2009年02月19日

おもちゃの国( Toyland)

2009年02月19日(木)

Brillia ショートショート・シアターで
「 アカデミー・プログラム 」を上映しています。
アカデミー賞ノミネート特集と云う事です。
「 今年度のアカデミー賞ノミネート作品も上映、
  今月発表の米国アカデミー賞と
  リアルタイムにリンクしたプログラムです。」
と、ブリリア・シアターのチラシに書かれています。

新しい物好きな二へドンの心を
「 リアルタイムにリンク 」という言葉が
捉えて離しません。

早速見て来たので、ネタバレしますね。


「 おもちゃの国 」 ( Toyland )
第81回( 2009年 )アカデミー賞 短編実写部門ノミネート作品
短編実写部門の最有力候補なんですってよ。
発表は日本時間の2009年02月23日(月)です。
監督 : Jochen Alexander / Freydank
制作国 : ドイツ
制作年 : 2007年
上映時間 : 13分52秒
種別 : ドラマ

*********************************

スクリーンにはピアノの鍵盤が大写しになり、ピアノを弾く2組の手が動く。
この映像をバックにタイトル・ロールが流れる。

1942年のドイツ。
朝、6歳の息子のハインリッヒを起こしに息子の部屋に入った母のマリアンは、
ベッドにハインリッヒが居ないので、慌てて階下に駆け下りる。
アパートの下の部屋は家具や家財が散乱していた。
( 場面転換 )

マリアンとデビッドの母親が、「 練習してる? 」と部屋のドアを開ける。
その部屋では1台のピアノにハインリッヒとデビッドが並んで腰掛けピアノの練習をしている。
デビットの母はマリアンに言う。
「 デビットにはピアノを続けて欲しい。 でも明日になったら・・・・・・・。」
デビットの一家はユダヤ人なのだ。
マリアンは息子のハインリッヒには本当の事が言えない。
そこでマリアンは、ハインリッヒに、「 デビットはおもちゃの国へ行く。」と嘘をつく。
( 場面転換 )

ハインリッヒがアパートの螺旋階段を上がって行くと、デビッドの父親が階段に
座り込んでいる。
デビッドの父親はハインリッヒに言う。
「 誰にも言うなよ。 道を歩いていたら、サイに会った。 」
「 サイ!? 本物のサイ? 」
「 ああ。 」
「 なら、ボクも秘密を教えてあげるよ。
  僕は明日、デビッドと一緒におもちゃの国へ行くんだ。」
( 場面転換 )

夕食を作るマリアンに、ハインリッヒはおもちゃの国へ行きたいと食い下がる。
当然母親は駄目だと言う。
「 ぬいぐるみのお化けが出るわよ。」と脅す。
( この時、マリアンの台詞に、「 テディベア 」と云う言葉が出て来るのです。
  ドイツ語でもテディベアって言うんだ! ちょっとビックリでした。 )
( 場面転換 )

夜、ハインリッヒは自室の窓を開け、懐中電灯を点滅させて合図を送る。
デビットが窓を開けて顔を出す。
ハインリッヒは、母親に黙って、一緒に出かける決意をデビッドに伝える。
( 場面転換 )

ここで、この映画の最初の場面に繋がる。
ハインリッヒがいなくなった事に気付き、パニックに陥ったマリアンは、外に飛び出す。
しばらく行くと、ハインリッヒのテディベアが道路に落ちていた。
警官に訴えても相手にしてもらえない。
軍のビルに行くが、逆にマリアンがユダヤ人だと疑われてしまう。
マリアンはアーリア人証明書を見せて、事情を説明する。

マリアンと軍人達は鉄道駅にやって来る。
列車の中を捜す為だ。
デビッドの一家の性シルベスタインという名前を告げると、軍人達が名簿で調べる。
( 場面転換 )

ハインリッヒは小さなトランクに荷物を詰め、デビット一家が乗り込んだ軍用ジープに
追いすがる。 荷台の後ろから小さな身体を飛びつかせるハインリッヒの姿。
( 場面転換 )

名簿から、デビット一家は3号車に乗っている事が分かった。
窓の無い貨物車の閂( かんぬき )を開けると、中にはギューギュー詰めに人々が立っていた。
「 ハインリッヒ! 」 マリアンが叫ぶが返事は返って来ない。
「 ハインリッヒ! 」 返事は無いし、誰も出て来ない。
( 場面転換 )

ジープの後ろに取りすがったハインリッヒっだったが、押し飛ばされて背中から道路に
転がってしまう。 ふー、やれやれ。
さっきのシーンだと、てっきりハインリッヒはジープに乗って一緒に行ってしまったと
思い込んじゃうんだよね。
良かった。 ハインリッヒはジープには乗せてもらえなかったんだね。
( じゃあ、どこへ行ったの? )
( 場面転換 )

マリアンが「 ハインリッヒ!」と何度も呼ぶと、カメラは6歳位の男の子の背中を映す。
男の子は母親にしがみついていて振り向かない。
「 ハインリッヒ! 」 マリアンが必死に呼ぶと、男の子はゆっくりと顔をマリアンに向ける。
その男の子は黄色い星をコートに縫いつけたデビットだった。
マリアンは無言でデビッドを見詰める。
デビットも無言でマリアンを見詰める。
「 ハインリッヒ!」 マリアンは、ハインリッヒの名を呼びながら右手をデビッドに伸ばす。
ナチスの軍人がデビッドを抱きかかえる。
それは一瞬、デビッドが列車から降りるのを妨害する仕種に見えたが、
「 手を貸しましょう。 」とデビットを列車から下ろし、マリアンに渡す。
マリアンとデビッドの両親は無言で見詰め合う。
( 場面転換 )

マリアンのアパートの部屋にデビッドが立っている。
画面右端にはハインリッヒの顔も見える!!
2人共無事にマリアンの家に戻ったんだ!!
「 一緒に練習しよう。」 
ハインリッヒとデビッドは2人でピアノに向かう。
鍵盤を押さえる2組の手は、いつしか大人の手に変わっている。
ピアノの上には両親の写真が4枚飾られている。

ENDE 

**********************************

物凄く余韻が残る短編映画です。
こういう風に「 戦争 」 と 「 音楽 」をセットで持って来られると、泣きだね。
ある意味、ずるいよね。 音楽が好きでコンサート会場に足を運ぶ人が
この作品を見たら、もう泣くしかないじゃないですか!!
貨物列車に乗せられた人々が、一言も口を利かない場面は、
見ていて胸がおしつぶされました。
大袈裟に悲しみをアピールする訳でもなく、無気力にも見える顔・顔・顔・・・・・・。
もし自分が、収容所に連行される貨物車の中の人間の演技をしろと言われたら
どういう顔をしたら良いのか全く分からないですよ。

ハインリッヒとデビッドは、大人になって演奏家になったのでしょうか?
少なくとも大人になっても、趣味であれ仕事であれ、ピアノを弾くのが分かって
ホッとしました。
ユーロスペースで上映していた「 帝國オーケストラ 」とダブるんですよ。
「 帝國オーケストラ 」を見た後で、この短編の「 おもちゃの国 」を見て欲しい。
2つの映画に共通しているのは、苦難の中で
じっと耐える人々の姿と、音楽を続ける姿勢です。
音楽があるからこそ、辛い事にも耐えられると言うべきか。
生半可な気持ちで音楽を聞いてはいかん・・・・と言う事なのか・・・・・・・。

今度、「 帝國オーケストラ 」はシネマ・ジャック&ベティにも回って来ますし、
DVDも発売されますし、是非皆さんに見てもらいたいです。
「 おもちゃの国 」も恐らくアカデミー賞を取るだろうから、
もしかしたら、どこかで作品を鑑賞する機会に恵まれるかもしれません。
2本をセットで見て下さい。
「 音楽 」について、今一度考えてみたくなっちゃいますよ。
その意味ではプロの演奏家の人々にも見てもらいたいですね。

***** 「 おもちゃの国( Toyland) 」 ・ 完 *************





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Posted by ニヘドン at 22:19│Comments(0)映画
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