2008年12月28日

「パリ、恋人たちの2日間」・前半

2008年12月24日(水)

クリスマス・イブだと言うのに、一緒に過ごしてくれる彼氏のいないニヘドンは、横浜のシネマ・ ジャック&ベティの「 フランス・ラブストーリー 2本立て 」なるものを見に行きました。
ここでは、その内の1本である 「 パリ、恋人たちの2日間」について感想を書きます。

ニヘドンは、ジュリー・デルピーの映画を見るのは初めてです。
と言う言い方をすると、「 ジュリー・デルピーが何をした映画か具体的に言わないと分かりません! 」とお叱りを受けてしまいそうです。
だって、この映画は、ジュリー・デルピーが
監督、脚本、製作、主演、音楽、編集を1人でやっちゃっているのです。
だから、「 ジュリー・デルピーの映画は初めて 」じゃ分からないですね。
「 ジュリー・デルピーが主演の映画 」なのか、
「 ジュリー・デルピー監督の映画 」なのか、ハッキリ言わないとね。
全部です。全部。
ジュリー・デルピーが絡んでいる映画は、全く見ていなかったのです。
フランスを舞台にしたアメリカ映画は見るのですが、フランス映画は、余り見ていなかったのですよ。
フランスの俳優の名前を挙げろって言われると、今だにアラン・ドロンとカトリーヌ・ドヌーヴだもの。( 爆 )

まず、寝台車のシーンから始まります。
フランス女性( 職業 : 写真家 ) マリオンをジュリー・デルピーが演じます。
マリオンの彼氏・ジャック ( 職業 : インテリア・デザイナー )をアダム・ゴールドバーグが演じます。
2人は、ニューヨークに住んでいて、付き合いは2年。
マリオンとジャックは夏のバカンスで、ヨーロッパを旅します。
ドイツから、イタリアのベネチアへ。
マリオンが飼っている猫を、旅行中パリのマリオンの実家に預けます。
ニューヨークに戻る前に、預けた猫を受け取る為にマリオンの実家に行く訳です。
それが英語のタイトル 「 2 DAYS in Paris 」 と言う訳。

二へドンは、フランス語が苦手です。
今後、二へドンの息子が成人したら、またツアーコンダクターの仕事に復帰したいと思っています。
ツアーコンダクターの所謂「 資格 」は、一般旅程管理資格者試験で、試験科目に英語が有ります。
でも、実際、売れっ子ツアーコンダクターは、英語1ヶ国語だけでは駄目なんです。
英語とフランス語とか、英語プラスアルファが出来て当たり前なんです。
大分以前から、フランス語を何とかしなければ、フランス語をやっつけてやらなければ
と思っていました。
が、なかなかフランス語の学習が捗らないんですよねー。

言い訳にしか過ぎないのですが、フランス語は駄目だと思い込んでしまう1つの理由に、
フランス人がフランス語を余りにも大事にし過ぎる事もあると思うのです。
それって、外国人には敷居が高いですよね。
フランス国営放送で、外来語を使っては駄目だと聞いた事が有ります。
二へドンは数年前、少しでもフランス語学習の足しになればと思い
サン・テグジュペリの「 星の王子様 」のフランス語の朗読CDを毎日のBGMに
流していました。 
その中に「 ビジネスマン 」って、言葉が出て来るのですよ。
ビジネスマンって、英語やんけ!?
英語使ってるやん。 と、ちょっと騙された気分を味わいました。

「 パリ、恋人たちの2日間 」は、アメリカ人とフランス人のカップルの話なので、
英語とフランス語の台詞が両方出て来ます。
マリオンはフランス語と英語が堪能です。
( 台詞の中では4ヶ国語出来ると言ってました。 あと2つはどこ? )
ジャックは英語オンリーで、映画の中では怪しいフランス語を話そうとして笑いを取ります。
マリオンのママとパパはジャック相手に怪しい英語を喋ります。
つまり、この英語の中では英語、フランス語、ブロークン・イングリッシュ、ブロークン・フレンチ
の4つを楽しむ(?)事が出来るのです。

映画の中で、マリオンがフランス語の台詞の中で「 ファーストフード 」という言葉を使います。
おおおお! 「 ファーストフード 」という言葉はフランス語の中で認知されてしまったのか!?
英語使ってるじゃんよ。

この映画はね、台詞に、ものすごく深い意味が含まれているので、
シナリオを入手して、1文1文噛み締めたい程ですよ。
二へドンが大学入試の試験問題を作る委員だったら、このシナリオから抜粋して
読解問題を出題したいです。

マリオンが言います。
「 この私の性格を作ったのはママだ。 ママは口うるさくてイラつく。 」
うぷぷぷ・・・・・・。 古今東西、母親と言うのはそういう捉え方をされてしまうのね。
子供の為だと思って言ってあげてるというのが、母親側の理論なんだけど。

小さい頃のマリオンの回想シーンが出て来ます。
「 子供の頃、私は変わっていた。
  自分の世界に嵌まり、動けない。
  医者の薬の代わりにポラロイドカメラを母がくれ、何でも撮った。 」
映画を見ていて、「 子供の頃、自分は変わっていた。」
「 周囲に溶け込めなかった。 」 という台詞をよく聞きます。
二へドンが今年見た映画の中では、例えば 「 オーケストラの向こう側 フィラデルフィア管弦楽団の秘密 」。
或いは 「 ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて 」。
楽器をやっている人からみたら、有名オーケストラの団員になれるって、それだけでステイタスなのに、
映画の中で複数の団員達が、子供の頃の 「 孤独感 」「 疎外感 」を口々に訴えるのです。
これが、アジア諸国の人たちの発言なら分かります。
でも、「 個 」を重んじるはずの欧米諸国の人々が、「 個 」を主張出来ていない。
自分が変わっている事に自信が持てないって、何これ?
二へドンも、小さい時から、よく他人から 「 変わってるね。」 と言われて来ました。
でも、そこまで自分を卑下しなかったけどなあ・・・・・・・・・。
人間社会の中で、「 個 」を大事にしながら、周囲との調和を保ちながら生きるって、大変な事なのね。

マリオンが実家に預けた猫は、ジャン・リュックという名前が付いています。
実は、マリオンの実家のパパとママは、ジュリー・デルピーの実の両親なんです。
パパが俳優のアルベール・デルピー。 
ママも同じく女優のマリー・ピレ。
親子3人で共演って、凄いですよね。
もしかしたら、ジャン・リュックも、本当にジュリー・デルピーが飼っている猫なのかしら?

名前が付いているって、もうそれを 「 命有るもの 」として認める事になるのですよ。
ただの小道具ではなくなっちゃうんです。
だから映画を見る時も、小説を読む時も、名前が付いているかどうか見極める事は作品解釈に役に立つと思います。
「 ブタがいた教室 」でも、飼うブタに、名前を付けるかどうかという時、
「 食べてしまうブタに名前を付ける事 」に抵抗を見せた人々がいます。
それは当然ですよね。 
「 ミーアキャット 」の中でも、ミーアキャットは大勢出演しているのに、名前が付いているのは主人公のコロちゃんだけなんです。2番目によく出て来るのは、世話役のお兄ちゃんなんですが、あれだけ家族の為に貢献するお兄ちゃんが、名無しなんですよ。 その事を試写会の女王に指摘されたので、二へドンはこう回答しました。
「 お兄ちゃんに名前を付けると、感情移入してしまい、お兄ちゃんが
  ゴマバラワシに攫われて命を落とした時に、観客がショックを受けちゃうから、
  名前を付けなかったんですよ。 」
試写会の女王は納得してくれました。
だからね、ジャン・リュックという猫の名前をわざわざ映画の台詞の中で出すって、
ジュリー・デルピーにとっては意味の有る事だったのかなと思いました。

では、ここからは映画の進行に従って、荒筋を書いて行きます。
ママ 「 Do Do Do Do you do a good voyage? 」
( ブロークン・イングリッシュのフレンチ・ママの英語って可愛いったら、ありゃしない!!好き!)
マリオンとジャックは階段を上がりながら話をする。
マリオン「 強い男性に運んでもらいたいの。」
ジャック「 君は自立した女性じゃなかったのか? 」
マリオン「 配管工はフランスには居ない。」
ジャックは浴室のカビを見てビビる。
マリオン「 100年前は寄生虫だらけでも、アレルギーは無い。」
ジャック「 だからフランスでは体温計を口に咥える。」
マリオン「 フランスでは口では測らないわ。 お尻で測る。」
ジャック「 コンドーム、いつ買ったの?」
ジャックは洗面所の戸棚を見て言う。
マリオン「 1月。」
ジャック「 浮気する為に? 」
マリオンは上を見て呆れ顔。
ジャック 「 これ本当にコンドーム? イタリアのより小さいぞ。
       子供サイズ? 子供も使うのか? 」
そこへママが入って来る。

マリオンのママとパパのジャノとジャックでラパン( うさぎの肉 )料理を食べる。
ジャックは、かなり無理してる感じ。
「 昔飼ってたウサギ、耳だけ残して犬に食われた。」
ジャノとジャックは、お互いの知識をひけらかす為に(?)芸術家の名前を出し合う。
列挙すると
☆ ブルース・ケルナー( Bruce Kellner )・・・元ミラズヴィル大学教授。
☆ ジョージ・スティーヴン・モリソン( 1919 - 2008 )
  ・・・ アメリカ海軍提督。
☆ ウィリアム・カスバート・フォークナー( William Cuthbert Faulkner )
  ・・・ アメリカの小説家。
     代表作に「 ヨクナパトーファ・サーガ 」が有る。
     ミシシッピ州の架空の土地ヨクナパトーファ郡ジェファソンを舞台にしている。
     1897 - 1962 年没。 ( あら、二へドンと入れ代わり。)
☆ ヘンリー・ミラー ( Henry Valentine  Miller )
  ・・・ 作家。 晩年の妻は日本人ジャズ歌手のホキ徳田。
☆ アルチュール・ランボー ( Jean Nicolas Arthur Rimbaud )
  ・・・ 19世紀のフランスの詩人。
      1854 年10月20日 - 1891年11月10日
☆ シャルル・ボードレール ( Charles - Pierre Baudelaire )
      1821年04月09日 - 1867年08月31日
      フランスの批評家、詩人。
☆ モリエール ( Moliere )
      1622年01月05日 - 1673年02月17日
       17世紀のフランスの劇作家。 古典主義の三大作家の一人。

パパ 「 オーギュスト・ルノワールはライターか? 」
ジャック 「 画家だ。」
パパ 「 今までの男よりマシだな。 顔が悪い分、頭がいいな。」
ジャックが、ジム・モリソンの墓を見たいと言うと、固まる家族。

※ Jim Morrison → アメリカのロックバンド「 ドアーズ 」のボーカル。
             1971年07月03日パリのアパートのバスタブで死んでいるのが発見された。
             ドラッグ服用、ステージで自慰行為を行なって逮捕等、
             反社会的存在と見做された。

ジャックとマリオンはタクシーに乗り、車中で色々と会話を交わす。
マリオン 「 妹は学習障害児に教えている。 痴呆老人にじゃないわ。」
タクシーの中で鼻を鳴らして笑うマリオンに、ジャックは「 鼻を鳴らすな。」と抗議。
ジャックの「 ジュ“ ル ” テーム 」の発音に顔をしかめるマリオン。
マリオンは「 スモール・ワールド・ネットワーク 」について言及する。
これは、地球の裏側で知っている人に出会う可能性についての話。

マリオンは、花屋の前でマニュと言う男性に出会う。
マリオン 「 何年も前にちょっとね、彼にフェラしたの。 気を悪くした? 
        Pretty minor event. ( つまらない事よ。)
        前に別れた人達とは友達よ。」
ジャック 「 別れたら、わざわざ会わないよ。」
マリオン 「 フランスでは元恋人と付き合うのよ。」

橋を渡る時、ジャックが言う。「 ラスト・タンゴ・イン・パリ 」。
マリオン 「 マーロン・ブランドに似ている。」
サングラス2つで、「 どっちがゴダール風? 」とジャックに訊くマリオン。
ジャック 「 眼鏡の無い方がキレイだ。」

***** 「 「パリ、恋人たちの2日間」・前半 」 ・ 完 *****

続きは、「 パリ、恋人たちの2日間 」・後半でお読み下さい。
→ http://cinemamusicgroumet.hama1.jp/e971068.html


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Posted by ニヘドン at 22:35│Comments(2)映画
この記事へのコメント
おはようございます♪

この映画、見たかったんですよ。
なかなか評判いいですもんね。

フランス映画好きとしては、見逃せません。(笑
Posted by 若旦那 at 2008年12月29日 08:28
> ムッシュ・若旦那

   ぼん・じゅーる。 ぼん・そわーる。 
   焼肉のたれぶー?
   ワケ ワカリマセン。

   あ、すみません。
   そうですか。 若旦那はフランス映画好きですか。
   2009年は、何だかフランス映画が日本で盛り上がりそうな
   感じです。

   「 シェルブールの雨傘 」が、デジタルマスター版で
   上映されますしね。

   また来年も映画を見まくろうと思っております。
   あ、いやいや、今年もまだあと3日有るから、
   まだ数本見られるぞー!!
Posted by ニヘドンニヘドン at 2008年12月29日 09:43
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