2010年05月22日
「 アルミーダ 」

第9作
「 アルミーダ 」
鑑賞日 : 2010年05月22日(土)
映画館 : 109シネマズ 川崎
料金 : 3,500円
ニヘドンは3枚綴りの回数券を購入しているので
1回当たり3,000円。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
このオペラの感想を一言で言い現すと、こんな感じ。
「 ロッシーニ君、ハードル高過ぎるだろう、これは!! 」
第1幕から難しい曲のオンパレードでニヘドンは聞いていて、ぐったり疲れてしまいました。
ニヘドン、オペラ歌手じゃなくて良かった。
既にオペラ歌手を演っていて、もう辞めてしまいたいと思っている人は「 アルミーダ 」歌うといいね。
思い切り失敗して、何の悔いも無く、きっぱり辞められると思います。( 笑 )
これは「 作品 」と言う名の「 公然歌手虐待 」だね。
こう云う大変な仕事を引き受けるルネ・フレミングって一体…!?
世の中には大役を果たす実力の持ち主がいるもんだ。
ラストが尻切れトンボの感じが有るものの、登場人物の感情を丁寧に歌うので、いちいち共感出来る秀逸なオペラです。
ヒロインのアルミーダは魔法を使うと言う突拍子も無いストーリー設定でありながら、人物の心理描写に無理が無いので、人間の普遍的なドラマとして何の違和感も無く受け入れる事が出来ます。
「 舞台 」として100点満点の出来映えだったと思います。
魔物達のデザインが愛らしいのですよ。
最初は猫かと思いましたら、およ! 角が生えているではありませんか!
これ猫じゃないよ。魔物ぢゃん!
魔物の衣装デザインの完成度は素晴らしいので、ニヘドンはここを高く評価してしまいましたよ。
ダンスも素晴らしい!
魔物のシーンは、ブロードウェイ・ミュージカルの「 キャッツ 」や 「 ライオン・キング 」に勝るとも劣らない仕上がりで、ニヘドン唸る。唸る。
第2幕にはバレエのシーンが有ります。
これは本の余興として、ちょっと挟み込んでみましたって感じではなく、た〜っぷり見せてくれるのです。
これは楽しかった!!
だからこの作品はオペラ・ファンのみならずバレエ・ファンの人達にも是非見て欲しいと思いました。
魔物達がチュチュを着て踊るコミカルなシーンも有り、トロカデロ・バレエ団と見紛うばかりの抱腹絶倒ぶり!
兎に角、ステージの緻密さは注目に値いします。
「 色 」が暗示する効果も抜群です。
アルミーダのドレスの色が第1幕では純白、第2幕では黒、第3幕ではピンクから黒へ。
単純な事の様ですが、アルミーダの心の動きと見事にマッチしているのです。
幕間のインタビューで演出のジマーマンは、「 ストーリーをシンプルに伝える事を考えた。」と語っていました。
このシンプルに伝えるのに大きな役割を果たしたのが完璧に「 伝える 」役割を担った衣装だったなぁ…と思います。
「 オペラ 」と言うだけではなく 「 ステージ 」として理想的なプロフェッショナルな仕事を見せて頂きました。
今シーズンのMETライブ・ビューイングのラストを飾るに相応しい見事な作品でした。
大満足!!
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「 剣岳 ~ 点の記 」 ・ 後編 の記事を完成させました。
こちら → http://nihedon.hama1.jp/e840903.html
「 池の上 『 Siva’s Linga 』 」 の記事を完成させました。
こちら → http://nihedon.hama1.jp/e842465.html
「 味噌ぱん & マコロン 」 の記事を書きました。
こちら → http://yasunaolove.hama1.jp/e843780.html
2010年05月22日
第263回・定期演奏会 ー 神奈川フィル

神奈川フィルハーモニー管弦楽団
第263回 定期演奏会
日時 : 2010年05月21日(金)
18:20 開場 19:00 開演
会場 : 横浜みなとみらいホール 大ホール
指揮 : ロッセン・ゲルゴフ
ピアノ : 仲道郁代 ( なかみち いくよ )
ゲスト・コンサートマスター : 山本友重 ( やまもと ともしげ )
演目 : 第1部
池辺晋一郎 / 照葉樹林 〜 弦楽オーケストラのための 〜 ( 9分 )
ショパン / ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 作品21 ( 30分 )
アンコール : ショパン / ノクターン第20番 嬰ハ短調
< 休 憩 1 5 分 >
第2部
ベートーヴェン / 交響曲 第6番 へ長調 作品 68 「 田園 」( 41分 )
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いやあ、素晴らしかった! 素晴らしかった!!
池辺晋一郎の「 照葉樹林 」は、今丁度ニヘドンが聞きたいタイプの曲だったし、
仲道郁代のショパンは、まるでショパンの霊が彼女に降りて来たかの様なショパン度100%の雰囲気だったし、ロッセン・ゲルゴフの指揮するベートーヴェン 「 田園 」は、有名な曲にありがちな手あかの付いていない、新しいアプローチで、ベートーヴェンの面白さを再認識させてくれたし、もうニヘドンはウハウハ喜んでしまったのであります。
指揮者のロッセン・ゲルゴフ氏についての予備知識は全く無く、
「 予算無いから若い人を招ぶのー? 」なんて失礼な事を考えておりました。
ごめんなさい。物凄い溌剌とした才気溢れる指揮でした。
ニヘドンが毎回欠かさず見ている MET ライブ・ビューイングですが、METも 2009 - 2010 シーズンは若手を大量に起用して、予算が無いからね〜なんて陰口を叩かれておりますが、いえいえ、若手の才能は素晴らしいですよ。
恐れを知らない勢いが有るし、いつの時代にも「 神童 」は居るものです。
もし、年齢が若いと言うだけで駄目なら、モーツァルトやショパンも排除しなけりゃならないじゃないですか!?
確かに、予算不足と言う現実は存在するでしょうが、そのお陰で才能を秘めた若手に早くスポットが当たるんだったら、不況だってまんざら捨てたものじゃないですよね?
守りの姿勢に入っちゃったベテランや、切磋琢磨しない大御所なんて、世間一般の人は有り難がるかもしれないけれど、ニヘドンはそんなの全然興味無いし。
ゲルゴフ君は1981年ブルガリア生まれの 29歳。
29歳と言えばニヘドンはその年齢の頃は結婚した翌年で、社交ダンスのドレスを作る会社でバイトをしており、社会の何の役にも立たない一市民もどきでしたね。
追っかけは愚か、ブログもやっておらず、子供も影も形も無く、自分の人生に何の意味が有るのかすら分かっていなかった時期です。
折角、今よりは若さが有ったのに、何かに体当たりする姿勢が無かった自分の29歳の時代を激しく後悔しますよ。
(-o-;)
ゲルゴフ君は実に素晴らしかったのです。
METの若手もゲルゴフ君も、共通点は「 熱い 」!!
1曲目からそんなに熱くて大丈夫なんですか!? って指揮者が多いです。
さて、今回の定期演奏会は得る物が多かったのですが、1つ大事件が起こってしまいました。
ソロ・コンサートマスターの石田泰尚様が神奈フィルを留守にしている間に、ニヘドンったら、ゲスト・コンサートマスターの山本友重さんによろめいてしまったのです。
山本さんのヴァイオリンの音は、石田〜リンの様に得も言われぬ美しさが際立つ訳ではなく、音に秘められた哀しみに胸が打ち震える訳でもありません。
一見( 一聴 ? )特にこれ! と言う際立った特徴が無さそうでいて、1度聴いたら聴いた者の心を逸らさない吸引力が有るのです。
「 あ〜れ〜! 吸い込まれる〜!! 」
友重さんの存在感の有るヴァイオリンの音は、頼もしいです。
ニヘドンがもしオーケストラに入るとしたら、友重さんの隣りで弾きたいと思いました。
ニヘドンが自分でヴァイオリンを弾く様になって、アンサンブルをする様になって分かった事は、弦楽器って、演奏する時に他の演奏者と少しずつ少しずつ音をすり合わせて行く作業をするんです。
ピアノみたいにハッキリ鍵盤が存在する訳ではないので、音の境界線が無いのです。
だから人によって微妙に音が高かったり低かったりします。
そういうのをお互いに聴き合いながら、なるべく音を近付けて行く……… そう云う作業が弦楽アンサンブルなんだと思います。
だからニヘドンみたいなへっぽこ演奏者は、音の受け皿になってくれて、「 こっちだよ〜! 」と音を引っ張ってくれる人が絶対に必要なのです。
オーケストラにコンサートマスターが必要な訳です。
友重さんの音は、コンサートマスターとして無条件降伏出来る音なんですよ。
もう演奏中、友重さんから目も耳も離せませんでした。
いいわ。彼いいわ!
しかめ、ただ無難に弾くような事はしません。
ちょっと目を離した隙に、何かお茶目な悪戯を仕掛けて来る様な雰囲気が有ります。
パンツェッタ・ジローラモみたいな洗練された大人の遊び心が有るんですよ。
あそこまでのダンディー振りを振り巻く演奏家は日本では珍しいですよね。
言うなればヴァイオリン界のちょい悪オヤヂ。
若い子には分からないだろう、この大人の余裕を。
ゲルゴフ君と友重さんが、い〜いコンビネーションを見せていて、何か神奈フィルの新局面だったね。
ゲルゴフ君も友重さんも、ずっと神奈フィルにいてくれていいよ。( 笑 )
いや本当に面白かった。