2008年08月26日

8月26日石田泰尚ヴァイオリン・リサイタルレポ 前半

石田泰尚ヴァイオリン・リサイタル

日時 : 2008年08月26日(火)
18:30 開場 19:00 開演
会場 : 東京文化会館 小ホール
主催 : MIN-ON
料金 : 4,000円 ( 全席指定 )
出演 : 石田泰尚様 ( いしだ やすなお ) / ヴァイオリン
中岡太志 ( なかおか ふとし ) / ピアノ

演目 : 第1部
ラヴェル ( コハンスキー編 ) / 亡き王女のためのパヴァーヌ ( 約7分 )
クライスラー / クープランのスタイルによるルイ13世の歌とパヴァーヌ ( 約5分 )
クライスラー / ベートーヴェンの主題によるロンディーノ ( 約3分 )
クライスラー / ジプシー奇想曲 ( 約5分 )
クライスラー / クープランのスタイルによる才けた貴婦人 ( 約3分 )
クライスラー / プニャーニのスタイルによるプレリュードとアレグロ ( 約5分 )
シャミナード ( クライスラー編 ) / スペインのセレナード ( 約3分 )
グラナードス ( クライスラー編 ) / スペイン舞曲 ( 約3分 )
ファリャ ( クライスラー編 ) / スペイン舞曲 第1番 ( 歌劇《 はかなき人生 》 より ) ( 約4分 )

休 憩 1 5 分

第2部 :
バッハ / 無伴奏パルティータ第2番 ニ短調 BWV.1004 ( 約25分 )
ピアソラ / 忘却 ( オブリビオン ) ( 約5分 )
ピアソラ / 来るべきもの ( 約5分 )
ヴィジョルド / エル・チョクロ ( 約7分 )
アンコール :
1. 映画「 ひまわり 」のテーマ
2. ジェラシー
3. ガーシュイン / サマータイム

*************************************

カツン、カツンと靴音が数回聞こえたと思ったら、ステージ背面から石田様が出て来て、ピアノの陰から、ひょっこり姿を表しました。
黒いシンプルな長袖開襟シャツを、黒いズボンの上に出して、オーバーブラウス風な装いです。
右耳にはユラユラ揺れるゴールドのピアス。
左耳にはゴールドのイアカフ。
ネックレスと指輪はチェック出来ませんでした。
今日のニヘドンの席はJの42。
随分端っこだけれども、石田様の身体の真正面に向かい合う形なので、なかなか穴場な席です。
今回ニヘドンは自分のチケット1枚だけを買ったのですが、この穴場席を狙ったのでしょうか、ニヘドンの並びは、いつもの常連さんが偶然並んでしまいました。
中岡さんは、完璧な茶髪。もう黒髪は止めたんでしょうかね?
中岡さんの前髪は、ニヘドンが知っている中岡さんの中では1番長くて、ちょっとウエンツ演じるゲゲゲの鬼太郎っぼい?

さあ、石田様が両足を開いて仁王立ちになって、立ち位置にスタンバイしました。
1曲目は「 亡き王女のためのパヴァーヌ 」です。
石田様は2~3度、音出しをして、直ぐに演奏に入りました。
ニヘドンが持っているヴァイオリンの教則本の付録CDに、この 「 亡き王女のためのパヴァーヌ 」の
参考演奏が収録されているのですが、そのテンポより、さらにゆっくりと気持ちを込めて演奏して行きます。
いつものタンゴやジャズの演奏に比べると、やや地味目の演奏ですが、
石田様は、きっとこの曲が大好きなんだと思いますよ。
よく石田様のソロ・リサイタルで演奏されるし、何しろ、気持ちの入り方が半端じゃないですから。
演奏が地味目とは言ったものの、石田様の演奏アクションは、いつも通りで( 笑 )、
右耳のゴールドのピアスがゆらゆら揺れて見えます。

偶然、ニヘドンの隣の席になった若いお嬢さんが、「 今日は音が違って聞こえる! 」と
仰ってましたが、うーん、実はニヘドンは、ピアノに少し物足りなさを感じてしまっていたのでした。
特に「 亡き王女のためのパヴァーヌ 」は、ピアノ伴奏がシンプルなので、簡単だから簡単に弾くのではなく、
簡単だからこそ、もっと奥を極めた演奏をして欲しかったのです。

ヴァイオリンの重音の部分が心に沁み入ります。
ピチカートを弾き終わった時にも、決めポーズを忘れない石田様に脱帽です。
石田様が操る弓が、弦の上を滑る様になめらかな動きを見せるのを凝視してしまいました。
驚嘆です。
実はニヘドンは、今日の演奏会の為に家を出る直前まで、自分のヴァイオリンの練習をしていました。
ニヘドンのボウイングが、なっていない事を、目の前の石田様の演奏が告発しているかの様です。
自分の弓が、全然滑らかでない事を、思い知らされました。
ま、自分と石田様とを比べてしまう事自体が頭オカシイけどね。

演奏が終わると、石田様はササッとマイクを取ります。
過去の、マイクを手に取るためらいが全く無くなってしまったのには驚きです。
「 えーーーーー。 こんばんは。 石田泰尚です。
  今日はですね、天気が余り良くないのですが、来ていただいて有難うございます。
  最後まで全力で頑張りますので、楽しんじゃって下さい。 」

おおおおおおおお! 最初から、中岡さんのフォローが無くても、1人で結構長くしゃべった!!
数年前は、中岡さん1人にトークを任せて、だんまりだった石田様が!!
トリオBEEではピアニストの及川さんの突っ込みが有って、やっとボソボソ何かつぶやいていた
石田様が!! 石田様のトークが立派に育っている!!
ニヘドンの石田ーリンが成長した様を見て、ついつい目が潤んで視界が滲んで来たところで、
次の2曲目が始まった。
ニヘドンは慌てて両目を手の甲で、ぐわしぐわしと拭う。
石田様の生演奏を滲んだ視界で見る訳にはいかないからね。
2曲目は 「 クープランのスタイルによるルイ13世の歌とパヴァーヌ 」。

涙を拭いて、石田様をガン見した結果、もの凄い収獲が有った!!
石田様のヴァイオリンを弾くアクションって、他の演奏家に比べると 「 揺れ 」 が大きいじゃないですか。
あの、オーバーアクションに、ちょっとした法則性が有るんですよ。
何故、今まで認識しなかったのか不思議な位。
いつも必ず100%そうだとは言いません。
が、この曲の演奏中はですね、G線( 4番線 )を弾く時は右足のつま先を上に上げるのです。
で、E線 ( 1番線 ) を弾く時は、膝をスクワットする様に深く曲げるわけですよ。
もちろん、いつも必ずそうだと言う訳では無いのです。
石田様の動きは、そんな単純なものではありませんからね。
E線を弾くのに、右足のつま先を上に上げる事もありましたよ。
ただ、大まかな傾向として、上述の現象が見られた、と言う事なんですね。

これは自分でヴァイオリンを習っているから発見できた事だと思って、ちょっと嬉しかったです。
そうこうする内に、石田様は腰を右に左に振りながら、実に細かい弓の動きで演奏します。
これもね、ヴァイオリン初心者に言わせると、物凄い事なんですよ。
大体、初心者は「 細かい弓の動き 」 と言うのが、からきし出来ませんからね。
ニヘドンが先生から注意される事と言ったら、毎回 「 弓はもっとコンパクトに動かして! 」
ですからね。 「 弓を使い過ぎです。 」 ですからね。

石田様がこの曲を演奏するのを聞くのはレアな事です。
確かニヘドンは2回目だったかな?
でも、昔から聞きなれている曲を聞く様な、すんごく心地よい感じ。
はひーん。。。。。。。。石田様ーicon06

この記事の冒頭でも述べましたが、ニヘドンが座っているJ42の席は、最高ー!!
石田様の立ち位置からは、ちょっと距離が有るけれども、石田ーリンの正面に向かい合う
お見合い席!! しかも前のA列B列が斜めに来る位置なので、前の席の丁度
頭と頭の間から石田様の全身がくまなく見えるのであります。
じゅる・・・・じゅるるるるるるる・・・・・・・・・・・。

3曲目が「 ベートーヴェンの主題によるロンディーノ 」。
有名なメロディーを、ニヘドンの石田ーリンが軽々と弾いていきます。
はあー。 まるで夢の様です。
今日の演奏会は Min-on ( 民音 )が主催です。
Min-on が主催の石田様の演奏会は昨年も東京文化会館で行なわれました。
昨年も今年も、共通している事は、Min-on の会員さんが少なからず来ているという事です。
横浜市内で石田様のソロ・リサイタルをやろうものなら、会場に来ている人
イコール 石田様が好きな人、石田様の噂を聞いて聞きに来た人、 石田様のファン、
石田様の追っかけ、 自分は石田様の彼女であるとカン違いした人々、 石田様マニア、
石田様フリーク、 石田様中毒、 石田様依存症、という 「 濃ゆい 」 面々で
客席が埋め尽くされます。
東京文化会館で行なわれる演奏会の会場には、「 Min-on 」 の会員だから、
min-on 主催の演奏会に来たというお客さん達が混じります。
だから客席の雰囲気が、いつもの 「 濃ゆい 」 客席の雰囲気とちょっと違う。
「 石田って誰? 」 という雰囲気を放った年配のお客さんが目につきます。

石田様が凄い所は、いつも彼のリサイタルで、
最初は 「 石田って誰? 」 的な、 マニアから見ると信じられないお客さん達が、
3曲目辺りで、石田様の演奏に酔い痴れる魔法をかけるという所です。
石田様ったら、ヴァイオリニストだとばかり思っていたら、副業でマジシャンもやっていたんだ!!
今日も案の定、客席全てのお客さんが 「 石田様が好き 」 モードになって
石田様の演奏に聞き惚れてしまっています。

「 あちゃー、 今日も全員陥落だ。 」
もう誰も石田様相手に宣戦布告は出来ませんって。
陥落させられるに決まっているのだから。
はあー。 いいわ。 石田様、いいわー。
「 ベートーヴェンの主題 」 石田様が弾くと最高だわ。 石田様ーicon06

4曲目はクライスラーの 「 ジプシー奇想曲 」です。
エキゾチックなメロディーを石田ーリンが怪しい雰囲気をドラマチックに盛り上げながら弾きます。
石田様の左手に注目ですよ! 
驚異的な速さで指が、うにゃうにゃ動いて行きます。
トゥリルの小指の動きと来たら!!
うはー! うはー! こんな超絶技巧の曲を第1部の中間に持って来るのか。
最後のフィニッシュは弓を真上に放り投げ、ヴァイオリンまで放り投げちゃう勢いです。
見事! 見事! ぱちぱちぱちぱち。 
館内は冷房が効いているはずなのに、石田様の熱演を見ているだけで、
こちらも汗だくです。

5曲目は クライスラーの曲で 「 クープランのスタイルによる才けた貴婦人 」。
二へドンの事ですかな? 
あ、馬鹿な事を言ってないで、真剣に石田様の演奏に耳を傾けましょうね。
先程の情熱の演奏とは、ガラリと趣を変えて来ました。
柔らかくノーブルな音色です。 うっとり。
石田様が、どんな貴婦人像を頭に思い浮かべながら演奏しているのかが
気になる所です。 ここはやっぱり、お世辞でも二へドンと言ってもらいたい所です。
結局二へドンは、そんな事ばっかり考えている内に、もう曲は終わりですよ。
石田様のフィニッシュは、軽く弓を上げたかと思うと、弓を撥ねる様に動かし、
その弾みで背を丸めてお辞儀です。

6曲目はまたしてもクライスラーの曲で 「 ブニャー二のスタイルによるプレリュードとアレグロ 」です。
今日の二へドンの席から、ステージの上で立っている石田様を見上げると、丁度E線を弾く時に
弓が地面に垂直に立っている様に見えるのです。
二へドンが自分で弾く時にも、ああいう風だっけ?
ヴァイオリンの教室には鏡が無いし、もし有ったとしても、自分を客観的に見る角度では
見られない訳なので、比較のし様がないか・・・・・・。
あれ? 石田様でも普通に弾く時にはE線でも普通の弓の角度で弾くじゃん。
ヴァイオリンの教科書に載っている 「 正しい弓の角度 」のイラストと同じですよ。
じゃあ、弓が地面に垂直になる様に見える時は、石田流パフォーマンスって事か!!
石田流パフォーマンスをしていても、安定した綺麗な音程を保っていられるのは神業です!!
この綺麗な音程が耳に心地良い~。
二へドンはいつもヴァイオリンの先生に耳の健康に悪い音を聞かせ続けているので、
罪滅ぼしに石田様のこの美しい音を聞かせてあげたいと真剣に考えました。
二へドンが中学生の頃、森村桂の小説 「 天国に一番近い島 」 に夢中になったのだけれども、
今、二へドンは石田様の 「 天国に一番近い演奏会 」に居ます。
心も魂も何もかも浄化されそうな、いい気分です。

でもこの曲も、移弦の嵐で、スゴイんですよ。 
二へドンは自分では弾きたくないですね。 キッパリ!
ヴァイオリ二スト・石田泰尚様の凄さを分かりたい人は、二へドンが同じ曲を弾いてあげましょう。
許して下さいって泣いても、途中でストップしないからね。 ← S な二へドン。

しかし、凄い超絶技巧であります。
石田様の黒い服が赤く見えて来ました。 
照明の関係ではなくて、石田様の熱演の成せる技なんですよ。
石田様の内なる熱さが、服の色まで変化させてしまう・・・・みたいな。
石田様は全身を揺らして大熱演です。
石田様の演奏が終わると会場は大拍手。 大拍手。 もう拍手が鳴り止みません。
石田様はポーカーフェースで次の曲に備えて調弦をします。

7曲目はシャミナード( クライスラー編 )の 「 スペインのセレナード 」です。
小川のせせらぎを感じさせるピアノ伴奏から始まりました。
牧歌的なヴァイオリンのメロディが流れ、客席は夢見心地モードに陥ります。
ピツィカートから、曲のスペイン色が強まり、客席がさらに うっとり度を深め、曲が終わりました。

石田様は再び調弦をします。

8曲目はグラナードス ( クライスラー編 )の「 スペイン舞曲 」です。
ヴァイオリンの弓と弦の摩擦を全く感じさせない、石田様の滑る様な見事な弓捌きに脱帽です。
もうヴァイオリンは、石田様の演奏でなければ聴く気になれません。
どうしよう。 石田様 LOVE の気持ちがどんどん大きくなっていっちゃってます。 くすん。

9曲目はファリャ ( クライスラー編 )の 「 スペイン舞曲 」です。
これまた有名な曲なのですが、石田様が弾くと情熱的なメロディが、彼の激しい激しい演奏に
臨む気迫に押されて、さらに情熱パワーが増幅されて、聴く者を圧倒します。
演奏が終わると、客席からは大きな拍手が湧き起こりました。
石田様の情熱的な演奏に負けるものかと云う様な、熱狂的な拍手です。
石田様の渾身の演奏の前には、前からのファンも、初めて石田様を聞くお客も、追っかけも
マニアもストーカーも、ブラックリストに載っている女も、全く関係無くなってしまいます。
「 良かった! 素晴らしい演奏だった!! 」 
客席の全ての人の思いは1つでした。

これで第1部は終了なんですが、私達の最高潮に興奮した神経は、たった15分の休憩時間で
鎮まるのでしょうか?

第2部のレポは、別の記事に独立させますね。

***** 「 8月26日石田泰尚ヴァイオリン・リサイタルレポ 前半 」 ・ 完 *********


小出しに続きます・・・・・・・。



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Posted by ニヘドン at 23:22│Comments(2)コンサート
この記事へのコメント
ニヘドン様、はじめまして。文章力の凄さ、ボキャブラリーの豊富さ・・・ほんとに楽しく拝読させていただいております。ずっとお礼をもうしあげたかったので、本日思い切ってコンメント欄を使わせていただきました。私はまだ、ほんの1年前に石田様の音色に陥落したもので、新参者です。それ以来石田様の情報をネットでむさぼるように探し続け、ニヘドン様のブログにたどり着きました。心の中の叫びを代弁していただいているような、地方在住でなかなかすべてのコンサートに行けない私に、臨場感たっぷりのレポート、漫画を読んでいるような楽しい表現、クラシックや楽器への知識、すべてに脱帽するとともに、勉強になります。ニヘドン様のブログをほとんど全部印刷して、何度も何度も読み返しては楽しませていただいています。ありがとうございます。いつかコンサート会場でお目にかかれればと願っております。
Posted by ruco at 2009年07月10日 13:10
> ruco 様。

  初めまして。 コメントありがとうございます。
  「 ドンドン日記 」を愛読していただいているようで、
  嬉しいです。
  頑張って書いている甲斐を感じます。 感謝。

  ruco さんのような石田様ファンの為に、
  書きかけで放置してしまっている石田様レポを
  何とか書き上げるように頑張ります!
  変換ミスも減らします!!
  書き散らしてばかりでスミマセン!

  今後共よろしくお願い致します!!
Posted by ニヘドンニヘドン at 2009年07月13日 11:46
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