2008年08月06日

映画 「闇の子供たち」

2008.08.06(水)
今日、水曜日の女が見た映画は、「 闇の子供たち 」。
タイでの臓器売買、児童買春、の現実を追う新聞記者、NGOボランティア達を描いた作品。
恐らく、ニヘドンの中では今までの人生でNo.1 の 映画になると思う。
役者が良かった。
2007年の撮影なので、妻夫木聡君も宮崎あおいちゃんも、今より若い~!
佐藤浩市さんも、シリアスな演技が「マジックアワー」と全然違う~!!
皆、無理の無い、映画に対する真面目な取り組みが非常に評価出来る。
脚本も良かった。
今年見た映画の中でニヘドンの心に残っているのはドキュメンタリーで、「 チベットチベット 」と
「 靖国 」なのである。
両方とも視点や切り口がユニークだと言う所を評価するが、映画の撮り方としては未熟な部分もあった。
「 闇の子供たち 」は、映画として完成されていた。
人物、会社、組織の名前がフィクションと言うだけで、この映画はドキュメンタリーと言って良いと思う。
タイはニヘドンに取って、第2の故郷なのである。そのニヘドンが見て、この映画に嘘が1つも無かったので、これはもうドキュメンタリーなのである。

一体この映画を撮った監督は何者なのだ?
この映画は、ただ単に「 こう言う話が有りますよ。」と聞いただけで撮れる代物ではない。
タイを深く体験した者でなければ到底描き切れない所まで描き切っているのです。
もう1度言わせて下さい。
この監督、一体何者?
何故、タイはニヘドンに取って第2の故郷なのか?
伯父夫婦がバンコクの駐在員だったのだ。
伯父夫婦はバンコクに行く前はアメリカに2年駐在していた。
大変にアメリカ暮らしが気に入り、ずっとアメリカに居たかったらしい。
しかし辞令はバンコク勤務だった。当初、伯父夫婦はそれを左遷と受け取ったらしい。
私が伯父にタイ語を習うのかと聞いた時、「 あんな1ヵ国でしか通じない言葉を習ったって仕方が無いだろ!」と凄い見幕で返された。
そんな伯父夫婦もバンコク勤務が10年になった。
いつの間にか伯父夫婦はタイ語がペラペラになっていた。
ニヘドンもニヘドンの母も、年に1度はバンコクを訪れる様になった。遊びに行く事が多かった。
やはり現地に住んでいる事情通が親戚にいると、観光ツアーで行くより深くその土地を知る事が出来て面白いからである。
伯父夫婦と一緒にニヘドンの祖母もバンコクに同居していたが、ある年、その祖母が意識不明になってバンコクの病院に担ぎ込まれた。
伯父は仕事を投げ出す訳に行かず、伯母はその時はまだタイ語がカタコトだったので、病院側とのコミュニケーションが不安だと言うのでニヘドンと母が借り出された。
祖母が入院した病院はキリスト教団体が作った病院で、医者も看護婦達も皆、英語が通じた。
伯母はアメリカに2年駐在していた割には、何故ニヘドンが呼ばれたのか府に落ちなかったが、要するに伯母が1人では不安だったと言う事だろう。
お陰でニヘドンはバンコクの医療現場にも顔を突っ込む経験が出来た。
毎日、毎日、病院側とのやり取りを通じて、患者側の立場として、日本の医療とタイの医療の違いを体験できた。
この事は、また別の日記で詳しく述べたいと思う。

伯父はバンコクで定年を迎えた。 本来なら日本に帰って来て、悠悠自適の生活をするはずなのだ。
伯父は、隠居生活を選ばなかった。
そのままバンコクに住みつづけ、とうとう自分で会社を興し、社長の座に収まった。
伯父は現在でもまだ、バンコクにいる。
もう70歳を越して、自分の健康状態も心配だから、親戚一同は帰国を勧めるが、
伯父は「 会社を閉じると社員達が路頭に迷う。」と言って、頑なに帰って来ない。

その後伯母がバンコクで亡くなった。 脳梗塞だった。
伯母はバンコクで火葬された。
二へドンは仕事の都合で行かれなかった。
が、母や親戚一同が全員葬儀に参列した。
皆から葬儀の事を詳しく聞いた。 外国で死ぬ事の大変さが良く分かった。
この件でも、機会が有れば、詳述してみたいと思う。

1年後、バンコクで営まれた1周忌には二へドンも参列した。
集まったのは親戚全員とは行かず、二へドン、母、母の姉2人だった。
現地でスラム街に寝泊りしてボランティア活動をしている20代の女性3人が来てくれた。
彼女達は、伯母と同じ立正佼成会のバンコク支部に所属していたので、その活動で親しく行き来していたのだ。
ボランティアの3人の話は二へドンの心を打った。
今時の若い日本女性がスラムで生活が出来るのか!?
「 夜、暑くて寝苦しくありませんか? 」 二へドンは煩悩でいっぱいの質問をしてみた。
彼女達は笑って答えた。
「 私達はリッチだから、扇風機を持っているのよ。」
リッチで扇風機!?

キャメロン・ハイランドの別荘地と言う訳ではない。 夜に涼風が吹くはずがない。
スラムの様に狭い土地に人口が密集していると、熱気もさらに暑く感じるはずだ。
生暖かい空気を扇風機でかき回しても、あまり涼しくないだろう。
でも彼女達は志が高いから、文句の一言も垂れなかった。 凛としていた。

伯父夫婦は、彼らの長男の婚約者を余り気に入っていなかった。
「 あのボランティアをしているお嬢さん達のような女性を嫁にしてもらいたかった。」
とても長男本人には聞かせられない様な事を二へドンの耳に入れた。

そんなこんなで、タイの思い出について語らせたら千夜一夜物語になってしまう二へドンに取って
この映画 「 闇の子供たち 」 は、二へドンがタイで見たもの、聞いたものが、そのまんまの状態で再現されていた。
タイの病院、タイで死ぬという事、タイでの火葬、タイでボランティアをする日本人女性・・・・。
二へドンの体験が、そのまんま映画になったみたいだ。

映画の台詞も1つ1つが心に響いた。
「 外国には外国のルールがある。 」
そう。 これは、海外を旅行して歩くのが大好きだった二へドンが、絶対に侵してはならないルールであった。
大抵の日本人は、これを守ろうとしないのですよね。
日本人の論理で、外国を蔑む。 
食事を貶し、文化を貶し、社会制度を貶し、全てを貶す。
そう言う人は、日本国内で鎖国をしていれば良いのです。

「 郷に入っては郷に従え。 」 誰でも知っている言葉なのに、誰も実践しない。 何故?
二へドンはね、その点、謙虚ですよ。
税金を払っていない国の社会に対しては、絶対に文句はつけません。
日本に対しては文句を言ってOKなんですよ。 税金払ってますし。 日本国民で選挙権有りますし。
だから、外国の国家権力が汚職だらけだって、見て見ぬ振りです。
それが彼らのやり方なんですから。
宮崎あおいちゃんのボランティアの女の子の役柄、可愛いですよね。
世間知らずの、理想に燃えたお嬢さん。
有り勝ちなタイプですね。 
でも、自分の考えを押し通そうと言うのは、ちょっと・・・・・・。

タイで心臓移植を行なう子供の両親に対して、「 タイの子供が死んでもいいのか! 」 と叫んでしまうのはねえ・・・・。
これは難しい問題ですよ。
でもね、二へドンだったら、心臓移植を行なう子供が、自分の子供だったら、移植決行です!
だって、母親だったら、我が子を世界中を敵に回しても守るべきだと信じているからです。
タイの子供達だって、その子の母親が、命を賭けて守るべきものなのです。 本当は。
なのに、売られてしまう。 母親が、子供を命を張って守らなかった場合は、子供を守ろうとする母親が向こう側に立ちはだかったらもう、無力でしょう。
「 自分さえ良ければ、それでいいのか! 」 と詰る人は、想像力が著しく欠如していますよ。
自分の子供は死んでも守る・・・という考えが無かったら、生物の「 種の保全 」 は難しいですよ。

だから、自分の子供の心臓移植は、それが違法だろうと何だろうとやりたいです。
でも、自分とは他人の関係の子供達だったら・・・・・・・・・。
シンパシーは、貧しい子供の方に行きますわね。
本来守ってくれるべき母親が死んでいた場合、子供達は誰にも守られずに、欲に目がくらんだ大人たちの餌食になってしまいますわね。 タイの農村の平均寿命は、30歳だそうですから。 21世紀のこの世の中にですよ!

この映画の細かい事を言い出したら、二へドンはもう止まらない!!
なので、今日の所はここまでにしておきますが、別の所で熱く語ると思う。
この映画のスゴイ所は、二へドンに暫く忘れていたタイの思い出をまざまざと蘇らせてくれたという事。
そして、二へドンの今後の人生を決定付ける映画になったと言う事。
そう。 二へドンは、今までの人生で、やりたい事はほぼやって来た。
とは言っても、やり残して来た事は沢山有る。
それが、イスラエルのキブツ生活と、どこかでNGO活動と言う訳。
そうなんだ。 もういい加減、決意を固めても良いよな。
今すぐと言う訳では無い。
海外に生活の場を移すとなると、今の仕事を店仕舞いしなければならない。
身辺整理に時間がかかる。
息子ちゃんが大学を卒業する年に照準を合わせるか。
タレントの奈美悦子さんが、まだ病気を克服する前に、完治する見込みが無く悩んでいた時、
死ぬ時は自分の身の回りの物はスーツケース1つに入るだけで良いと言って、整理をしたという話を聞いた事がある。
二へドンも、日本脱出をする時には、スーツケース1つになる訳だから、
今から、スーツケースに入らない物を処分して行く必要が有る訳よ。
大変だぞ。 コレクションが多いから。
だから、今、せっせと過去の思い出をブログに書いているの。
二へドンが死んだ時に、残った物がブログだけって言うのも良いかな・・・と思ってさ。

この決意を新たにしてくれたのが、映画「 闇の子供たち 」ってな訳。
二へドンの人生に、めちゃめちゃ影響与えちゃってるでしょ?
スゴイ映画なんですよ。
公開第1週とは言え、109シネマはお客さんが8割程入っていた。
凄い。 ポニョより見る価値が有ると思うんだ。

ああ、後ね、エイズでもうお客を取れないからゴミ袋に入れられて捨てられた女の子が、自分でゴミ袋を破いて脱出するシーンがあるんだ。 ボロボロの身体で、民家の庭先を、助けを求めて地面を這って行くのね。
それを見て、二へドンは自分の甘さを思い知らされた。
何で自分は自分でブレーキかけちゃうんだ? って、脳天を殴られた。
地面を這ってまで、欲しいものって、自分には有るのか!?
負けちゃいけないんだ、って、今更のように思った。
こういう姿勢も、映画から再認識させられた。

この映画の解説は、6月29日の「 こんな映画を見ています・・・その2 」に前島秀国氏が書いていますので、
改めてお読み下さい。 http://nihedon.hama1.jp/t53749

映画「 闇の子供たち 」 公式ホームページ 「http://www.yami-kodomo.jp/

***** 「 映画 『 闇の子供たち 』 」 ・ 完 ***********




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Posted by ニヘドン at 22:15│Comments(0)映画
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