2009年03月06日
石川祐支 チェロ・リサイタル ( HAKUJU HALL )

日時 : 2009年03月06日(金)
18:30 開場 19:00 開演
会場 :HAKUJU HALL
料金 : 3,500円 ( 全席指定 )
出演 : 石川 祐支 ( いしかわ ゆうじ ) / チェロ
有森 直樹 ( ありもり なおき ) / ピアノ
演目 : G.カサド / 親愛なる言葉
J.マスネ / エレジー op.10
G.フォーレ / 蝶々 イ長調 op.77
尾高尚忠 / 夜曲
G.リゲティ / 無伴奏チェロ・ソナタ
第1楽章 ディアローゴ
第2楽章 カプリッチョ
S.プロコフィエフ / チェロ・ソナタ ハ長調 op.119
第1楽章 アンダンテ グラーヴェ
第2楽章 モデラート
第3楽章 アレグロ マ ノン トロッポ
《 休 憩 1 5 分 》
D.ポッパー / ハンガリー狂詩曲 op.68
G.クラム / 無伴奏チェロ・ソナタ
第1楽章 ファンタジア
第2楽章 テーマ パストラーレ コン ヴァリアツィオーニ
第3楽章 トッカータ
J.ブラームス / チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 op.99
第1楽章 アレグロ ヴィヴァーチェ
第2楽章 アダージョ アッフェットゥオーソ
第3楽章 アレグロ パッショナート
第4楽章 アレグロ モルト
アンコール : ラフマニノフ / ヴォカリーズ
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
凄かった…。
まさかこれ程まで、ニヘドンの心に直球ストレートの球を投げて来るリサイタルになろうとは思いもしませんでした。
いや、ニヘドンの悪い癖でね、第1印象を何時までも引き摺ってしまうのですよ。
自分の息子が、何時までも赤ちゃんだと思っていたら、いつの間にか成長して、男になっていた……みたいな感じです。
ニヘドンは石川祐支氏 ( チェロじ と呼んでいるのですが )をトリオ BEE で知って、それからチェロじのリサイタルにも足を運ぶ様になったのです。
だからチェロじの第1印象は、トリオBEEの中で最年少のメンバーで、ステージの上では兄さん達に遠慮して、ちょっとおどおどして、挙げ句の果てに、ピアノ兄貴にチェロの音をかき消されちゃって、「 ちょっと…あの子のチェロの音、聞こえないよ〜? 」みたいな。
そうしたらば、すっかり「 男 」になったチェロじの演奏っ振りにニヘドンは魂が消える思いを味わいました。
「 ちぇ…… チェロじ…… いつの間に、そんなに立派になって…。」
約1年程前、愛知県春日井市で行われたチェロじのリサイタルにも足を運んだのですが、今日はそれ以上に凄かったのです。
春日井市では普通に 「 上手なチェリストさん 」と云う雰囲気でした。
今日のチェロじは一言で言えば 「 神掛かり 」です。
そこまでチェロに打ち込めたら本望だろう………な。
春日井市の視聴覚ホールより音響が良く、格調の高いハクジュホールにチェロじの音は負けていませんでした。
また今日のピアノの有森氏は、正統派のピアノを格調高く、妥協を許さぬ演奏をしちゃう人なんですよ。
チェロに 「 この辺でいいかな? 」みたいなご機嫌伺いはしてくれないんですよ。
「 私のピアノに着いて来られないのなら、それは君の力量が不足しているんだな。」とでも言いたげな、本物志向の演奏なんです。
そのピアノにも全然負けていませんでした。
段々チェロじの演奏が神掛かって来ると、しまいにはピアノに言う事を聞かせちゃっていました。
彼は本当に今、上り坂を駆け上がっているチェロ奏者なんで、まだ彼の演奏を未体験の方は是非、今後チェックして下さいね。
もう、チェロじなんて呼んでは失礼な位の実力派チェリストです。
何故、ニヘドンが彼をチェロじと呼ぶかは、昔昔〜し、何かの記事に書いたと思うので、知りたい方は、ドンドン日記の過去記事を探し出してみて下さい。
( 他力本願な今日この頃のニヘドンです。)
帰り、客席から立ち上がってエレベーターに向かう人々は、口々に「 凄かったね! 」
「 良かったね! 」の連発でした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
19:00 。 客席のライトが落ちます。
30秒程、間を置いてチェロじがステージの上に登場します。
服装は黒いスタンドカラーの長袖シャツに、黒いズボン。
黒い紐靴はピカピカに光っています。
およ、アクセサリー類は一切無しですね。
小さいピアスを左耳にしていたかもしれませんが、ニヘドンの今日のお席は2列目の9番。
チェロじの真ん前です。
チェロじが演奏するのを正面から睨み付け、あ、違う、違う、ガン見しておりました。
入退場の時に、キラリと光ったような、ないような…。
少なくとも、トリオBEEの時の様な大きなアクセサリーは一切無しでした。
ピアスも指輪も無しですね。
トリオBEEとは違うって事でしょうかね?
髪は赤茶で上にピンピンと立たせてあります。
何だか久しぶりにチェロじを見ましたが、随分と痩せちゃいましたね。
練習し過ぎですかい?
チェロじがピアノの有森氏を見てニッコリ笑い掛けます。
さあ、1曲目の開始です。
では、今から山を上って家に帰るので、続きはちまちまと…。
Posted by ニヘドン at
23:22
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2009年03月06日
神奈フィル 〜 07/27 フェスタ・ サマー・ミューザ

この総合プログラムは秀逸でして、各演奏会毎に指揮者のコメント、コンマスのコメントが必ず載っているのです。
自分が聞きに行かない演奏会の事も読めちゃって、永久保存版の冊子です。
特にニヘドンのお気に入りは、指揮者形態模写のお笑い芸人好田タクト( こうだ たくと)のコラム「 ここが聴きどころ! 」。
これも演奏会毎に1ページ組まれていて、最高に面白いのです。
又、来年も彼が書いてくれたらいいなと思っています。
神奈川フィルのページには石田様のコメントも1ページ出ています。
むふふ。
フェスタ サマー ミューザ
KAWASAKI 2008
日時 : 2008年07月27日(日)
14:30 開場 15:00 開演
16:10 終演予定
会場 : ミューザ川崎シンフォニーホール
出演 : 指揮 : 現田茂夫 ( げんだ しげお )
管弦楽 : 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
ソリスト : 福井 敬 ( ふくい けい ) 《 カラフ/テノール 》
大隅 智佳子 ( おおすみ ちかこ ) 《 リュー / ソプラノ 》
岡田 昌子 ( おかだ まさこ ) 《 トゥーランドット / ソプラノ 》
栗原 剛 ( くりはら つよし ) 《 役人 / バリトン 》
大塚 博章 ( おおつか ひろあき ) 《 ティムール / バス・バリトン 》
ナビゲーター : 近藤 政伸 ( こんどう まさのぶ ) - 神奈川フィル合唱団 音楽監督
合唱 : 神奈川フィル合唱団
演目 : プッチーニ / 歌劇 「トゥーランドット 」ハイライト
( 演奏会形式 )
まだ誰もいないステージを2階席から見下ろします。
ハープ、それに大太鼓、ティンパニ、マリンバ、ドラ等、パーカッション系の楽器達が舞台左手に集まっています。
黒装束の合唱団員達が1列毎に入場して来ます。
思わず数えちゃいましたが、6列になっていました。
舞台左手から ( 「しもて」と云う言い方、余り好きじゃないの。
だって漢字で書くと 「 下手 」( へた )だもの!!)
クラリネットを右手に1本、左手にも1本持った斎藤雄介クンがトップバッターでステージに
現われました。
オーケストラの団員達も黒ずくめの衣装です。
二へドンはカラフルな色使いが好きなので、この黒一色に沈むステージを見るのが
好きではありません。 色取り取りのドレスに身をまとった団員達が演奏するのを見るのが好き。
日本のオケで、そういう機会はジルベスター位ですかね?
真っ黒な人の群れを見て、思わず、お葬式かい? レクイエムかい?と思ってしまいました。
今日のナビゲーター役の近藤政伸氏が白い上着を着て登場です。
「 プッチーニのオペラ 『 トゥーランドット 」は上演時間2時間30分を越える長さが有りますが
今日はそれを1時間に縮めました。
だからと言って、物足らない事はありません。
オペラの美味しい所は全部集めてあります。
あ、私、本日のオペラ・ナビゲーターを務めます神奈川フィル合唱団の音楽監督の
近藤 政伸 ( こんどう まさのぶ )と申します。 よろしくお願い致します。
プッチーニと言えば有名な作曲家で、他に有名な作品を挙げると
『 ラ・ボエーム 』 『 トスカ 』 『 蝶々夫人 』などが有ります。」
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二へドンのちょっと余談
近藤氏がプッチーニ( Giacomo Puccini 1858~1924)の作品として
例を挙げた3作品は何れも映画になっています。
興味の有る方はDVDでご覧になって下さい。
「 ラ・ボエーム 」 La Boheme 2008年
ロバート・ドーンヘルム監督
ミミ役 : アンナ・ネトレプコ ロドルフォ役 : ローランド・ビリャソン
「 トスカ 」 Tosca 2001年
ブノワ・ジャコー監督
トスカ役 : アンジェラ・ゲオルギュー マリオ役 : ロベルト・アラーニャ
「 蝶々夫人 」 Madame Butterfly 1955年
カルミネ・ガローネ監督
蝶々夫人 : 八千草薫( 歌は吹き替え ) ピンカートン役 : 二コラ・フィラクリディ
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プッチーニは1858年生まれ。後10年経てば大政奉還。明治維新です。
篤姫の頃に生まれたという事ですね。 そして66歳の命をまっとうしました。
『 トゥーランドット 』はプッチーニが1番最後に作曲をしたオペラで、
最後を作曲しないで亡くなりました。
友人のアルファーノがスケッチを元に完成させました。
指揮者のトスカニーニが初演をした時、プッチーニが書いた所まで演奏をすると
指揮棒を置いて、その先を演奏しなかったというエピソードも有ります。」
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二へドンのお邪魔虫コーナー
近藤氏のMCに少し補足説明をしておきます。
1926年4月( プッチーニの死から2年後 )、ミラノ・スカラ座における『 トゥーランドット 』の
初演で、トスカニーニは終幕のプッチーニ自身が書いた部分が終わると指揮棒を置いて
しまいました。
「 ここまで書いてマエストロ(プッチーニ)は亡くなりました。
死は芸術よりも強かったのです。 」 と言って幕を下ろしてしまったそうです。
フランコ・アルファーノが、プッチーニが残したスケッチを元に完成させた最後の部分が
演奏されたのは、翌日になってからだったとか。
トスカニーニが、演奏を最後まで行なわなかったのは、文献によって理由付けが違うのです。
1. あくまでもプッチーニのオリジナルに敬意を表したかった。
2. 1922年に誕生したムッソリーニ政権は、『 トゥーランドット 』の初演を国家的行事として
政治的に利用しようとしていた。 スカラ座は内外の国賓級の客が多く、
国家高揚に最適だと考えた。
ファシズムに反対していたトスカニーニの静かな反抗である。
うーん。 どちらなんでしょうね? 或いは両方の意味合いが有ったのか?
トスカニーニに関しては、20世紀に生きていた人だけに、資料が沢山残されていて、
調べると面白いエピソードが、うじゃうじゃ出て来ます。
ご興味が有れば是非探してみて下さい。
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「 場所は中国の北京。
後10日ほどで北京オリンピックですね。 タイムリーな演し物ですねえ。
紫禁城の広場では役人がトゥーランドット姫の御触れを述べています。 」
( トゥーランドット姫は絶世の美女だが求婚者達に難解な3つの謎を与え
解けないと首を刎ねるという、かなりSなお人。 )
「 父・ティムールは、失明してしまいます。 奴隷のリューに手を引かれ亡命生活をして
いましたが、息子のカラフと再会します。
トゥーランドットを、岡田昌子。 リューを大隈智佳子。カラフを福井敬。
ティムールを大塚博章。 役人を栗原剛。
オーケストラは神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
コンサートは石田泰尚。( キャー

合唱は神奈川フィル合唱団。
指揮は現田茂夫でお贈り致します。
では、幕を開ける事に致しましょう。 」
( トゥーランドットは、第1幕から第3幕まで、全部で44曲有ります。
ハイライトで、具体的にどの曲を歌ったのか、正しく表記する自信が無いので
書きません。 勉強不足で澄みません。
最初の数小節を聞いただけで、曲名が言えるような人間になりたいものです。
現在修行中でございます。 )
出だしのオーケストラの緊張感とドラマ性は、いつもの神奈川フィルじゃないみたいです!
二へドンが喜んじゃったのが、リュー役の大隈智佳子さんの声です。
リューの歌声、最高です!! ( 二へドンはこういう声が大好きなの。)
合唱団の声の迫力は、群集がざわめいている雰囲気が良く出ていました。
指揮者の現田さんは、一頃に比べると痩せてスリムになりましたけれど、
今日見る現田さんは、さらにスマートになりました。 顔が小さいですよ!
現田さんの服装は、グレーの指揮服です。
色もデザインも地味だけど、オーダーメイドで、お金かかっているんだろうなあ・・・・。
フェスタ サマーミューザの総合プログラムの47ページには石田様のコメントが
載っています。
1文だけ抜き出すと
「 正直言うと、僕はオペラとはちょっと相性が悪いんですが、プッチーニは
『 マダム・バタフライ 』もそうですが、“ 和合の響き ” みたいなものがあって、
けっこう好きなんです。 」 だって。
ステージの上で演奏している石田様は、もうノリノリですよ!
現田さんの指揮も、力が入っているなー。
あんなに力の入っている現田さんを見るのは、初めての様な気がします。
リュー役の大隈智佳子さんは、ベージュのお姫様ドレスを着ています。
トゥーランドット役の岡田昌子さんは、ワンショルダーの色っぺぇ黒のロングドレス。
石田様は、下げ弓の時に、あたかも弓をグルンと回すかの様に下方向に向けて
振るんですよ。
二へドンがヴァイオリンを弾く時には絶対にやらないような仕種を見ちゃうと、
それだけで、胸キュンなんですよねー。 キュン! キュン! キューン!!
カラフ役の福井敬さんの歌声も凄いです。 説得力が有ります。
福井さんの容貌は、お父さんタイプなんだけれども、王子様に思えて来ました。
近藤政伸氏の解説が入ります。
「 ピンポンパンをご存知ですか? 昔、ピンポンパン体操なんてありましたね。( 笑 )
仮面劇コメーディア・デラルテで3人1組で登場させる形態です。
3人の大臣の名前です。 1人が、ピン。 1人がポン。 もう1人がパン。
今日はピンポンパンは演りません。
トゥーランドット姫の命令で、今日までに首を刎ね落とした人は何人かな?
なんて怖い話をピンポンパン達がします。
カラフは、離れ離れになっていた父親のカラフと折角再会出来たのに、父親は失明し
奴隷のリューが父親の世話をしています。
リューは密かにカラフへの愛を歌います。」
♪ 私を愛しているのなら・・・・・・・・・・。
切ないよね。 振り向いてもらえない恋って辛いっすよ。
二へドンは今までの人生、そんなんばっかりだったから、
さらにオペラの曲で打ちのめされたくないっすよ。 涙・・・・・・。
斎藤政伸氏の解説は続きます。
「 3つの謎への挑戦の合図のドラが鳴らされます。」
そしてここで、2つのアリアが披露されました。
1つはリュー役の大隈智佳子さんの歌声。
( 第1幕はトゥーランドット姫の歌声の出番は1度も無いからね。)
二へドンはこの1曲で大隈智佳子さんの虜になってしまいました。 最高です。
ヴァイオリンとヴィオラの音も美しさの極み。
そこにハープの音がロマンチシズムをかきたてて・・・・・・・はあー。。。。。。。。
大隈さんが歌い終わると大拍手が湧き起こりました。
2つ目のアリアはカラフ役の福井敬さんの出番です。
福井敬さんは神奈川フィルとの共演が多い歌手ですが、
もう彼に任せておけば間違い無しって感じですね。 もう、お任せしました!
近藤政伸氏の解説が続きます。
「 こうして1幕は終了します。
2幕に入ると民衆達が『王様万歳』 と褒め称えます。
トゥーランドット姫の御触れを広場に掲げます。
カラフへのあてつけに言っているような感じです。
『 夕焼けこやけ 』 に似たメロディに乗せて、『 姫、お出まし下さい。』と歌います。
トゥーランドット姫は祖先ロウ・リン姫の伝説を語ります。
『 私はロウ・リン姫の生まれ替わりだ。 彼女の仇を討つんだ。 』 」
仇って何の事かと言うと、ロウ・リン姫は異国の男性に騙されて絶望の内に死んだんだって。
何だかなあ。 二へドンは失恋体質で、恋が成就した例が無いんですが
( 一瞬、成就したように見えても長続きしない。)、 でも幸福だよ。
本当に好きな相手の事を考えているだけで幸福じゃん。
絶望するのは、相手を好きなんじゃなくて、相手から好かれたいだけなんじゃないの?
本当に好きなら、相手の裏切りですら許せるよね?
相手の全てを受け入れられるなら、相手の裏切りだって受け入れられるはずです。
確かにこちらの心は苦しいし痛いけど。
ロウ・リン姫の心の中は絶望だけでは無かったはずなんだけど・・・・・・・・?
と言う訳で、二へドンも○○○○さんの事は許しちゃってます。( 何のこっちゃ? )
近藤政伸氏
「 実はピンポンパンの場面を省略するのは痛恨の思いでした。
しかし時間の関係もございまして、次の3つの謎を解く場面に話を進めさせて頂きます。
カラフハ、次々にトゥーランドットの謎の答えを出して行きます。
1つ目が『 希望 』。 2つ目が 『 血潮 』。 3つ目が 『 トゥーランドット 』です。
ところが、3つの謎を解いた後もトゥーランドットは結婚を渋ります。
『 あんな外国人に身を委ねさせるのですか? 』
『 お前はそんなにまでして力づくで私を自分のものにしたいのですか?』
カラフはそれに答えます。
『 いや、私は愛を持って貴女を自分のものにした。
では1つだけ問題を出そう。 私の名前を当ててごらんなさい。
それを夜明けまでに解いたなら天は明日、私の息子となる。』
ここで2幕が終了します。
3幕をこのまま続けさせてもらいます。
『 北京では誰も寝てはならない。 』 カラフが歌うネッスン・ドルマは大変に有名です。
『 私の名は誰にも分かるまい。』 」
今の普通の人々の感覚で云えば、トゥーランドット姫は明らかに婚約不履行をしていますよね。
約束を守らないのは大問題だよねえ。
でも、二へドンが毎晩1編ずつ読んでいるグリム童話初版本では、大抵お姫様が、
「 結婚する 」って約束しておいて平気で裏切るんですよ。
イスラム教圏じゃなくて良かったねー。 厳罰を処されるよー。
日本だって嘘つきは地獄の閻魔様に舌を抜かれるんだじょー。
そこにもって来て、カラフがさらに名前を当てろなんて言い出しちゃってさ。
総合プログラムの45ページの「 ここが聴きどころ! 」で好田タクトは
「 バカだねぇ。」 とコメントしておりますが、正しく、バカだねえ。
カラフの行動は馬鹿げておりますが、しかし、はひー。
石田様が奏でるヴァイオリンの音色は最高~。
石田様のヴァイオリンの音だけが、ずっと二へドンの耳の奥にこびりつきました。
この1曲が終わると会場から大きな拍手が起こりました。
指揮者の現田さんが一旦オーケストラを立たせて、客席からの止まない拍手を受けます。
2曲目にネッスン・ドルマ ( 誰も寝てはならぬ )が演奏されました。
客席からは、先ほどに勝る大きな拍手が轟きます。
ただの拍手ではなく、大勢の人々が手に力を入れて、最大の拍手を贈って来ます。
荒川静香効果で、日本中の人が何十回となくこのメロディーを聞いちゃったものね。
現田さんはハンカチで汗を拭っています。
近藤政伸氏の解説が続きます。
「 3大臣ピン、ポン、パンでもカラフの名前が分からないので、ティムールを拷問にかけます。
では、ここでリューの最期のアリアをお聞き頂きましょう。
『 真( まこと )の愛の前に きっと貴方も愛を知るようになるでしょう。』 と歌います。」
チェロが出だしからドラマを盛り上げて来ます。
チェロとヴァイオリンの2トップの旋律が心を痺れさせます。
チェロのピチカートで止めをさされた格好です。
リュー役の大隈智佳子さんはプロ中のプロです。
「 声は物理学的にではなく、意識した方向へ飛ぶ 」と超歌唱家の巻上公一さんが言って
いましたが、まさしく大隈智佳子さんは、自分が意識した方へ声を飛ばす事が出来る人です。
しかも彼女が意識しているのは、1箇所の点ではなく、ホール全体なのです。
二へドンは彼女の歌っている背中を見ながら聞いているのに、
彼女の声がベクトルになって二へドンに直進して来る感覚を味わいました。
近藤政伸氏の最後の解説です。
「 やがて東の空が明るくなると、トゥーランドットは自分の負けだと知ります。
カラフが言います。 『 私の名前はカラフ。 ティムールの息子です。』
それを聞いたトゥーランドットは答えます。
『 皇帝アウグストは彼の名前が遂に分かりました。 彼の名前は愛。 』
民衆の歓喜の声が広場に木霊します。
『彼の名前が分かった』から最後までお聞き下さい。」
神奈川フィルのまとまりも最高潮でした。
楽しいひと時を過ごせました。
終了時刻は16:23 でした。
***** 「 神奈フィル 〜 07/27 フェスタ・ サマー・ミューザ 」 ・ 完 *****