2009年03月29日

後半・はじめてのクラシック 〜 高校生や中学生のために

この記事は2008年08月19日に記事をアップした前半の続きです。

16:00 から20分間の休憩に入りました。
16:20 より後半が始まります。

三枝成彰氏の解説から始まります。
三枝さんったら、素足に靴を履いてますよー。
( 石田純一してる〜。笑 )

「 第1楽章には502の小節数が有るのですが、その中に動機が245回も出て来ます。」

ステージ上にはキーボードが置かれています。
三枝氏は、そのキーボードで動機のフレーズを弾きながら説明をしてくれます。
「 小さな小さな動機が、音が3つ続くと云うだけで数学的、建築学的だと言われる由縁です。
 聞いていても、そうとは思えない。
 それが古典派の技なんです。
 これは、ハイドンが最初にやりました。
 徹底的にやったのがベートーヴェンなんです。

クラシックは自ずから、自分達はNo.1 であると言う思い上がった音楽です。
日本の古くからの音楽は全て口伝です。
ヨーロッパの音楽は楽譜が有るので正確に残せます。
キーワードは 「 ハーモニー 」です。
同じコードの中に居なければ人間は我慢出来ないと気が付きました。
ベートーヴェン以降キリスト教が弱くなって、「 個 」が強く出て来ました。 」
三枝節も絶好調です。
そうですか。クラシックは思い上がった音楽ですか。
うぷぷぷぶ…。

そして、「 運命 」の演奏が始まりました。

第1楽章
あれ? 誰か、唸りました?
え? コバケンさん!?
あら! 「 運命 」も合唱付きだったんたわ。( 1人なのに合唱! コバケンの唸りは複数分の迫力が有ります! )
コバケンの 「 運命 」は凄いわ!
ヘヴィメタ・ロッカー 100人集まっても、コバケン1人にかないませんって。
もう思わず身体を前に乗り出して聞き入ってしまいます。
コバケンの迫力の証拠に、客席の誰も寝ていません。
1列目には高校生ボーイズ8人組みが席を占めていました。
演奏会が始まるまでは、皆だらしな〜く座席に身を預けて格好良さの微塵も無い一団でした。
( 何で、クラシック音楽なんてまるで興味無さそうな連中がここに居るんだろうか?
この演奏会を聞くと、授業の単位が貰えるのかな? )
最近は単位制の高校が増えて来ましたからね。
ところが、コバケンの怒涛の 「 運命 」の演奏が始まると、彼らは皆一様に真剣に聞いているのです。
耳だけで聞いているのではなく、身体で聞いているのが、彼等の背中を見ていて分かりました。
コバケン、凄いよ。
高校生ボーイズ8人組を屈伏させる迫力ですよ。
ニヘドンも元々ベートーヴェンは好きだったけど、こんなに身を乗り出しちゃう程、面白いベートーヴェンは初体験です。

第2楽章。

ヴァイオリンとチェロの音の深みが合っていていいなあ…。
この日、新日フィルは前半の演奏からずっと安定した良い音を聞かせてくれました。
プロオケの実力を見せつけられました。
おまけにその実力を静かに聞くのではなく、コバケンに両肩をグワシグワシ揺さぶられて「 分かったか! 実力の有る者の演奏がどう云うものか分かったか!! 」と言われた様な衝撃を受けました。

第3楽章。
コバケンは1度指揮台を下りました。
再び指揮台に上がると演奏が始まりました。
チェロもヴィオラもヴァイオリンもみんな、みんなこんしんの演奏を聞かせてくれます。
管楽器の皆さんが演奏する様がまるで見えなくて残念でした。
きっと管楽器チームの皆さんも、ひたむきに演奏に没頭する姿を見せてくれていたと思います。

この曲を他のオケが演ると 「 もっと泥臭くやってよ。」とか注文を付けるニヘドンでしたが、この日のコバケン & 新日フィルの演奏には、もう何も注文はございません。
パーフェクトでございます。
神様、仏様、こんな良い仕事をした人たちを、たっぷり誉めてあげて下さい。
サンタクロースのおじちゃん、この演奏家の皆さんに、今度のクリスマスには
ワン・ランクアップした素敵なクリスマス・プレゼントを持って来てあげて下さいませ!!
余りの白熱した演奏に、チェロの人も燕尾服の袖で思わず汗を拭っておりました。

三枝さんがレクチャーを始めます。
「 ベートーヴェンは正攻法から攻めて行って、最後に感動を呼ぶ特徴があります。
  一方ではチャイコフスキーは評価が低いんですねー。
  第九はメッセージを伝える曲であります。
  『 乞食と王様は兄弟である 』 と歌っているんです。
  ベートーヴェンの第九は民主主義の曲であります。
  政治的なメッセージが入っちゃっているのです。
  元々シンフォニー( 交響曲 )は歌を入れてはいけないのです。
  サッカーが手を使っちゃいけないのと同じなんです。
  『 言葉を伴うもの 』 と 『 言葉を伴わないもの 』 は別のものと考えます。
  日本の音楽は99.99% 言葉を伴っています。
  第九には、人間は気高く生きなければならないんだ、と言うメッセージが有ります。

  『 イスラムとキリスト教は手をつなごう 』
  日本に来たマドンナは、ステージの上で、こう歌いました。
  日本人は何故マドンナがこういう歌を歌ったのか理解出来ないんですね。
  ビートルズもマドンナも歌にメッセージを持っています。
  ヨーロッパの人々は、音楽は必ずメッセージを持っているものだと考えます。
  ではベートーヴェンがシンフォニーに歌を入れたのは何故か?
  シンフォニーだけでもメッセージは有るのだが、さらに言葉で言わなきゃ
  分からないだろうと思ったのでしょう。

  EUの国家は第九です。
  第九が持っている強い民主主義のメッセージがEU各国に一致した思いを抱かせるのでしょう。
  ド から ソ まで全部4分音符で書かれています。
  ( そうなんですよ。 だから二へドンもヴァイオリンを習い始めて3ヶ月で、
    『 喜びの歌 』 の主題部分をレッスンで演りましたから。
    誰でも歌える、誰でも弾ける単純な分かり易い主題なんです。 )
  この様に第九は大きなメッセージを持っているのです。

  ベートーヴェンは音楽をBGMで流すのを嫌いました。
  それに対してモーツァルトはラウンジ・ピアニストなんです。
  ベートーヴェンは 『 音楽家 = 芸術家 』 のスタイルを貫きました。
  ベートーヴェンは凄い作曲家で有る事は間違い無い。

  指揮者の小林研一郎さんは、第九の演奏回数が1,000回近いキャリアが有ります。
  では、その演奏をお聞き下さい。 」

ふーん。 三枝さんは、ルックスは飄々として見えるけれども、
音楽を語らせたら熱いね。 ベートーヴェンが好きだと言う人は多いけれども、
ここまでベートーヴェンに対するヴィジョンを明確に提示されると、説得力有りますよ。
で、二へドンは考えてしまったのですが、三枝さんのベートーヴェンに対する考え方を
100%正しいとするとですよ。
トリオBEEが芸術家ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番 「 ゴースト 」を
第1楽章だけ弾いたり、他の曲を弾いた後にまた第3楽章を弾いたりしたのは間違いですよね。
二へドンも、トリオBEEが好きで散々地方まで追いかけて行って聞きながら
この1つの作品を細切れに演奏するのには物凄い違和感を抱いていたのです。
三枝さんの言葉に力を得て、言わせていただけるなら、これはベートーヴェンの芸術作品を
ズタズタに寸断した冒涜行為ではないのでしょうか?
BEEのネーミングの由来が「 ベートーヴェンを尊敬しているから 」って、言っている事と演っている事が
ちぐはぐですよね?
第1楽章から第3楽章まで全部通して演奏するとお客が飽きるから・・・・・・なんて思っていたとしたら
これはお客に対する冒涜でもありますよね。
「 良い子の為のクラシック入門コンサート 」じゃないんだから、大人の聴衆相手にそんな事に
気を回さないで欲しいですよ。
所詮、彼らが相手にしようとしていた客層って、ベートーヴェンのピアノ・トリオを全楽章通して弾くと
飽きてしまう程度の客層だった訳!?
結局トリオBEEは、メンバー3人の音楽的な信念が何なのか、一切の表明をせずに活動休止に
なりましたが、明快なヴィジョンが無いままの活動は、日本の音楽の歴史には、
さして意義のあるものでは無かったから活動休止も止む無しなんですよ・・・・・。

おっと。 ついうっかりとトリオBEEの話に脱線してしまいました。
ベートーヴェンの第九に話を戻しましょう。
コバケンが振る新日本フィルの演奏を聞いた二へドンの感想。
「 二へドンが今まで生オケで数回聞いて来たのは、本当に第九だったのだろうか? 」
初めてこの曲を聞く様な新鮮な印象でした。
これって、曲を聞く季節の違いも影響していますかね?
いつも二へドンが第九を聞くのは年末で、空気が乾いている時節柄じゃないですか。
この時は真夏で、音までなかなかウェットな感じでした。
でも、じとーっとした べとつき感では無く、水の流れの爽やかさがあって良かったです。

オケの近くの客席で見ていると、演奏の凄い迫力に圧倒されてしまいました。
第2ヴァイオリンの人々が、凄い神技の様な弓使いをしているのですが、あれは一体・・・・・・!?
二へドンをビビらせようとしているのでしょうか?
ヴァイオリンの上で、地震による液状化現象が起こってしまったのでしょうか?
それ位に波打つボウイングなんですよ!!
鉛筆の端を2本の指で持って、緩やかに揺らすと、まるで鉛筆が曲がっている様に見えるではないですか。
弓が、そんな風に見えてしまうんです。

いやー。収獲タップリのコンサートでした。
大満足の聴き応え!!
このコンサートを、文字面だけ捉えて、「 高校生、中学生じゃないから行かない。」と思ってしまった方々は
大変に勿体無い事をしてしまいましたね。

コンサートが終了したのは、17:49でした。
コバケンの炎のタクト、辻井伸行君のピュアなピアノ、三枝成彰氏の過激トーク。
もちろんコンマスの西江辰郎王子様も、何から何まで堪能致しました。

また2009年も、行きたいです。 発売日が楽しみです。

***** 「 後半・はじめてのクラシック 〜 高校生や中学生のために 」 ・ 完 *********



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Posted by ニヘドン at 13:49│Comments(0)コンサート
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