2008年10月23日

え!?イギリスにもホームレス中学生が!?

そうなんです。
これはもう、「 ホームレス中学生 」と言わざるを得ないでしょう。
だって未成年の兄と妹が、ダンボールハウスに住んでいるんですよ!!

場所は、ロンドン郊外のグラインドボーンの劇場の舞台の上。

ハハハハ。
オペラ「 ヘンゼルとグレーテル 」のお話です。
でも、ヘンゼルとグレーテルのお話の時代にダンボールなんて有ったの?
なんて事を言っている様では駄目駄目!
時代は、貴方が考えているよりも遥かに先に進んでいますぜ。

では、プレミア上映でニヘドンが受けた衝撃をレポして行きたいと思います。

「 Livespire UK オペラ@ シネマ 」プレミア上映会

日時 : 2008年10月22日(水)
開場 19:00 開演 19:30
会場 : サントリーホール ブルーローズ ( 小ホール )
料金 : 4,000円 全自由席


ここでニヘドンが声を大にして言いたいのは、何故オペラを映画館で見るのか?と言う事。
生の舞台を見るのが1番ですが、じゃ貴方、来年の夏にグラインドボーン音楽祭に行く為に今から貯金しますか?
いや、お金は何とかなるかもしれないけれど、仕事の休みが取れないなあ…。
あ、いいや。 オペラならわざわざ映画館に行かなくても、TVでやってるよ!

ちっちっちっ。
違うねん。
ニヘドンも、今までTVでのオペラ中継見て来たわ。
でもね、TVで見ると感動がイマイチだったの。
だからニヘドンは今までに 「 TVでオペラを見よう! 」なんて一言も言わなかったんです。
Livespire の上映を見て、TVで見ると感動が無い理由がよく分かりました。

Livespireはね、最初から映画館で上映すると云う前提で作っている訳。
つまり、オペラの舞台を映し出してはいるんだけれども、1つの映画作品として完成されているんです。
だからオペラを見ながら、映画も見た充実感が味わえます。

それに対してTV中継は、あくまでも「 オペラの舞台 」を映しているだけ。
ソリストが歌っている所をアップにしてくれるけれど、ストーリーの展開が分かり易い様なカメラワークになっていないでしょ?
要するに、「 ほら、こんな風に歌ってましたよ。」「 こんな衣装でしたよ。」って、伝えているだけ。
つまり「 報道番組 」なんですね。

だからもう、Livespire 作品を大きいスクリーンで見た時には、オペラの世界に引き込まれる。引き込まれる!!

グラインドボーン音楽祭版の「 ヘンゼルとグレーテル 」も、序曲の間に、
1つのダンボール箱の小包が届けられるという設定になっています。
映画を見る観客は、序曲を聞きながら、あの小包の中身は何だろう?
どこに運ばれて行くのだろう? 
と、興味津々で、ダンボール箱の行方を見守る事になります。
配達人は、グラインドボーンの美しい庭園を歩いて行きます。
嬉しい演出です。
グラインドボーン音楽祭は、幕間の休憩時間が長い事も有名で、約1時間有るらしい。
その間、お客さんは庭園を散策したり、ピクニックをするという曰く付きの庭園なんです。
そこを、配達人と一緒に、歩いている気分にさせてくれる訳です。
もう、うっとりですわよ。 もし、二へドンが、グラインドボーン映画祭に行く様な事があったら、
こんな素敵な庭園で、美味しいスイーツを、イケメン執事を侍らせながらいただこうと・・・・・
妄想特急大暴走です!!

ダンボール箱は、STAGE DOOR ( 楽屋口 )の受付カウンターに置かれます。
指揮者の大野和士 ( おおの かずし )さんが、この作品でグラインドボーン音楽祭にデビューしたのですが、
大野さんも、出演するんですよ。
楽屋口にやって来た大野さんが、ダンボール箱を不思議そうに見て、ぽんぽんと叩く、
「 俳優 」 振りが楽しめますよ!! ほんの短い時間なんだけどね。
カーテンコールにも大野さんが出て来るシーンもバッチリ映っているから、
大野和士ファンも、この映画を見逃してはいかんよ。


************************************

台本 : アーデルハイド・ヴェッテ ( グリム童話に基づく )
指揮 : 大野和士
演出 : ロラン・ペリ
美術 : バルバラ・デ・リンブルフ・シュティルム
照明 : ジョエル・アダム
合唱 : グラインドボーン合唱団
      ( 合唱指揮 : レナート・バルサドンナ )
管弦楽 : ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
      ( コンサートマスター : ピーター・シェーマン )

ヘンゼル     : ジェニファー・ホロウェイ ( メゾ・ソプラノ )
グレーテル    : アドリアーナ・クチェロヴァー ( ソプラノ )
母・ゲルトルート : イルムガルト・フィルスマイアー ( ソプラノ )
父・ペーター   : クラウス・クトラー ( バリトン )
魔女        : ヴォルフガング・アブリンガー=シュペルハッケ ( テノール )
眠りの精     : エイミー・フレストン ( ソプラノ )
露の精      : マリン・クリステンソン ( ソプラノ )

*********************************

グリム童話の初版本は、「 え?これを子供に読ませちゃって大丈夫なの? 」という内容が多いのですが、
このオペラも、テーマは「 貧困 」だと言う事で、第1幕は、どよーんと暗い気分に押し流されます。
しかも、演出が、ヘンゼルとグレーテルの貧困を、さらに煽る様になっているのです。
タイトルにも大袈裟に書いたのだけれど、家は巨大なダンボールハウス。
先進国に歩み寄る「 格差社会 」の貧困層を表現している様で 「 昔話 」とか「 おとぎ話 」とか言う言葉で逃げる事が出来ない空恐ろしさを感じてしまいました。

パパ・ペーターの着ている服も、日本だったら、リストラされた後、定職に就けず、
なけなしのお金で、ギャンブルにお金を費やすようなオヤジみたいです。
ママ・ゲルトルートの「 だっさい 」ワンピースの胸元は、油染みで汚れています。
オペラ歌手は、時代がかった衣装を着ているもの・・・と云う固定観念をお持ちの方は、
彼らのステージ衣装を見たら、ビックリしてしまいますよ。

「 お菓子の家 」は、スーパーマーケットのお菓子の陳列棚を組み合わせたものです。
当然、棚に並べられているのは、ポテトチップスなどのジャンクフード。
壮観ですよ。
こういう発想が出来る人の仕事を、二へドンは拍手喝采で歓迎しますよ。
お見事!!

第1幕を覆っている哀しいまでに辛い「 貧困 」と 「 空腹 」 に一筋の光を投げかけているのが、
グレーテル役のアドリアーナ嬢のキュートな魅力。
ただちょっとお行儀が悪くて、お客様の前で パンツ丸見えになっちゃうのよ。
パンツと言うより、デカズロースだけどね。
パンチラだったら、SEXY だったのにねえ・・・・・・。

でも、これを語らなければ始まらない! と言うのが 「 魔女 」。
もう、余りの毒々しさに、絶句。
今まで、色々な絵本、演劇、映画、絵画などで、「 魔女 」が様々に描かれているのを見て来たけれども、
シュペルハッケ演じる魔女は、二へドンが知っている限りで、最強最悪、 「 毒婦 」と言ってもいいかも!?
もう写真を出しちゃいますよ。

え!?イギリスにもホームレス中学生が!?
“Hansel und Gretel” Photo by Mike Hoban (c)Glyndebourne 2008

( 公認ブロガーって良いですね。著作権の心配無く、写真まで提供してもらえちゃうんです。
  ありがとうございまーす! ありがたく使わせていただきました~! )

どうです? かなりな「 魔女 」っ振りなのが、写真から滲み出ているでしょ?
写真の衣装は、まあ、デブだけど、普通のスーツを着ているから、そんな最強最悪な感じは受けないかもしれないけれども、この後ですよ。 この後、映画の中で、「 魔女 」は、すんごいショッキングな「 いでたち 」で出てくるから!!!!
どれ程すごいかは、映画を見て下さい。
流石に、この余りのショッキングな映像は、どこの媒体も使ってないよ。( 笑 )
映画を見ているお客さんの間から、失笑の渦が巻き起こりましたよ。

他のシーンでも、思わず笑い声が出ちゃうシーンがたくさん有って、
二へドンは、このオペラ映画を声を大にして宣伝したい訳。

もうカルチャーショックよ。 
日本人の誰もが、幼少の頃に知った、あの「 ヘンゼルとグレーテル 」を、こんな風に表現するんだ。 
へえ~。 ふう~ん。 今まで、こんなの考えた事もなかったよなあー。
ほへー。 びっくりー。 わー! 何て事だー!!

来年2009年は、横浜は開港150周年の祭りをするのです。
が、この「 ヘンゼルとグレーテル 」を見たら、きっと貴方の心は、150年前の黒船以上のインパクトを受けますよ!!

詳しい情報は、 http://www.livespire.jp   です。

絶対に見てね!!

***** 「 え!?イギリスにもホームレス中学生が!? 」 ・ 完 ********



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UKオペラ@シネマ フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル - goo 映画




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Posted by ニヘドン at 21:18│Comments(0)映画
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