2009年03月14日

第七回 「 語りのひととき 」

あれは何年前でしたかね?
当時、「 横浜文化情報 」と云う名前のフリーペーパーが有りました。
( 現在は 「 横浜アートナビ 」と名前を変えて発行されています。)

その情報誌で「 語りのひととき 」のイベントが有るのを知りました。
時間が有って無料だと、どんなイベントにも出掛けて行くニヘドンなんです。
だから内容に興味が有ると云うよりも、「 行く 」と云う行為そのものに価値があるのです。

どんな内容なのか、全く知らずに行ってみて、雷に打たれました。
ここで、土屋真澄( つちや ますみ )さんと云う素晴らしい朗読家を知る事となりました。
当時ニヘドンは小学校での読み聞かせ活動を始めたばかりで、
「 人前で文章を読む 」という事の難しさに頭を悩ませていました。
ニヘドンはアナウンサーとしての訓練は受けていません。
学校の授業で指名されて立って教科書を音読するのとも、全く異なっています。
学校の音読は、聞いている人も文字を見ています。
だから読み方が下手でも何でも、内容は文字を追っていけば分かってしまうのです。
でも読み聞かせ、朗読は、聞いている人達は文字を見ていません。
全く初めて聞くストーリーの場合も有ります。
そういう聞き手に音声だけで理解させる、しかも、あわよくば感動だってさせちゃおう!
なんて魔法の様な読み方をする為にはどうしたら良いの?
そこでアンケート用紙にニヘドンの熱い思いをしたためました。
ニヘドンの連絡先は書かなかったものの、学校名を書いていたので、土屋先生が学校に電話をしてくれたのです!!
たまたまPTA会長が、読み聞かせグループのメンバーだったので
( クイーンですが )
それがきっかけでクイーンが土屋先生の朗読教室に体験に行きました。
クイーンはそのまま朗読教室に入会してしまいました。
それ以来、ニヘドンは毎年この 「 語りのひととき 」を聞きに行き、クイーンは毎年この 「 語りのひととき 」に出演しています。

「 語りのひととき 」は、曜日に関係無く毎年必ず08月06日に行われます。
広島に原爆が落とされた忌まわしい日と、命を落とした大勢の人々への祈りの意味が有るからです。
この日は、必ず各地で行われる記念式典の様子がTV中継されたりするのですが、一般の人々の知らない所で、この様な地道な祈りの集いが行われているのを、もっと多くの人々が知って良いと思うのです。
親戚に被爆者がいる方も、いない方も、儀礼的なものは何も無い、手作りの祈りの会に
是非、足を運んで頂きたいと思います。
取り敢えず、第七回の記録を残しておきたいと思います。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


第七回 「 語りのひととき 」 ― 平和を祈って ―

日時 : 2008年08月06日(水)
13:30 開場 14:00 開演
会場 : 横浜・ひまわりの郷( さと ) ホール
料金 : 無料
出演 : 萌木の会 メンバー

まずは「 萌木の会 」の主催者である土屋真澄先生の挨拶です。
「 今日のこの集いは、平和への祈りですので拍手はご遠慮下さい。
 今年は戦後63年と云う年に当たります。
 8月6日に広島に原爆が落とされ、14万人が即死しました。
 8月9日には長崎で2発目の原爆が落とされ、7万人が即死しました。
 即死は免れたものの原爆症で苦しんだ人は40万人と言われています。
 海外ではアウシュビッツで200万人が殺されました。
 戦争と云う行為は終わっても、戦争の苦しみはずっと続いていて、
 その人だけではなく、家族も苦しみ続けます。
 亡くなった方々に、皆さんとご一緒に黙祷を捧げてみたいと思います。 」

そしてステージ上の出演者と客席の人々で1分間の黙祷を行ないました。
土屋先生が締めの言葉を続けます。
「 これからも、微力ではありますが、精一杯自分の命を生かして頑張って
  いきたいと思います。 」


第一部
★ 平和を祈る

・ 「 原爆詩集 」序                    語り - 全員
・ 子供達の原爆詩 「 無題 」 佐藤智子・作    語り - 森末 康子
                     池崎敏夫・作    語り ー 佐藤 晴子
                     田尾絹江・作    語り - 鈴木 静枝
・ 二つの作文            平田重子・作    語り - 大槻 美沙子
                     田中清子・作    語り - 小川 恵子
・ 小さな風( 詩 )        吉田美和子・作   語り - 栗河 和子
・ ここはどこですか( 詩 )    佐藤晴子・作    語り - 佐藤 晴子
・ 全員死亡 ( 詩 )       清水 清 ・作    語り - 生田目 美保子
・ 微笑( びしょう )( 詩 )    峠 三吉・作    語り - 鈴木 静枝
  
  鈴木静枝さんの朗読が、土屋先生の語りにそっくりでした。
  毎回、朗読教室で修行を積むと、先生の技術をしっかりと習得できるのだと痛感しました。
  素晴らしい語りでした。
・ ヒロシマ連祷( れんとう )   石川逸子・作    語り - 大野 啓子
・ Imagin               John Lennon・作 語り - 森末 康子
                                       小浜 邦子
   森末さんの語りも、ジーンと胸に迫る素敵な読み方でした。
・ 二つの悲しみ( 詩 )      杉山竜丸・作    語り - 内山 多方今子
・ 父からの手紙           木村修一・作    語り - 土屋 真澄

   「 父からの手紙 」は、土屋先生の実のお父様が家族にあてて書いた本当の手紙です。
   長い長い手紙の1行1行から家族の幸福を願う親の気持ちが滲み出ていて、
   涙無しには聞けません。
   でも、娘さんが、父親の無念を忘れずに、こうして「 語りの会 」を主催する行動力を
   発揮している事は、最高に親孝行な事だと思います。
   二へドンの母親は、自分の死に臨んで、1通の手紙も残してくれなかった人だし、
   むしろ逆に、余命宣告を受けた後は、自分の生きた痕跡を消し去ってしまおうとした人だったので、
   親からの手紙という財産を持っている土屋先生が羨ましくて仕方がありません。

ここで、第1部が終了します。 14:50でした。
10分間の休憩の後、15:00から第2部が始まります。

第2部 「 家族 」 今昔物語ふぁんたじあ 
     作・杉本苑子    語り - 土屋 真澄

ごめんなさい!! 懺悔をさせて下さい!!
二へドンは、土屋先生の朗読の20分間、熟睡しておりました。
何の話だったのか、全く聞いていませんでした!!
こっくりこっくりしたとか、思わずカクンっと首が揺れたとか、そういう次元の話ではありません。
完璧に熟睡いたしました!!

ごめんなさい! ごめんなさい!! 二へドンは土屋先生の朗読が素晴らしいとか言いつつ、
肝心要の土屋先生の朗読で、熟睡をしてしまいました。
しょぼぼぼぼーん・・・・・・・・・・。

さらに懺悔を続けましょうか? 実は・・・・・・・・・・・。
二へドンはこの前年( 2007年 )の語りの会でも、
土屋先生が朗読する「 杜氏春 」の朗読の時に、8割方、舟を漕いでいたのです。
クイーンにこの事を告白しました。
「 ああ、土屋先生は可愛らしい声をしているからね。 
  でも、聴いている人を寝かせちゃうような読み方をしちゃ駄目だよね。 」

そ・・・・・・そんな・・・・・・。 それはちょっと厳し過ぎるコメントではありませんか?
でも、二へドンはコンサートでは眠らないし、この 「 語りのひととき 」でも、
第1部も第2部も、全然眠くなかったのですよ。
何で土屋先生の朗読の時だけ、眠りに落ちてしまうのだろうか・・・・・・。
しかも、凄く深く・・・・・・・・。
土屋先生の語りは、子守唄と周波数が同じなのでしょうか?

次の「 語りのひととき 」には絶対に起きているように頑張りたいと思います!!
15:00 ~ 15:21 の僅か20分間の朗読の間に熟睡した二へドンでした。

15:21 ~ 15:24 特別演奏 ドリゴ作 「 セレナーデ 」
              ピアノ / 古口 裕子   ヴァイオリン / 菊地 啓子 
              毎年二へドンが 「 ピアノの音がうるさくて、折角の朗読の声が
              邪魔されている。 皆さんハイレベルの語りが出来る人たちだから
              音楽はつけずに朗読に集中したい。
              どうしても弾きたいなら、音楽だけ演奏するコーナーを設けたら?」
              とアンケートに書いた結果なのかどうか、演奏コーナーが今年から
              始まりました。
              音楽だけに集中できるなら、全然普通に聴けるんですよ!
              コラボレーションは難しいねえ。 お互いを殺し合っちゃう事が多い。
              理想は生かし合う事なんですけれどもね・・・・・・。
15:25 ~ 15:35 休憩 

第三部 ★語り彩々( いろいろ )
・ 紫式部“ 源氏物語 ”より       語り - 鈴木 静枝
・ 星野富弘詩集より            語り - 森末 康子、 大槻 美沙子
・ ジョーク     作 - 阿刀田 高  語り - 小浜 邦子、 佐藤 晴子
            このジョーク・シリーズを二へドンは毎年とてもとても楽しみにしているのです。
            下手なコメディアンのステージより面白いんですから!!
・ 随筆“ 桂川で ” 作 - 武田 緑 語り - 生田目 美保子
・ 随想 “ 求めない ” 作 - 加島 祥造    語り - 小川 恵子
               この文章は二へドンの心を切り裂きました。
               二へドンの恋が、いつも長続きしないのは、求め過ぎるからだと
               分かっているのに蓋をしていた事実を突き詰められました。
               聞いていて苦しかった。
               でも、利口な人生が100%幸福だとも、二へドンは思えない。
・ 朗読劇 “ 最後の一葉 ” 作 - O.ヘンリー 語り - 栗河 和子、 内山 多方令子
                                     森末 康子、 小浜邦子
                                     大野 啓子
これが第3部の中のハイライトだったと思います。
皆さん、プロ級に上手だし、O.ヘンリーなんて、今では自分から読もうなんて思わないので、
「 最後の一葉 」の良い復習になりました。
小浜クイーンは、「 O.ヘンリーなんて、どうよ!! 」なんて仰ってましたが、
二へドンは、O.ヘンリー受け付けますよ。
そりゃあ、毎日毎日O.ヘンリーの事なんか考えちゃいなかったけど、
久し振りに「 最後の一葉 」の全文( 日本語訳でしたけど )に触れる事が出来て
面白かったです。
「 最後の一葉 」の小説の持つ雰囲気って、オペラ 「 ラ・ボエーム 」の持つ雰囲気と
合い通ずるものが有ると思うのです。
心に愛を持ちながら死んで行く人間を美化するような考え方が根底に有るのね。
オペラに親しんじゃうと、「 最後の一葉 」の世界なんて、当たり前に感じられてしまいます。

かくして、15:35 ~ 16:15 の第3部は、二へドンはちゃんと起きて、
ちゃんと朗読を聞いていましたよ。

毎年行なわれるこの「 語りのひととき 」、2009年も 「 ドンドン日記 」にお知らせを
載せる予定でおりますので、是非皆様お誘い合わせの上、足を運んで下さいませ。
日常生活の中では忘れがちな戦争の悲惨さを、せめて1年に1度位は感じてみて欲しいと
思います。

08月06日は、ヒロシマ原爆記念日ですが、二へドン個人にとっても、08月06日は
失恋記念日と心が壊滅的な状態になったおぞましい日でもあるのです。
二へドンもまた、語りの会に、泣きに行きますとも。

***** 「 第七回 「 語りのひととき 」 」 ・ 完 ***************

 


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Posted by ニヘドン at 00:39│Comments(0)読み聞かせ
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