付けます。
     ふと思ったんだけど、カウベルを楽器として鳴らすのではなく、
     カウベルを首に付けた牛を数頭ホールの客席に放つって言うのはどう?
     もう楽譜なんて、てんで無視、カウベルがカラカラ鳴りっ放しなの。(笑)
     一生一度は、そんな破天荒な演奏会を体験してみたいもんだ。
     今度 UPLINK の浅井隆さんに頼んでみよう。
     BLANK MUSEUM の庭で、リアルな牛や馬やロバや駱駝を放牧してもらうの。
     浅井さん、動物が好きって言っていたから、今度、本当にやってもらおう!

     おっとっとっと。 神奈フィルの演奏に戻りましょう。
     すんごいよ、もう! 極彩色のオーケストラ!!
     こんな豪華絢爛な神奈フィルは聴いた事が無い~!!!

     ティンパ二がドッカ~ン!!!!
     弦のピツィカートで第4楽章が終わりました。
     弦チームの演奏家達は、全員、弓を空中に上げたまま、じっと動きません。
     全員じっと動きません。
     1度、客席から拍手が起こりましたが、小止みになり、又しーんとなりました。
     指揮者の金聖響さんは、まだ動きません。
     二へドンは、ちょっと焦れて来ました。
     客席の男性が1人「 ブラボー!」 と叫びました。
     それを合図に、どっと拍手が起こりました。
     長い長い拍手の中、又、誰かが叫びました。
     「 再演しろー! 」
     本当です。 同感です。

***** 「 神奈フィル 第270回定期演奏会 」 ・ 完 *****


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Posted by ニヘドン at 18:25│Comments(0)コンサート
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