2009年01月13日

第2幕 MET 「 ファウストの劫罪 」

この記事は、2008年12月15日にアップした
『国宝級の芸術を見てしまった!!MET「ファウストの劫罪」』の第2幕です。
第1幕は、下記URLでご覧下さい。

http://nihedon.hama1.jp/e76670.html

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MET ライブ・ビューイングでは、毎回、バックステージや、出演者やスタッフへの
インタビューが挟まれているのが、ファンに取ってはお楽しみの1つです。
今回も、やっぱり有りましたよ!!

「 タイス 」に出演したトーマス・ハンプソンが出て来ました。
「 演奏会形式で歌う事もよくありますが、演奏会形式は難しいですね。
  役を想像しないと・・・・。
  ファウストは衣装を着ると役に入り込めるのです。」
Q : ファウストの好きな所は?
A : 罪の意識がくっきりと現れている所です。
Q : グノーの「 ファウスト 」と比べてどう?
A : グノーの作品は変化に乏しい。
Q : 悪魔は悪魔でしょ?
A : 皮肉や邪悪さを含んでいる。
O : マエストロとは再演だけれど、それについてはどう?
A : 素晴らしいアリアで、毎回違う発見が有る。
    マエストロは、子供が道を渡る時に父親が導いてくれる様な存在だ。
Q : 悪魔が悪巧みをしているのに、歌詞が美しいのは、どう思う?
    この見事な演出をどこまで意識して演技をしているの?
A : 背後の映像の事は想像もつきません。
Q : さらに集中力が必要?
A : はい。
Q : 自分の演技で映像が動くって、すごいと思わない?
A : 分からないよ。 僕達は背後の映像は一切見てないから!

お次は、出演者すらオペラの舞台の全体像が想像もつかない程のスケールの大きな
演出を手がけた演出家のルパージュ氏の登場です。

「 オペラの世界と映像の世界を融合したかった。
  そこで二重の壁を作りました。 壁の前後から映像を映すと、3Dの様に見えます。
  シルク・ドゥ・ソレイユで 『 カー 』 を演出したのと同じです。
  今回は、その技術を使っています。
  オペラは瀕死の芸術ではありません。
  今後は異業種も参加すべきでしょう。 」

二へドンは、もうこのルパージュ氏の言葉に衝撃を受けました。
あれ程の凄いステージを作り上げた人の言葉は説得力有りますよね~!!
今後は異業種も参加すべき!!
この頭の柔らかさは、世界中の人が見習うべきですよ!!
ほんとにこのオペラは最高だから。
オペラを越えて、イリュージョンの世界だから!!
幸い、映画という形で記録されたので、要望が出れば再映だって夢じゃないんですよ。
是非、1人でも多くの人に見て欲しいです。
本当に本当にそう思います。
一度、ルパージュ・マジックを見てしまったら、もう何が起きても二へドンは驚きません。
オペラのステージから水が溢れ出て、観客がボートに揺られながら水没したステージを見下ろす
事になっても、
ステージからスペース・シャトルが発射されても、もう二へドンは何も驚きません。
ルパージュ氏や、彼と考えを同じくする他の演出家達によって、
ステージに不可能は無くなってしまったのですから。
折角、こんなシャングリラ的なステージを見られる時代に生きているのだから、
今後は皆さんも、どんどん見に足を運んで欲しい。
歴史的な瞬間を見なくてどうするんですか!!
二へドンに取っては、日本に黒船がやって来た事よりも、
このルパージュの「 ファウストの劫罪 」を見た事の方が大事件でしたね。

12:15。 20分の休憩に入ります。

休憩後の上映が始まります。 いきなり本編には入らず、
いつもは出演者へのインタビュワー役のスーザン・グラハムが、
今日はオペラの出演者なので( マルグリット役 )、インタビューに答えます。
「 『 リゴレット 』 が人生の転機だったわ。 
  彼( ロベール・ルパージュ )は、物語をオーケストラや合唱に語らせると
  本当に天才的なの。
  インタラクティブ技術は9年前には無かったの。
  背後や周囲の様子は、舞台にいる私達には見えないの。 」

「 このオペラのマルグリットはファウストへの愛に満ちているわ。
  恋に落ち、捨てられ、牢獄に入れられる。
  彼女の境遇は、マエストロと演出家にかかっている。
  他の人がどう思おうとね。」

そして、スーザンは、第2幕の幕が開く前にスタンバイする為に、セットの長い階段を
助手に助けられながら上がって行きます。
74段の階段は、スーザンが上がる様子を見ている、客席側の私達も、
つられて息が切れる気がしてしまいます。
でもスーザンは息を切らしながらも、喋るのを止めません。
映画を見ている人へのサービス精神からなのか、ただ単におしゃべりなだけかは
分かりませんが・・・・・。( 笑 )
「 “ Don't break a leg. ” あら、あなた、母と同じ事を言うわね。 」
「 Can I have some water ? 」 と助手の女性に頼み、
受け取ったミネラル・ウォーターのペットボトルをグビリグビリと飲みながら階段を上がります。
「 この階段、74段よね? 建物の3階部分かしら? 」

こんな舞台裏を見る事が出来るのも、ライブ・ヴューイングの楽しみです。

スクリーンのオーケストラ・ピットには、マエストロが登場します。
メトロポリタン歌劇場の客席から拍手が湧き起こります。
幕が開きました。
舞台の背景は2階建てのお屋敷です。

1人、窓辺に佇むマルグリートです。
静かなストリングスのメロディに乗せて、ファウストが梯子を上って歌います。
白いドレス姿のマルグリットは燭台をかざして2階を歩いて行きます。
窓のセットが左に移動し、今度はファウストはベランダを歩く格好になりました。
メフィストフェレスが、その様子を眺めています。
マルガリータは、1階部分を歩きます。
おや、ヒロインなのに、裸足なんですね。

  


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Posted by ニヘドン at 18:18│Comments(0)映画
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